医療用医薬品 : クラビット

List   Top

医薬品情報


総称名 クラビット
一般名 レボフロキサシン水和物
欧文一般名 Levofloxacin Hydrate
薬効分類名 広範囲経口抗菌製剤
薬効分類番号 6241
KEGG DRUG D00588 商品一覧 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 包装 主要文献

商品情報 詳細

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
クラビット錠250mg CRAVIT TABLETS 第一三共 6241013F2020 234.2円/錠 処方箋医薬品
クラビット錠500mg CRAVIT TABLETS 第一三共 6241013F3027 415.7円/錠 処方箋医薬品
クラビット細粒10% CRAVIT FINE GRANULES 第一三共 6241013C2024 108円/g 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

本剤の成分又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

小児等(「小児等への投与」及び「その他の注意」の項参照)

ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び小児等に対しては、炭疽等の重篤な疾患に限り、治療上の有益性を考慮して投与すること。

効能・効果及び用法・用量

効能効果

<適応菌種>

本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、結核菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

<適応症>

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱

用法用量

通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、疾患・症状に応じて適宜減量する。

肺結核及びその他の結核症については、原則として他の抗結核薬と併用すること。

腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして1回500mgを1日1回14日間経口投与する。

用法用量に関連する使用上の注意

本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

本剤の500mg1日1回投与は、100mg1日3回投与に比べ耐性菌の出現を抑制することが期待できる。本剤の投与にあたり、用量調節時を含め錠250mg及び細粒10%を用いる場合も分割投与は避け、必ず1日量を1回で投与すること(「薬効薬理」の項参照)。

腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして(注射剤より本剤に切り替えた場合には注射剤の投与期間も含め)14日間投与すること。

炭疽の発症及び進展の抑制には、欧州医薬品庁(EMA)が60日間の投与を推奨している。

長期投与が必要となる場合には、経過観察を十分に行うこと。

腎機能低下患者では高い血中濃度が持続するので、下記の用法・用量を目安として、必要に応じて投与量を減じ、投与間隔をあけて投与することが望ましい(「薬物動態」の項参照)。

腎機能Ccr(mL/min)用法・用量
20≦Ccr<50初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与する。
Ccr<20初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与する。

使用上の注意

慎重投与

高度の腎機能障害のある患者[高い血中濃度の持続が認められている(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)。]

てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]

キノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者

重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者[QT延長を起こすことがある。]

重症筋無力症の患者[症状を悪化させることがある。]

高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

重要な基本的注意

他の抗結核薬との併用により、重篤な肝障害があらわれることがあるので、併用する場合は定期的に肝機能検査を行うこと。

意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

相互作用

併用注意

フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
フルルビプロフェン等
痙攣を起こすおそれがある。中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、鉄剤本剤の効果が減弱されるおそれがある。これらの薬剤は本剤投与から1〜2時間後に投与する。これらの薬剤とキレートを形成し、本剤の吸収が低下すると考えられている。
クマリン系抗凝固薬
ワルファリン
ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある。ワルファリンの肝代謝を抑制、又は蛋白結合部位での置換により遊離ワルファリンが増加する等と考えられている。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
デラマニド等
QT延長を起こすおそれがある。併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。

副作用

副作用発生状況の概要

承認時の国内・海外(中国)の臨床試験及び製造販売後臨床試験において、総症例1,930例(承認時臨床試験:国内337例、海外1,245例、製造販売後臨床試験:348例)中522例(27.1%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心(3.3%)、めまい(3.1%)、白血球数減少(2.7%)、不眠(2.6%)、ALT(GPT)上昇(1.7%)であった。〔製造販売後臨床試験終了時〕

承認後の使用成績調査(調査期間:2009年10月〜2010年9月)において、総症例29,880例中482例(1.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢(0.24%)、悪心(0.17%)、発疹(0.13%)、AST(GOT)上昇(0.09%)、ALT(GPT)上昇(0.09%)であった。〔使用成績調査終了時〕

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

ショック(0.01%未満)、アナフィラキシー(頻度不明注1))

ショック、アナフィラキシー(初期症状:紅斑、悪寒、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明注1))、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明注1))

中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

痙攣(0.01%未満)

痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

QT延長(頻度不明注1))、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明注1))

QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

急性腎不全(0.01%未満)、間質性腎炎(頻度不明注1))

急性腎不全、間質性腎炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

劇症肝炎(頻度不明注1))、肝機能障害(0.01%未満)、黄疸(頻度不明注1))

劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(初期症状:嘔気・嘔吐、食欲不振、倦怠感、そう痒等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

汎血球減少症(頻度不明注1))、無顆粒球症(頻度不明注1))、溶血性貧血(頻度不明注1))、血小板減少(0.01%未満)

汎血球減少症、無顆粒球症(初期症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、ヘモグロビン尿等を伴う溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

間質性肺炎(頻度不明注1))、好酸球性肺炎(頻度不明注1))

発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。

偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明注1))

偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

横紋筋融解症(頻度不明注1))

筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

低血糖(頻度不明注1))

低血糖があらわれることがあり、低血糖性昏睡に至る例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病患者(特にスルホニルウレア系薬剤やインスリン製剤等を投与している患者)、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。

アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明注1))

アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので、腱周辺の痛み、浮腫等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。60歳以上の患者、コルチコステロイド剤を併用している患者、臓器移植の既往のある患者であらわれやすい。

錯乱、せん妄、抑うつ等の精神症状(頻度不明注1))

錯乱、せん妄、抑うつ等の精神症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

過敏性血管炎(頻度不明注1))

過敏性血管炎があらわれることがあるので、発熱、腹痛、関節痛、紫斑、斑状丘疹や、皮膚生検で白血球破砕性血管炎等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

重症筋無力症の悪化(頻度不明注1))

重症筋無力症の患者で症状の悪化があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

注1)自発報告又は海外において認められている副作用のため頻度不明。

その他の副作用

 0.1〜0.5%未満0.1%未満頻度不明注1)
過敏症発疹そう痒症、蕁麻疹、光線過敏症 
精神神経系不眠、めまい、頭痛傾眠、しびれ感、振戦、ぼんやり、幻覚、意識障害末梢神経障害、錐体外路障害
泌尿器 クレアチニン上昇、血尿、BUN上昇、尿蛋白陽性、頻尿、尿閉無尿
肝臓AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、LDH上昇、肝機能異常ALP上昇、γ-GTP上昇、血中ビリルビン増加 
血液白血球数減少、好酸球数増加好中球数減少、リンパ球数減少、血小板数減少、貧血 
消化器悪心、嘔吐、下痢、腹部不快感、腹痛食欲不振、消化不良、口渇、腹部膨満、胃腸障害、便秘、口内炎、舌炎 
感覚器 耳鳴、味覚異常、味覚消失、視覚異常無嗅覚、嗅覚錯誤
循環器 動悸低血圧、頻脈
その他 CK(CPK)上昇、関節痛注2)、胸部不快感、倦怠感、四肢痛、咽喉乾燥、尿中ブドウ糖陽性、高血糖、熱感、浮腫、筋肉痛、脱力感、発熱、関節障害、発汗胸痛
注1)自発報告又は海外において認められている副作用のため頻度不明。注2)結核患者での使用において91例中4例(4.4%)に関節痛が認められたとの報告がある。

高齢者への投与

本剤は、主として腎臓から排泄される(「薬物動態」の項参照)が、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので投与量ならびに投与間隔に留意し、慎重に投与すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[オフロキサシンでヒト母乳中へ移行することが報告されている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していないので、投与しないこと(「その他の注意」の項参照)。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)

その他の注意

動物実験[幼若犬、若い成犬(13ヵ月齢)、幼若ラット]で関節異常が認められている。

薬物動態

血中濃度

血漿中濃度の推移

国内において健康成人にレボフロキサシン500mg錠1錠を空腹時に単回経口投与した場合、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。

レボフロキサシン単回経口投与時の血漿中濃度推移

単回経口投与時におけるレボフロキサシンの薬物動態パラメータ(ノンコンパートメント解析、n=40、mean±SD)
 Tmax(hr)Cmax(μg/mL)t1/2(hr)AUC0-72hr(μg・hr/mL)
500mg空腹時0.99±0.548.04±1.987.89±1.0450.86±6.46

血漿蛋白結合率

レボフロキサシン1〜50μg/mLのin vitroでのヒト血漿蛋白結合率は、限外ろ過法で約26〜36%であった。

分布

日本人における成績

患者にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、口蓋扁桃(投与後2.6〜4.1時間で対血漿濃度比:1.42〜1.89)、前立腺(投与後2.9〜4.0時間で対血漿濃度比:0.76〜1.58)、耳漏(投与後1〜4時間で対血漿濃度比:0.40〜0.88)、上顎洞粘膜(投与後2.3〜5.8時間で対血漿濃度比:0.89〜2.29)、鼻汁(投与後1〜4時間で対血漿濃度比:0.11〜1.39)であり、高い移行性を示した。
なお、健康成人又は患者にレボフロキサシン水和物として100mg又は200mgを単回経口投与した場合、皮膚(投与後0.8〜4時間で対血清濃度比:平均1.1)、唾液(対血清濃度比:約0.7)、口蓋扁桃(対血清濃度比:約2)、喀痰(対血清濃度比:0.8〜1.1)、前立腺(投与後1〜6時間で対血清濃度比:0.8〜1.9)、前立腺液(投与後1.5時間で対血清濃度比:約0.6)、胆嚢(対血清濃度比:0.3〜4.2)、房水(投与後2〜9時間で対血清濃度比:0.14〜0.31)、涙液(100mg投与で最高濃度0.61μg/mL)、耳漏(投与後2時間で対血清濃度比:0.6)、上顎洞粘膜(投与後2〜6時間で対血清濃度比:1.1〜1.9)、女性性器(100mg投与後3〜4時間で0.6〜2.1μg/g)であった。

外国人における成績

健康成人又は患者にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、炎症性滲出液(投与後0.5〜24時間で対血漿濃度比:0.2〜1.5)、気管支粘膜(投与後0.5〜8時間で対血漿濃度比:0.9〜1.8)、気管支肺胞洗浄液(投与後0.5〜8時間で対血漿濃度比:1.1〜3.0)、肺マクロファージ(投与後0.5〜24時間で対血漿濃度比:4.1〜18.9)、肺組織(投与後2.28〜25.43時間で対血漿濃度比:1.06〜9.98)であった。

代謝

尿中代謝物

国内において健康成人にレボフロキサシン水和物として100mgを単回経口投与した場合、投与後24時間までの累積尿中排泄率は、未変化体が投与量の79.6%、脱メチル体が1.75%、N-オキサイドが1.63%であった。

胆汁中代謝物[1]

国内において患者にレボフロキサシン水和物として100mg単回経口投与後2〜3.5時間での胆嚢胆汁中グルクロン酸抱合体濃度は0.05〜0.44μg/mLであり、未変化体に対する割合は3.9〜25.8%であった。また、胆管胆汁中にもほぼ同程度のグルクロン酸抱合体が認められた。

排泄

国内において健康成人にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、投与後0〜24時間の尿中濃度は、138.8〜877.7μg/mLであり、投与後72時間までに投与量の83.76%が未変化体として尿中に排泄された。
また、健康成人にレボフロキサシン水和物として200mgを食後投与した場合、糞中には投与後72時間で投与量の3.9%が未変化体として排泄された[2]

点滴静注との比較

国内において健康成人にレボフロキサシン500mgを単回経口投与した場合又は60分間で単回点滴静注した場合、薬物動態パラメータは、次のとおりであった。

(ノンコンパートメント解析、n=48、mean±SD)
 被験者数Tmax(hr)Cmax(μg/mL)t1/2(hr)AUC0-72hr(μg・hr/mL)
500mg経口投与400.99±0.548.04±1.987.89±1.0450.86±6.46
500mg点滴静注81.00±0.009.79±1.058.05±1.5451.96±4.96

腎機能障害患者での体内動態

国内においてクレアチニン・クリアランス値(Ccr)により群分けし、レボフロキサシン500mgを空腹時単回経口投与した場合、腎機能の低下に伴い血漿中濃度の生物学的半減期の延長、尿中濃度の低下及び尿中排泄率の低下が認められた。

(ノンコンパートメント解析、n=22、mean±SD)
Ccr(mL/min)患者数t1/2(hr)AUC0-72hr(μg・hr/mL)尿中排泄率(%)(0〜48hr)
50≦Ccr119.17±1.2881.74±20.7880.02±6.08
20≦Ccr<50715.88±3.79150.96±18.0356.39±13.51
Ccr<20433.69±14.57250.66±58.3028.28±11.83

血液透析又はCAPDは、体内からのレボフロキサシン除去への影響は少ないと報告があり[3][4][5]、透析後の追加投与は不要と考えられる。

シメチジン、プロベネシドによる影響

海外(欧州)において健康成人に、シメチジン400mgを1日2回、又はプロベネシド500mgを1日4回、7日間投与し、4日目にレボフロキサシン500mgを空腹時単回経口投与した。シメチジン及びプロベネシドとの併用によりレボフロキサシンのAUC0-72hrはそれぞれ27.0%及び38.2%上昇し、t1/2はそれぞれ30.5%及び31.8%延長したが、Cmaxに影響はみられなかった[6]

臨床成績

国内外で実施された各科領域の各種感染症に対する経口剤の臨床試験の概要は次のとおりである。

呼吸器感染症

ブドウ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、インフルエンザ菌、緑膿菌等による呼吸器感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
日本
500mg注1)×1
中国
500mg注1)×1
(参考)日本
100〜200mg注2)×3
咽頭・喉頭炎95.0〔19/20〕注3) -88.5〔23/26〕
扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)-92.8〔77/83〕
急性気管支炎100.0〔14/14〕-86.8〔46/53〕
肺炎93.1〔94/101〕注4) 97.5〔348/357〕注5) 91.4〔64/70〕
慢性呼吸器病変の二次感染100.0〔28/28〕97.1〔399/411〕注6) 79.3〔180/227〕
95.1〔155/163〕97.3〔747/768〕85.0〔390/459〕
-:500mg×1回/日の用法・用量で臨床試験を実施していない。注1)レボフロキサシンとして注2)レボフロキサシン水和物として注3)急性咽頭・扁桃炎注4)日本において、クラミジア肺炎に対し1例中1例(100.0%)で有効、マイコプラズマ肺炎に対し15例中15例(100.0%)で有効であった。注5)中国において、レジオネラ肺炎に対し3例中3例(100.0%)で有効、クラミジア肺炎に対し3例中3例(100.0%)で有効、マイコプラズマ肺炎に対し48例中48例(100.0%)で有効であった。注6)慢性気管支炎の急性増悪

レジオネラ肺炎に対し、100mg×3回/日の用法・用量において国内で6例中6例(100.0%)で有効[7]、500〜750mg×1回/日の用法・用量において海外で71例中66例(93.0%)で有効であった[8]との報告がある。

参考(注射剤の成績)

500mg×1回/日点滴静注で実施された国内臨床試験において、クラミジア肺炎に対し4例中4例(100.0%)で有効、マイコプラズマ肺炎に対し17例中17例(100.0%)で有効であった。

尿路・性器感染症

ブドウ球菌属、腸球菌属、淋菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)等による尿路・性器感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
日本
500mg注1)×1
中国
500mg注1)×1
(参考)日本
100〜200mg注2)×3
膀胱炎86.5〔186/215〕88.4〔76/86〕82.7〔324/392〕
 単純性膀胱炎97.4〔37/38〕88.4〔76/86〕93.5〔174/186〕
 複雑性膀胱炎84.2〔149/177〕-72.8〔150/206〕
腎盂腎炎73.3〔11/15〕89.7〔70/78〕70.2〔33/47〕
 単純性腎盂腎炎-89.7〔70/78〕78.6〔11/14〕
 複雑性腎盂腎炎73.3〔11/15〕-66.7〔22/33〕
前立腺炎(急性症、慢性症)100.0〔2/2〕注3) -81.5〔44/54〕
精巣上体炎(副睾丸炎)80.0〔4/5〕-88.2〔30/34〕
尿道炎84.8〔28/33〕注4) -89.4〔135/151〕
85.6〔231/270〕89.0〔146/164〕83.5〔566/678〕
-:500mg×1回/日の用法・用量で臨床試験を実施していない。注1)レボフロキサシンとして注2)レボフロキサシン水和物として注3)急性前立腺炎注4)非淋菌性尿道炎(クラミジア・トラコマティス性)

産婦人科領域感染症

ブドウ球菌属、大腸菌、ペプトストレプトコッカス属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)等による産婦人科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
日本
500mg注1)×1
(参考)日本
100〜200mg注2)×3
子宮頸管炎94.4〔17/18〕注3) 93.5〔29/31〕
バルトリン腺炎-98.0〔49/50〕
子宮内感染94.7〔18/19〕95.1〔58/61〕
子宮付属器炎-85.4〔35/41〕
94.6〔35/37〕93.4〔171/183〕
-:500mg×1回/日の用法・用量における日本及び海外の臨床試験データはない。注1)レボフロキサシンとして注2)レボフロキサシン水和物として注3)非淋菌性子宮頸管炎(クラミジア・トラコマティス性)

皮膚科領域感染症、外科・整形外科領域感染症

ブドウ球菌属等による皮膚科領域感染症(表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡)、外科・整形外科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
(参考)欧米
500mg注1)×1
(参考)日本
100〜200mg注2)×3
皮膚科領域感染症 97.1〔302/311〕米国注3)
97.1〔133/137〕欧州注3)
89.4〔390/436〕
 表在性皮膚感染症(毛のう炎等)
ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)
83.5〔71/85〕
 深在性皮膚感染症(せつ、せつ腫症等)92.8〔142/153〕
 リンパ管・リンパ節炎93.8〔15/16〕
 慢性膿皮症(皮下膿瘍・汗腺炎等)89.0〔162/182〕
外科・整形外科領域感染症 80.7〔146/181〕
 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染78.3〔101/129〕
 乳腺炎-79.3〔23/29〕
 肛門周囲膿瘍-95.7〔22/23〕
-:500mg×1回/日の用法・用量で臨床試験を実施していない。注1)レボフロキサシンとして注2)レボフロキサシン水和物として注3)単純性皮膚・皮膚組織感染症

胆道感染症

クレブシエラ属、緑膿菌等による胆嚢炎・胆管炎に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
(参考)日本100〜200mg注)×3
胆嚢炎・胆管炎73.1〔19/26〕
500mg×1回/日の用法・用量における日本及び海外の臨床試験データはない。注)レボフロキサシン水和物として

耳鼻咽喉科領域感染症

ブドウ球菌属、緑膿菌等による耳鼻咽喉科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
日本
500mg注1)×1
(参考)日本
100〜200mg注2)×3
外耳炎-76.7〔23/30〕
中耳炎100.0〔13/13〕74.0〔111/150〕
副鼻腔炎85.9〔73/85〕76.5〔52/68〕
化膿性唾液腺炎-81.8〔9/11〕
87.8〔86/98〕75.3〔195/259〕
-:500mg×1回/日の用法・用量で臨床試験を実施していない。注1)レボフロキサシンとして注2)レボフロキサシン水和物として

眼科領域感染症

ブドウ球菌属、アクネ菌等による眼科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
(参考)日本100〜200mg注)×3
涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎97.1〔68/70〕
500mg×1回/日の用法・用量における日本及び海外の臨床試験データはない。注)レボフロキサシン水和物として

腸管感染症

赤痢菌、サルモネラ属、カンピロバクター属等による腸管感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
(参考)日本100〜200mg注)×3
感染性腸炎96.6〔115/119〕
腸チフス100.0〔1/1〕
コレラ100.0〔3/3〕
96.7〔119/123〕
500mg×1回/日の用法・用量における日本及び海外の臨床試験データはない。注)レボフロキサシン水和物として

歯科・口腔外科領域感染症

レンサ球菌属、ペプトストレプトコッカス属等による歯科・口腔外科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名有効率(%)〔有効症例/総症例〕
(参考)日本100〜200mg注)×3
歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎83.4〔171/205〕
500mg×1回/日の用法・用量における日本及び海外の臨床試験データはない。注)レボフロキサシン水和物として

炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱に対する臨床試験は国内外とも実施されていない。

薬効薬理

本剤は、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性S-(−)体であるレボフロキサシンの水和物を含有するニューキノロン系経口抗菌製剤である。

抗菌作用

レボフロキサシンは嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性菌群に対し、広範囲な抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ならびに大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属を含む腸内細菌科、緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性菌群、淋菌、インフルエンザ菌、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌などに強力な抗菌活性を示した。また、炭疽菌、結核菌、ペスト菌、ブルセラ属、野兎病菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)に対しても抗菌力を示した[9][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19][20][21]
実験的マウス感染防御試験及び感染治療試験において、本剤は優れた防御及び治療効果を示した[11]

作用機序

本剤は、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに作用し、DNA複製を阻害する。DNAジャイレース及びトポイソメラーゼIV阻害活性はオフロキサシンの約2倍の強さであった[12][22][23][24][25][26]。抗菌作用は殺菌的であり[10][12]、MIC付近の濃度で溶菌が認められた[27]

耐性化に及ぼす用法・用量の影響

In vitroでヒト血中濃度推移を培地中に再現したモデルにおいて、500mg1日1回投与は100mg1日3回投与と比較して、肺炎球菌及び大腸菌の耐性菌出現を抑制した[28]

有効成分に関する理化学的知見

一般名レボフロキサシン水和物
一般名(欧名)Levofloxacin Hydrate
略名LVFX
化学名(3S)-9-Fluoro-3-methyl-10-(4-methylpiperazin-1-yl)-7-oxo-2,3-dihydro-7H-pyrido[1,2,3-de][1,4]benzoxazine-6-carboxylic acid hemihydrate
分子式C18H20FN3O4・1/2H2O
分子量370.38
融点約226℃(分解)
性状淡黄白色〜黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、水又はメタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。光によって徐々に暗淡黄白色になる。
分配係数n-オクタノール−Sorensen緩衝液(pH7.0);0.553(37℃)
KEGG DRUGD00588

包装

クラビット錠250mg

(プラスチックボトル)100錠

(PTP)100錠 500錠

クラビット錠500mg

(プラスチックボトル)100錠

(PTP)50錠 100錠 500錠

(日本薬局方レボフロキサシン錠)

クラビット細粒10%

(プラスチックボトル)100g

(H.S.)2.5g×100

(日本薬局方レボフロキサシン細粒)

主要文献


1. 谷村 弘ほか,   Jpn J Antibiot. , 45 (5) , 557-568 , (1992) »PubMed
2. Nakashima M,et al.,   臨床薬理 , 23 (2) , 515-520 , (1992)
3. 社内資料:Effects of Renal Dysfunction
4. 梅田 優ほか,   日本透析医学会雑誌 , 30 (2) , 109-115 , (1997) »J-STAGE »J-GLOBAL
5. Kanamori M,et al.,   臨床薬理 , 32 (3) , 91-99 , (2001)
6. 社内資料:シメチジン、プロベネシドによる影響
7. 河野 茂ほか,   日本化学療法学会雑誌 , 51 (S-1) , 255-278 , (2003)
8. Yu VL,et al.,   Chest , 125 (6) , 2135-2139 , (2004) »PubMed
9. 社内資料:L.pneumophilaに対するin vitro抗菌活性
10. Une T,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 32 (9) , 1336-1340 , (1988) »PubMed
11. Tanaka M,et al.,   J Antimicrob Chemother. , 26 (5) , 659-666 , (1990) »PubMed
12. Fujimoto T,et al.,   Chemotherapy , 36 , 268-276 , (1990) »PubMed
13. 五島瑳智子ほか,   Chemotherapy , 40 (S-3) , 14-26 , (1992) »J-GLOBAL
14. 渡辺邦友ほか,   Chemotherapy , 40 (S-3) , 57-63 , (1992) »J-GLOBAL
15. 西野武志ほか,   Chemotherapy , 40 (S-3) , 36-50 , (1992) »J-GLOBAL
16. Frean JA,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 40 (11) , 2646-2647 , (1996) »PubMed
17. Ikaheimo I,et al.,   J Antimicrob Chemother. , 46 (2) , 287-290 , (2000) »PubMed
18. Trujillano-Martin I,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 43 (1) , 194-195 , (1999) »PubMed
19. Maurin M,et al.,   J Antimicrob Chemother. , 39 (6) , 725-730 , (1997) »PubMed
20. 社内資料:臨床分離株に対する抗菌活性
21. 社内資料:新鮮臨床分離結核菌(多剤耐性結核菌を含む)に対する抗菌活性
22. Imamura M,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 31 (2) , 325-327 , (1987) »PubMed
23. Hoshino K,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 35 (2) , 309-312 , (1991) »PubMed
24. Hoshino K,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 38 (11) , 2623-2627 , (1994) »PubMed
25. Tanaka M,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 35 (7) , 1489-1491 , (1991) »PubMed
26. Tanaka M,et al.,   Antimicrob Agents Chemother. , 41 (11) , 2362-2366 , (1997) »PubMed
27. Tanaka M,et al.,   Arzneimittel-Forsch/Drug Res. , 39 (II:7) , 750-754 , (1989)
28. 神田裕子ほか,   日本化学療法学会雑誌 , 57 (1) , 1-14 , (2009)

作業情報


改訂履歴

2013年11月 改訂
2015年8月 第11版 改訂

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
第一三共株式会社
103-8426
東京都中央区日本橋本町3-5-1
0120-189-132

お問い合わせ先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
第一三共株式会社
103-8426
東京都中央区日本橋本町3-5-1
0120-189-132

業態及び業者名等

製造販売元
第一三共株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2016/04/20 版