医療用医薬品 : オルガラン |
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総称名 | オルガラン |
一般名 | ダナパロイドナトリウム |
欧文一般名 | Danaparoid sodium |
製剤名 | ダナパロイドナトリウム注射液 |
薬効分類名 | 血液凝固阻止剤 |
薬効分類番号 | 3339 |
ATCコード | B01AB09 |
KEGG DRUG |
D03644
ダナパロイドナトリウム
商品一覧 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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オルガラン静注1250単位 | ORGARAN Intravenous 1250U | 共和クリティケア | 3339600A1030 | 1253円/管 | 生物由来製品 , 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること
出血している患者
血友病、血小板減少性紫斑病、消化管潰瘍、脳内出血のある患者[出血を助長するおそれがある。]
血液透析が必要な患者[排泄遅延により、出血を起こすおそれがある。また、投与中に血液透析が必要な状態に至った場合には速やかに投与を中止する。]
重篤な肝障害のある患者[凝固因子やアンチトロンビンIIIの産生が低下しているので、本剤の作用が変動するおそれがある。]
本剤又は亜硫酸塩に対し過敏症の患者[添加物として乾燥亜硫酸ナトリウムを含有している。]
出血する可能性が高い患者
急性細菌性心内膜症、重症高血圧症、糖尿病網膜症[血管や臓器の障害部位に出血が起こるおそれがある。]
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の既往歴のある患者で、ヘパリン抗体と本剤との交差反応性のある患者(「重大な副作用」の項参照)
脳、脊椎、眼科手術又は頭部外傷後日の浅い患者[出血を助長することがある。]
汎発性血管内血液凝固症(DIC)
通常、成人にはダナパロイドナトリウムとして1回1,250抗第Xa因子活性単位を12時間ごとに静脈内注射する(1日量2,500抗第Xa因子活性単位)。なお、症状に応じ適宜減量する。
本剤の抗第Xa因子活性単位は本薬独自の標準品を用いて測定しており、ヘパリン又は低分子ヘパリン類の抗第Xa因子活性単位と同一ではないので注意すること。
慎重投与
重篤な腎障害のある患者[排泄遅延により、出血を起こすおそれがあるので、血清クレアチニン値が2mg/dL以上の場合には、投与量を減らすか投与間隔を延ばす、又は投与の中止を考慮する。]
喘息のある患者[添加物として使用している乾燥亜硫酸ナトリウムに対して感受性の高い患者ではアナフィラキシー様の症状を起こすおそれがある。]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
小児等(「小児等への投与」の項参照)
重要な基本的注意
類薬で、脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等の併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫により麻痺に至ったとの報告がある。このような場合に本剤を使用するときには、患者の神経障害の徴候及び症状を十分観察し、異常がみられた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
本剤の使用にあたっては、観察を十分に行い、出血の増悪がみられた場合には減量又は投与を中止すること。(「重大な副作用」の項参照)
20日を越える投与は経験が少なく、安全性は確認されていない。
相互作用序文
他の薬剤との相互作用は、可能なすべての組合せについて検討されているわけではないので、抗凝血療法施行中に新たに他剤を併用したり、休薬する場合には、凝血能の変動に注意すること。
併用注意
抗凝血剤 | 本剤の作用が増強するおそれがある。 | 本剤とこれら薬剤の抗凝血作用が相加的に作用し、出血作用が増強するおそれがある。 |
血栓溶解剤 ウロキナーゼ t-PA製剤等 | 類似化合物(ヘパリン)でその作用を増強することが報告されている。 | 本剤の抗凝血作用とこれら薬剤のフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強するおそれがある。 |
血小板凝集抑制作用を有する薬剤 アスピリン ジピリダモール チクロピジン塩酸塩等 非ステロイド系抗炎症剤等 | 類似化合物(ヘパリン)でその作用を増強することが報告されている。 | 本剤の抗凝血作用とこれら薬剤の血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強するおそれがある。 |
ペニシリン系抗生物質 クロキサシリンナトリウム チカルシリンナトリウム | 本剤の作用が増強するおそれがある。 | これら薬剤と相加的に作用し、出血傾向が増強するおそれがある。 |
潰瘍性のある薬剤 コルチコステロイド | 本剤により出血傾向が増強するおそれがある。 | これら薬剤による潰瘍性出血が増強するおそれがある。 |
強心配糖体 ジゴキシン | 本剤の作用が減弱するおそれがある。 | 本剤の抗第Xa因子活性のクリアランスが増加し、消失半減期が短縮する。 |
テトラサイクリン系抗生物質 ニトログリセリン製剤 | 類似化合物(ヘパリン)でその作用を減弱することが報告されている。 | 機序不明 |
副作用
副作用発現状況の概要
総症例3,576例中、359例(10.0%)に副作用が認められた。その主な副作用は出血85件(2.4%)、AST(GOT)上昇37件(1.0%)、ALT(GPT)上昇37件(1.0%)、LDH上昇35件(1.0%)、γ-GTP上昇26件(0.7%)、ALP上昇20件(0.6%)であった。〔再審査終了時〕
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
アナフィラキシー様症状(頻度不明)
アナフィラキシー様症状(血圧低下、呼吸困難)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血小板減少症(頻度不明)
ヘパリン又は低分子ヘパリンで起因される血小板減少症(HIT)の既往歴のある患者のうち、ときに本剤投与により血小板減少症があらわれることがある。既往歴のある患者では本剤投与後に血小板数を測定し、血小板の著明な減少がみられたときには、投与を中止すること。
出血(頻度不明)
消化管出血等の重篤な出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は中止するなど、適切な処置を行うこと。
重大な副作用 (類薬)
ショック
類似化合物(ヘパリン)でショックが起こることが報告されている。
その他の副作用
頻度不明 | 1〜5%未満 | 1%未満 | |
精神神経系 | めまい | ||
過敏症 | 発疹、局所又は全身の過敏反応 | ||
血液 | 赤血球数減少、血色素量減少、ヘマトクリット減少、白血球数減少、好酸球増多、好塩基球増多、単球増多 | ||
肝臓 | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇 | 総ビリルビン上昇、ALP上昇、LAP上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇 | |
腎臓 | BUN上昇、クレアチニン上昇、尿蛋白、尿潜血 | ||
代謝異常 | 中性脂肪上昇 | ||
その他 | 血腫 |
高齢者への投与
慎重に投与すること[一般に高齢者では生理機能が低下している。]。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[使用経験が少ない[1][2]。]。
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、授乳を避けさせること[ヒト母乳中では抗第Xa因子活性は認められなかったとの報告があるが[2]、動物実験(ラット)において3H-ダナパロイドナトリウムを投与したとき、放射活性の乳汁中への移行が認められたとの報告がある[3]。]。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない[使用経験が少ない。]。
過量投与
出血症状があらわれるおそれがあるので、凝血能の変動に注意し、異常がみられた場合には新鮮凍結人血漿を投与する又は血漿分離交換法(プラスマフェレーシス)などの適切な処置を行うこと。なお、プロタミンは部分的に本剤の抗凝固活性を中和するが、その効果は不十分である。
適用上の注意
本剤は単独で直接静脈内に投与する。点滴回路の側管から投与する場合は、他剤との配合変化に注意すること。
使用時
本剤はワンポイントアンプルであるが、カット時の異物混入を避けるため、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してから、カットすることが望ましい。
血中濃度
健常成人に本剤を750〜3,000抗第Xa因子活性単位の投与量で単回静脈内投与した場合、血漿中抗第Xa因子活性の推移に用量依存性が認められ、その消失半減期は17.4〜27.8時間であった[4]。また、本剤1,250抗第Xa因子活性単位を1日1回5日間投与した場合及び1,500抗第Xa因子活性単位を1日2回5.5日間投与した場合、どちらの用法とも血漿中抗第Xa因子活性は5日間で定常状態に達すると考えられ、また、それぞれの薬物速度論的パラメータは単回投与時のそれとほぼ等しかった[4][5]。
動物での分布・代謝・排泄
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤は出血症状、臓器症状並びに凝血学的検査値を改善し、総合効果は「中等度改善」以上で65.2%(88例/135例)、「軽度改善」以上で78.5%(106例/135例)であった。
抗血栓作用[15]
ダナパロイドナトリウムはラットでの動静脈シャントモデル及び静脈血栓モデルにおいて血栓形成を用量依存的に抑制した。
ダナパロイドナトリウムはラットでのエンドトキシン誘発DICモデルにおいて、各種血液凝固及び線溶機能検査値を改善し、腎糸球体のフィブリン血栓形成を抑制した。
ダナパロイドナトリウムはヒト血漿において、第Xa因子凝固時間を用量依存的に延長したが、プロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間をほとんど延長しなかった(in vitro)。
ダナパロイドナトリウムの抗凝固作用はアンチトロンビンIIIによる第Xa因子の阻害作用を増強することが主な作用であると考えられた。同じ第Xa因子の阻害活性を有するヘパリンと比較すると、アンチトロンビンIIIによるトロンビン及び第IXa因子の阻害作用の増強はともに1/10以下と弱かった。ダナパロイドナトリウムはヘパリンコファクターIIによるトロンビンの阻害作用を増強し、この作用は抗凝固作用に一部関与していると考えられた。
一般名 | ダナパロイドナトリウム |
一般名(欧名) | Danaparoid sodium |
分子量 | 平均分子量約5,500 |
性状 | 白色〜微黄色の粉末で、においはない。水に溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。 |
本質 | ブタの小腸粘膜由来のヘパラン硫酸(約84%)、デルマタン硫酸(約12%)、コンドロイチン硫酸(約4%)のナトリウム塩の混合物からなる平均分子量約5,500の低分子量ヘパリノイド。 |
KEGG DRUG | D03644 |
オルガラン静注1250単位
1mL×10管
1. | Greinacher,A.,et al., Thromb.Res., 71, 123, (1993) »PubMed |
2. | Harrison,S.J.,et al., Blood Coagul. and Fibrinolysis, 12, 157, (2001) »PubMed |
3. | 江角凱夫ほか, (社内資料) |
4. | 安永幸二郎ほか, 薬理と治療, 23, 1345, (1995) |
5. | 安永幸二郎, (社内資料) |
6. | Delbressine,L.P.C.,et al., (社内資料) |
7. | Vos,R.M.E.,et al., (社内資料) |
8. | 安永幸二郎ほか, 基礎と臨床, 29, 1942, (1995) |
9. | 安永幸二郎ほか, 基礎と臨床, 29, 2373, (1995) |
10. | 上林純一ほか, 臨床医薬, 11, 1227, (1995) |
11. | 安永幸二郎ほか, 薬理と治療, 23, 2815, (1995) |
12. | 辻 肇ほか, 薬理と治療, 23, 1789, (1995) |
13. | 細田四郎ほか, 薬理と治療, 23, 2121, (1995) |
14. | 平山亮夫ほか, 基礎と臨床, 29, 2611, (1995) |
15. | Vogel,G.M.T.,et al., Thromb.Res., 54, 399, (1989) »PubMed |
16. | 高淵洋彰ほか, 日本血栓止血学会誌, 3, 169, (1992) »J-STAGE |
17. | Fujishima,Y.,et al., Thromb.Res., 91, 221, (1998) »PubMed |
18. | Van Dinther,T.G.,et al., (社内資料) |
19. | Hobbelen,P.M.J., Thromb.Res., 48, 549, (1987) »PubMed |
20. | 藤島祐子ほか, (社内資料) |
改訂履歴 |
2011年6月 改訂 |
文献請求先 |
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。 |
業態及び業者名等 |
共和クリティケア株式会社 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2018/4/18 版 |