医療用医薬品 : トリパレン |
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販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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トリパレン1号輸液 | TRIPAREN No.1 Injection | 大塚製薬工場 | 3239508A2030 | 384円/袋 | 処方せん医薬品 |
トリパレン2号輸液 | TRIPAREN No.2 Injection | 大塚製薬工場 | 3239509A2034 | 419円/袋 | 処方せん医薬品 |
ビタミンB1を併用せずに高カロリー輸液療法を施行すると重篤なアシドーシスが発現することがあるので、必ずビタミンB1を併用すること(《用法・用量に関連する使用上の注意》の項参照)。
ビタミンB1欠乏症と思われる重篤なアシドーシスが発現した場合には、直ちに100〜400mgのビタミンB1製剤を急速静脈内投与すること。
また、高カロリー輸液療法を施行中の患者では、基礎疾患及び合併症に起因するアシドーシスが発現することがあるので、症状があらわれた場合には高カロリー輸液療法を中断し、アルカリ化剤の投与等の処置を行うこと。
次の患者には投与しないこと
電解質代謝異常のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
高カリウム血症(乏尿、アジソン病、高窒素血症等)の患者
高リン血症(副甲状腺機能低下症等)の患者
高マグネシウム血症(甲状腺機能低下症等)の患者
高カルシウム血症の患者
肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[本剤に混注されるアミノ酸の代謝が十分に行われないため、症状が悪化するおそれがある。]
重篤な腎障害のある患者[水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。また、本剤に混注されるアミノ酸の代謝産物である尿素等が滞留し、症状が悪化するおそれがある。]
アミノ酸代謝異常症の患者[本剤に混注されるアミノ酸が代謝されず、症状が悪化するおそれがある。]
遺伝性果糖不耐症の患者[果糖が正常に代謝されず、低血糖症等が発現し、さらに肝不全や腎不全が起こるおそれがある。]
経口・経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、カロリー補給
トリパレン1号輸液
本品は経中心静脈栄養療法の開始時で、耐糖能が不明の場合や耐糖能の低下している場合の開始液として、あるいは糖尿病状態時や侵襲時等でインスリンの分泌が低下しており、ブドウ糖を制限する必要がある場合の維持液として用いる。
本品200mLに対して10〜12%アミノ酸注射液を100mLの割合で加えて開始液とする。
通常、成人1日1800mLの開始液を24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。
トリパレン2号輸液
本品は経中心静脈栄養療法の維持液として用いる。
本品200mLに対して10〜12%アミノ酸注射液を100mLの割合で加えて維持液とする。
通常、成人1日1800mLの維持液を24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。
高カロリー輸液療法施行中にビタミンB1欠乏により重篤なアシドーシスが起こることがあるので、本剤を投与する場合には、必ず必要量(1日3mg以上を目安)のビタミンB1を併用すること。
トリパレン1号輸液のNa+及びCl−の含量は抑えてあるので、必要のある場合はこれら電解質を補正すること。また、トリパレン2号輸液には1日量(1200mL)として、70mEqのNa+及び88mEqのCl−が含有されている。
したがって、Na+に比べてCl−が過剰に含まれるアミノ酸注射液等を混注した時には、これらの薬剤に由来するCl−が増加し、アシドーシスを助長することがあるので注意すること。
慎重投与
菌血症の患者[カテーテルが二次感染巣となることがあり、敗血症さらには敗血症性ショックを起こすおそれがある。]
心不全のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
腎不全のある患者[水分、電解質の調節機能が低下しているので、慎重に投与すること。]
閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者[水分、電解質の過負荷となり、症状が悪化するおそれがある。]
脱水症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により水分、電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
尿崩症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
糖尿病の患者[ブドウ糖の組織への移行が抑制されているので、高血糖を生じ症状が悪化するおそれがある。]
重症熱傷のある患者[水分、電解質代謝等が著しく障害されており、慎重に投与する必要がある。]
高度のアシドーシスのある患者[症状が悪化するおそれがある。]
膵障害(膵炎、膵硬化症、膵腫瘍等)のある患者[糖代謝異常等を伴うことがあり、慎重に投与する必要がある。]
肝障害のある患者[キシリトールの大量を急速投与すると、肝障害があらわれるおそれがある。]
重要な基本的注意
高血糖、尿糖があらわれるおそれがあるので、トリパレン1号輸液から開始するなど、糖濃度を徐々に高めること。
急激な投与中止により低血糖を起こすおそれがあるので、投与を中止する場合には糖濃度を徐々に下げること。
併用注意
ジギタリス製剤 ジゴキシン等 | 不整脈等の症状があらわれた場合には、投与を中止すること。 | カルシウムにはジギタリス製剤の作用を増強することが知られている。 |
副作用
副作用発現状況の概要
総症例5,497例中、臨床検査値異常を含む副作用が報告されたのは49例(0.89%)で、発現件数は55件であった(再審査終了時、1998年)。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
アシドーシス
重篤なアシドーシスがあらわれることがある(【警告】の項参照)。
その他の副作用
頻度不明 | 0.1〜5%未満 | |
代謝異常 | 高血糖(高浸透圧性利尿、口渇)、高カリウム血症 | |
肝臓 | 肝障害(AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇) | |
大量・急速投与 | ≪脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫、水中毒≫、<腎障害> |
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しており、肝・腎・心等の機能障害を伴うことも多いので、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
適用上の注意
投与経路
末梢静脈内には投与しないこと。
調製方法
本剤には10〜12%アミノ酸注射液を混注して使用すること。
調製時
配合変化試験の結果から、次のような製剤を配合する場合は、沈殿等の外観変化を生じることがあるので注意すること。
アルカリ性側で安定化されている製剤
水に難溶性の製剤
リン酸イオン又は炭酸イオンにより沈殿を生じるので、リン酸塩又は炭酸塩を含む製剤と配合しないこと。
脂肪乳剤と配合しないこと。
アミノ酸注射液を混注したものは速やかに使用すること。
投与前
尿量は1日500mL又は1時間あたり20mL以上あることが望ましい。
投与に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具消毒)。
寒冷期には体温程度に温めて使用すること。
開封後直ちに使用し、残液は決して使用しないこと。
(参考)ウサギ
いずれの糖も14C標識したブドウ糖(G)、果糖(F)、キシリトール(X)の糖配合液を手術侵襲負荷のウサギに静脈内投与した。
その結果、呼気中14CO2の累積排泄率はG:F:X=8:4:2(=4:2:1)の配合比の液が最も高い値を示し、また尿中排泄率でも良好な値が得られた[1]。
呼気中14CO2の累積排泄率
全国33施設で、消化器癌を中心とした患者327症例を対象に実施した臨床試験(比較試験を含む)の結果、良好な栄養補給効果が得られ[2][3][4][5][6][7][8][9][10][11]、特に窒素出納や血糖管理の面においてはブドウ糖のみを糖質とする製剤よりも優れた効果が認められた[3][5]。
ブドウ糖(G)、果糖(F)、キシリトール(X)の3種類の糖質の配合比を変えた液を、開腹術による侵襲負荷のウサギに高カロリー輸液法により3日間投与した。
その結果、G:F:X=8:4:2(=4:2:1)の配合比のものが窒素出納や血糖値からみて最も良好な成績を示した[12]。
窒素出納
血中グルコースレベル
小腸切除術を行ったビーグル犬を用い、術後21日間にわたりトリパレン1号輸液(術後第1、2日)、トリパレン2号輸液(術後第3〜21日)を高カロリー輸液法で投与した。
その結果、順調な体重増加など、良好な栄養効果が認められた[13]。
注射針はゴム栓の○印にまっすぐ刺すこと。斜めに刺すと注射針が容器頸部を貫通し、液漏れの原因となることがある(ソフトバッグ製品)。
ソフトバッグ製品は、原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。
包装内に水滴が認められるものや内容液が着色又は混濁しているものは使用しないこと。
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
トリパレン1号輸液
600mL 10袋 ソフトバッグ入り
トリパレン2号輸液
600mL 10袋 ソフトバッグ入り
1. | 大柳治正,他, JJPEN, 6 (5), 557-570, (1985) |
2. | 山本政勝,他, JJPEN, 6 (5), 571-583, (1985) |
3. | 日置紘士郎,他, JJPEN, 6 (5), 585-599, (1985) |
4. | 古屋清一,他, JJPEN, 6 (5), 601-619, (1985) |
5. | 大浪優二,他, JJPEN, 6 (5), 621-626, (1985) |
6. | 西 正晴,他, JJPEN, 6 (5), 627-637, (1985) |
7. | 奥野匡宥,他, JJPEN, 6 (5), 639-650, (1985) |
8. | 城戸良弘,他, JJPEN, 6 (5), 651-659, (1985) |
9. | 饒波 保, JJPEN, 6 (5), 661-668, (1985) |
10. | 曽田益弘,他, JJPEN, 6 (5), 669-676, (1985) |
11. | 加固紀夫,他, JJPEN, 7 (2), 407-415, (1985) |
12. | 大柳治正,他, JJPEN, 6 (5), 531-537, (1985) |
13. | 桑波田十九男,他, 基礎と臨床, 19 (2), 829-850, (1985) |
改訂履歴 |
2011年4月 改訂 |
文献請求先 |
株式会社大塚製薬工場 |
業態及び業者名等 |
販売提携 製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2018/3/22 版 |