医療用医薬品 : ブロクリン |
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総称名 | ブロクリン |
一般名 | ピンドロール |
欧文一般名 | Pindolol |
製剤名 | ピンドロール持続性カプセル |
薬効分類名 | 本態性高血圧症治療剤 |
薬効分類番号 | 2149 |
ATCコード | C07AA03 |
KEGG DRUG |
D00513
ピンドロール
商品一覧 商品一覧(他薬効を含む) 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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ブロクリン−Lカプセル5mg (後発品) | BLOCKLIN-L | 高田製薬 | 2149011N1024 | 24.7円/カプセル | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
ブロクリン−Lカプセル15mg (後発品) | BLOCKLIN-L | 高田製薬 | 2149011N2020 | 58.5円/カプセル | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分及び他のβ遮断剤に対し過敏症の既往歴のある患者
気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[喘息等の症状を誘発・悪化させるおそれがある。]
糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[本症でみられる心筋収縮力抑制を増強するおそれがある。]
高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(2、3度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
心原性ショック、肺高血圧による右心不全、うっ血性心不全の患者[心筋収縮力を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
重症の末梢循環障害(壊疽等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
未治療の褐色細胞腫の患者(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
チオリダジンを投与中の患者[不整脈、QT延長等があらわれることがある。](「3.相互作用」の項参照)
本態性高血圧症(軽症〜中等症)
通常、成人にはピンドロールとして15mgを1日1回朝食後に経口投与する。
なお、年齢、体重、症状によっては通常量以下に適宜減量する。
褐色細胞腫の患者では、本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあるので、α遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。
慎重投与
うっ血性心不全のおそれのある患者[心筋収縮力を抑制し、症状を誘発するおそれがあるので、観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど慎重に投与すること。]
低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつ低血糖の前駆症状である頻脈等の症状をマスクしやすいので、血糖値に注意すること。]
重篤な肝・腎障害のある患者[代謝又は排泄が遅延するおそれがある。]
徐脈、房室ブロック(1度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがあるので、心機能に注意すること。](【禁忌】の項参照)
甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある。](「2.重要な基本的注意」の項参照)
末梢循環障害(レイノー症候群、間欠性跛行症等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある。](【禁忌】の項参照)
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
小児等(「7.小児等への投与」の項参照)
重要な基本的注意
長期投与の場合は、心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的に行うこと。
特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には、減量又は中止すること。また、必要に応じアトロピンを投与するなど対症療法を行うこと。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。
類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合には、徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。
狭心症以外の適用で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。
甲状腺中毒症の患者では急に投与を中止すると、症状を悪化させることがあるので、休薬を要する場合には、徐々に減量し、観察を十分に行うこと。
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させること。
相互作用
併用禁忌
チオリダジン メレリル | 不整脈、QT延長等があらわれることがある。 | 本剤はチオリダジンの肝における酸化的な代謝を阻害し、血中濃度を上昇させると考えられている。 |
併用注意
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤 レセルピン等 | 過剰の交感神経抑制を来し、徐脈、血圧低下等があらわれるおそれがあるので、両剤の用量を調節するなど注意すること。 | 共に交感神経抑制作用を有するため、過剰の抑制を来すおそれがある。 |
レセルピン | 脈拍の増加等があらわれることがあるので、本剤を減量するなど注意すること。 | レセルピンによりカテコールアミンが枯渇した状態においては、本剤の内因性交感神経刺激作用が顕在化することがある。 |
血糖降下剤 インスリン、 グリベンクラミド等 | 血糖降下作用を増強することがあり、また、低血糖に伴う頻脈等の交感神経系の症状をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること。 | 本剤のβ遮断作用(糖新生、グリコーゲン分解抑制)により、低血糖からの回復が遅れることがある。 |
カルシウム拮抗剤 ベラパミル、 ジルチアゼム等 | 相互に作用が増強され、過度の降圧又は心機能抑制があらわれるおそれがあるので、両剤の用量を調節するなど注意すること。 | 両剤の陰性変時・変力作用、降圧作用が相加的に増強する。 |
クロニジン | クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇)を増強するおそれがある。 クロニジンの投与を中止する場合には、本剤を数日前に中止し、経過を観察してから行うこと。 | クロニジンの投与中止により血中ノルアドレナリンが増加した場合、本剤のβ遮断作用によりα刺激作用が優位となり、血圧が上昇するおそれがある。 |
Class1抗不整脈剤 ジソピラミド、 プロカインアミド、 アジマリン等 アミオダロン | 過度の心機能抑制があらわれることがあるので、両剤の用量を調節するなど注意すること。 | 共に心機能抑制作用を有するため、過剰の抑制を来すおそれがある。 |
麻酔剤 エーテル等 | 過剰の交感神経の抑制を起こす可能性があるので、心機能等に注意すること。 | 共に交感神経抑制作用を有するため、過剰の抑制を来すおそれがある。 |
ジギタリス製剤 | 徐脈、房室ブロック、心室性頻拍等があらわれるおそれがあるので、心機能に注意すること。 | 共に刺激伝導速度の抑制作用を有するため、過度の房室伝導時間の延長を来すおそれがある。 |
非ステロイド性抗炎症剤 インドメタシン等 | 本剤の降圧作用が減弱することがあるので、必要に応じて本剤を増量すること。 | 非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの合成・遊離を阻害することにより、本剤の降圧作用を減弱する可能性がある。 |
降圧作用を有する他の薬剤 ニトログリセリン等 | 降圧作用が増強されるおそれがあるので、両剤の用量を調節するなど注意すること。 | 共に降圧作用を有するため、過度の血圧低下を来すおそれがある。 |
交感神経刺激剤 アドレナリン等 | 昇圧反応を引き起こすことがあるので、血圧値に注意すること。 | 本剤のβ遮断作用により、交感神経刺激剤のα刺激作用が優位となり、血圧が上昇することがある。 |
副作用
副作用発現状況の概要
承認時における安全性評価対象例488例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は77例(15.8%)に認められた。主なものは、CK(CPK)上昇36件、めまい16件等であった。
再審査終了時における安全性評価対象例1782例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は155例(8.70%)に認められた。主なものは、CK(CPK)上昇41件、腓腸筋痙直12件等であった。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
心不全(0.1〜5%未満)、心胸比増大(0.1%未満)
心不全の誘発・悪化、また、心胸比増大がみられることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
喘息症状(0.1%未満)
喘息症状の誘発・悪化がみられることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
頻度不明 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | |
過敏症注) | 発疹等 | ||
眼注) | 涙液分泌減少、霧視等 | ||
精神神経系注) | めまい、ふらつき、頭痛、不眠、脳貧血様症状、眠気、振戦 | 精神症状(抑うつ、幻覚)、悪夢、多汗等 | |
循環器 | 低血圧、動悸、徐脈、胸痛、浮腫 | 房室ブロック、脚ブロック | |
消化器 | 悪心・嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振、口渇、心窩部不快感等 | ||
肝臓 | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇 | ||
その他注) | CK(CPK)上昇、LDH上昇、血清尿酸値上昇 | 脱力感、倦怠感、熱感、手足のしびれ感 | 腓腸筋痙直(こむらがえり)、その他の筋肉痛、筋緊張亢進 |
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
高齢者では、一般に過度の降圧は好ましくないとされている。[脳梗塞等が起こるおそれがある。]
休薬を要する場合は、徐々に減量する。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)
過量投与
過量投与時には通常次のような処置が行われる。
過度の徐脈にはアトロピン硫酸塩を静注し、効果不十分な場合にはβ刺激剤(イソプレナリン塩酸塩、オルシプレナリン硫酸塩等)を徐々に静注する。
低血圧には昇圧剤(アドレナリン、ドパミン等)を投与する。心不全にはジギタリス製剤、利尿剤を投与する。なお、グルカゴンの静注が有効な場合もある。
気管支痙攣にはβ2刺激剤(サルブタモール硫酸塩等)又はアミノフィリンを静注する。
これらの処置の間は患者を常に観察下におくこと。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
β遮断剤服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗する場合がある。
血漿中濃度
本態性高血圧症入院患者17例を対象にピンドロール持続性カプセル15mgを1日1回(朝食後)、ピンドロール錠5mgを1日3回(毎食後)連続7日間クロスオーバーにて投与し、各製剤の投与第7日の血漿中ピンドロール濃度を測定した。血漿中ピンドロール濃度の時間推移は図1のとおりであり、ピンドロール持続性カプセル15mgでは投与6時間後に最高値を示した。また、このとき同一症例におけるピンドロール持続性カプセル15mg1日1回投与時の吸収量(AUC)は、ピンドロール錠5mg、1日3回投与時のそれとほぼ同様であった(図2)1)。(測定法:HPLC)
図1 投与第7日における血漿中ピンドロール濃度の時間推移
図2 投与第7日の各症例における両製剤についてのAUCの関係
排泄
ピンドロール持続性カプセル15mgを経口投与したとき、24時間後までの尿中排泄率は25.4%であった。
その他
(外国人によるピンドロール使用時のデータ)
血漿蛋白結合率
50.6±2.5%2)(mean±S.E.)
ピンドロール錠5mgを対照薬とした二重盲検比較試験において、本態性高血圧症を対象とした本剤単独投与時の有効率は、64.5%(49例/76例)であった3)。
表1 臨床成績
対象 | (著明下降+下降)例数/降圧効果評価対象例数 | 有効率(%) |
二重盲検比較試験3) | 49/76 | 64.5 |
長期投与試験4) | 37/59 | 62.7 |
薬理作用
交感神経β受容体遮断作用
健康成人男性7例を対象にピンドロール持続性カプセル15mgを朝食後に1回投与して、投与前、投与1、4、8、10時間後に運動負荷試験を実施した。投与1、4、8、10時間後の血圧及び心仕事量(収縮期血圧×心拍数)は投与前に比べて有意に低下した5)。
血圧及び脈拍数の日内変動に及ぼす影響
本態性高血圧症入院患者(成人)17例を対象にピンドロール持続性カプセル15mgを1日1回(朝食後)、ピンドロール錠5mgを1日3回(毎食後)、連続7日間クロスオーバーにて投与し、投与第7日における日内の血圧及び脈拍数変動を比較した。ピンドロール持続性カプセル15mg、1日1回投与での日内の血圧は投与前に比べて有意に低下しており、持続的な降圧効果が認められた。脈拍数に対しては有意な変動を及ぼさなかった1)。
作用機序
降圧作用
β受容体遮断作用による心拍出量減少のほかに、中枢神経系への作用やレニン分泌抑制作用等の関与が考えられている6)。
ブロクリン-Lカプセル5mg
PTP包装
100カプセル(10カプセル×10)
1000カプセル(10カプセル×100)
ブロクリン-Lカプセル15mg
PTP包装
100カプセル(10カプセル×10)
500カプセル(10カプセル×50)
1. | 池田正男他, 薬理と治療, 13 (2), 781, (1985) |
2. | Weiss,Y.A.et al., Curr.Ther.Res., 21 (5), 644, (1977) »PubMed |
3. | 池田正男他, Geriatr.Med., 23 (3), 420, (1985) |
4. | 関顕他, Ther.Res., 2 (2), 357, (1985) |
5. | 関顕他, 薬理と治療, 13 (2), 763, (1985) |
6. | Simpson,F.O., Drugs, 7 (1), 85, (1974) »PubMed »DOI |
改訂履歴 |
2010年4月 改訂 |
文献請求先 |
高田製薬株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2020/12/16 版 |