医療用医薬品 : カルビスケン |
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総称名 | カルビスケン |
一般名 | ピンドロール |
欧文一般名 | Pindolol |
製剤名 | ピンドロール錠 |
薬効分類名 | 高血圧・狭心症・頻脈治療剤 |
薬効分類番号 | 2123 |
ATCコード | C07AA03 |
KEGG DRUG |
D00513
ピンドロール
商品一覧 商品一覧(他薬効を含む) 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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カルビスケン錠5mg | CARVISKEN Tablets 5mg | アルフレッサファーマ | 2123009F3096 | 13.1円/錠 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分及び他のβ-遮断剤に対し過敏症の既往歴のある患者
気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[喘息等の症状を誘発・悪化させるおそれがある。]
糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[本症でみられる心筋収縮力抑制を増強するおそれがある。]
高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
心原性ショック、肺高血圧による右心不全、うっ血性心不全の患者[心筋収縮力を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
低血圧症の患者[降圧作用により症状を悪化させるおそれがある。]
重症の末梢循環障害(壊疽等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
未治療の褐色細胞腫の患者(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)
チオリダジンを投与中の患者[不整脈、QT延長等があらわれることがある。](「3.相互作用」の項参照)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
本態性高血圧症(軽症〜中等症)
通常成人にはピンドロールとして1回5mgを1日3回投与する。なお、年齢・症状に応じ適宜増減する。
狭心症
通常成人にはピンドロールとして1回5mgを1日3回投与する。効果が不十分な場合は1日量30mgまで増量する。なお、年齢・症状に応じ適宜増減する。
洞性頻脈
通常成人にはピンドロールとして1回1〜5mgを1日3回投与する。なお、年齢・症状に応じ適宜増減する。
褐色細胞腫の患者では、本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあるので、α-遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα-遮断剤を併用すること。
慎重投与
うっ血性心不全のおそれのある患者[心筋収縮力を抑制し、症状を誘発するおそれがあるので、観察を十分に行い、ジギタリス製剤を併用するなど慎重に投与すること。]
低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつ低血糖の前駆症状である頻脈等の症状をマスクしやすいので血糖値に注意すること。]
重篤な肝・腎障害のある患者[代謝又は排泄が遅延するおそれがある。]
徐脈、房室ブロック(I度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがあるので心機能に注意すること(【禁忌】(4)の項参照)。]
甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある(「2.重要な基本的注意(3)」の項参照)。]
末梢循環障害(レイノー症候群、間欠性跛行症等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある(【禁忌】(8)の項参照)。]
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
小児等(「7.小児等への投与」の項参照)
重要な基本的注意
長期投与の場合は、心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は中止すること。また、必要に応じアトロピンを投与するなど対症療法を行うこと。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。
類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合には徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。
甲状腺中毒症の患者では急に投与を中止すると、症状を悪化させることがあるので、休薬を要する場合には徐々に減量し、観察を十分に行うこと。
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させること。
相互作用
併用禁忌
チオリダジン (メレリル) | 不整脈、QT延長等があらわれることがある。 | 本剤はチオリダジンの肝における酸化的な代謝を阻害し、血中濃度を上昇させると考えられる。 |
併用注意
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤 レセルピン等 | 過剰の交感神経抑制を来し、徐脈、血圧低下等があらわれるおそれがあるので、用量に注意すること。 | 共に交感神経抑制作用を有するため。 |
レセルピン | 脈拍の増加等があらわれることがあるので、用量に注意すること。 | レセルピンによりカテコラミンが枯渇した状態においては本剤の内因性交感神経刺激作用が顕在化することがある。 |
血糖降下剤 インスリン グリベンクラミド等 | 血糖降下作用を増強することがある。また、低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること。 | 本剤のβ-遮断作用により、低血糖からの回復が遅れることがあり、また、低血糖に伴う交感神経系の症状をマスクする。 |
カルシウム拮抗剤 ベラパミル ジルチアゼム等 | 相互に作用が増強され、過度の降圧又は心機能抑制があらわれるおそれがあるので、用量に注意すること。 | 共に陰性変時・変力作用、降圧作用を有するため。 |
クロニジン | クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇)を増強するおそれがある。クロニジンの投与を中止する場合には、本剤を数日前に中止し、経過を観察してから行うこと。 | クロニジンの投与中止により血中ノルアドレナリンが増加した場合、本剤のβ-遮断作用によりα-刺激作用(血管収縮作用)が優位となるため。 |
Class I抗不整脈剤 ジソピラミド プロカインアミド アジマリン等 アミオダロン | 過度の心機能抑制があらわれることがあるので、用量に注意すること。 | 共に心機能抑制作用を有するため。 |
麻酔剤 エーテル等 | 過剰の交感神経の抑制を起こすおそれがあるので、心機能等に注意すること。 | 共に交感神経抑制作用を有するため。 |
ジギタリス製剤 | 房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等があらわれるおそれがあるので、心機能に注意すること。 | 共に刺激伝導速度の抑制作用を有するため。 |
非ステロイド性抗炎症剤 インドメタシン等 | 本剤の降圧作用が減弱することがあるので、用量に注意すること。 | 非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの合成・遊離を阻害し血圧を上昇させることがある。 |
降圧作用を有する他の薬剤 ニトログリセリン等 | 過度の降圧を来すおそれがあるので、用量に注意すること。 | 共に降圧作用を有するため。 |
交感神経刺激剤 アドレナリン等 | 昇圧反応を引き起こすことがあるので、血圧値に注意すること。 | 本剤のβ-遮断作用により交感神経刺激剤のα-刺激作用が優位となるため。 |
副作用
副作用発現状況の概要
総症例10,377例中何らかの副作用が報告されたのは、487例(4.7%)であった。主な副作用は頭痛・頭重感56件(0.5%)、脱力・けん怠感52件(0.5%)、不眠48件(0.5%)、悪心・嘔吐45件(0.4%)、脳貧血様症状44件(0.4%)、めまい42件(0.4%)、ふらつき感41件(0.4%)等であった。(承認時まで及び市販後1980年5月までの集計)
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
以下のような副作用があらわれることがある。これらの副作用を疑わせる臨床検査所見及び症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心不全の誘発・悪化、心胸比増大(1%未満)
喘息症状の誘発・悪化(0.1%未満)
その他の副作用
頻度不明 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | |
過敏症注) | − | 発疹 | − |
循環器 | 低血圧 | 動悸、胸痛、浮腫 | 徐脈 |
精神神経系 | 精神症状(抑うつ、幻覚)注)、悪夢注) | めまい、ふらつき、頭痛、不眠、脳貧血様症状、眠気 | 振戦、多汗 |
消化器 | 口渇 | 悪心・嘔吐、下痢、心窩部不快感 | 腹痛、食欲不振 |
肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇 | − | − |
眼注) | 涙液分泌減少、霧視 | − | − |
その他 | CK(CPK)、LDH、血清尿酸値の上昇 | 脱力感、けん怠感、手足のしびれ感 | 熱感、腓腸筋痙直(こむらがえり)注)、その他の筋肉痛注) |
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。
休薬を要する場合は、徐々に減量する(「2.重要な基本的注意(2)」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
過量投与
過量投与時には通常次のような処置が行われる。
過度の徐脈にはアトロピン硫酸塩水和物を静注し、効果不十分な場合にはβ-刺激剤(イソプレナリン塩酸塩、オルシプレナリン硫酸塩等)を徐々に静注。低血圧には昇圧剤(アドレナリン、ドパミン等)を投与。心不全にはジギタリス製剤、利尿剤を投与。なお、グルカゴンの静注が有効な場合もある。気管支痙攣にはβ2-刺激剤(サルブタモール硫酸塩等)又はアミノフィリン水和物を静注。
これらの処置の間は患者を常に観察下におくこと。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
β-遮断剤服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告がある。
血中濃度
健常人にピンドロールを1回5mg経口投与した場合の薬物動態パラメータは次のとおりである。ピンドロール経口投与後の吸収率は90%以上であった1)。
ピンドロールは肝においてファーストパスを受けにくく、バイオアベイラビリティーは高い2)。(外国人のデータ)
ピンドロール5mg単回経口投与後の薬物動態パラメータ
Tmax (h) | Cmax (ng/mL) | AUC0−24
(ng・h/mL) | T1/2
(h) |
1.33 | 33.1 | 239.2 | 3.65 |
代謝・排泄
ピンドロールは主として肝臓で代謝され、尿中主代謝物はグルクロン酸抱合体、硫酸抱合体であった。未変化体として36.1%が排泄された。尿中総排泄率は約80%であった。(外国人のデータ)
in vitroの試験においてピンドロールの代謝酵素としてCYP2D6の関与が示唆されている3)。
二重盲検比較試験(本態性高血圧症、狭心症)を含む本態性高血圧症741例、狭心症270例及び不整脈444例の総計1,455例について行われた臨床試験成績の概要は次のごとくである。
本態性高血圧症
本態性高血圧症を主とする高血圧症308例にカルビスケンを投与した結果、234例(76.0%)に降圧効果がみられた。投与量は多くの症例において15mg/日であった。
本態性高血圧症患者を対象としたカルビスケン単独投与4)及びチアジド系降圧利尿剤との併用5)による二重盲検比較試験において本剤の有用性が認められた。
狭心症
狭心症に対するカルビスケンの有効率は65.3%(132/202)であった。投与量は多くの症例で15mg/日であった。狭心症患者を対象とした二重盲検交差比較試験6)において本剤の有用性が認められた。
洞性頻脈
洞性頻脈に対するカルビスケンの有効率は79.2%(80/101)であった。投与量は多くの症例において15mg/日であった。
交感神経β-受容体遮断作用
内因性交感神経刺激作用(ISA)
ピンドロールはレセルピン前処置により交感神経活動が低下した状態で心拍数増加を示すがこれはISAによる(ネコ)9)。
膜安定化作用
ピンドロールの神経線維及び心筋における活動電位に対する抑制作用は極めて弱い(カエル、イヌin vitro)10)。
循環動態に及ぼす作用
本態性高血圧症患者にピンドロールを連続経口投与すると血圧の下降に伴って全末梢抵抗の減少がみられるが、心拍数及び心拍出量は有意な変化を認めない11)。
100錠、500錠、1000錠(PTP)
1. | Gugler,R.et al., Eur J Clin Pharmacol, 7, 17, (1974) »PubMed »DOI |
2. | Gugler,R.et al., Clin Sci Mol Med, 51 (Suppl 3), 473S, (1976) »PubMed »DOI |
3. | Ferrari,S.et al., Life Sci, 48, 2259, (1991) »PubMed »DOI |
4. | 村上元孝 他, 医学のあゆみ, 114, 396, (1980) |
5. | 相澤豊三 他, クリニカ, 2, 393, (1975) |
6. | 岸本道太 他, 医学のあゆみ, 114, 482, (1980) |
7. | 丸山昇治 他, 新潟医学会雑誌, 84, 368, (1970) |
8. | Saameli,K., Helv Physiol Pharmacol Acta, 25, CR219, (1967) »PubMed |
9. | Clark,B.J., Curr Med Res Opin, 4 (Suppl 5), 6, (1977) |
10. | Singh,B.N.et al., Br J Pharmacol, 43, 10, (1971) »PubMed »DOI |
11. | Tsukiyama,H.et al., Jpn Circ J, 47, 313, (1983) »PubMed »DOI |
改訂履歴 |
2011年10月 改訂 |
文献請求先 |
アルフレッサファーマ株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2020/12/16 版 |