医療用医薬品 : セトロタイド

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医薬品情報


総称名 セトロタイド
一般名 セトロレリクス酢酸塩
欧文一般名 Cetrorelix Acetate
製剤名 注射用セトロレリクス酢酸塩
薬効分類名 GnRHアンタゴニスト
薬効分類番号 2499
ATCコード H01CC02
KEGG DRUG D01685 酢酸セトロレリクス
商品一覧 米国の商品
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 包装 主要文献

商品情報 詳細

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
セトロタイド注射用0.25mg Cetrotide 日本化薬 249940YD1028 劇薬 , 処方箋医薬品
セトロタイド注射用3mg Cetrotide 日本化薬 249940YD2024 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

本剤の成分又はGnRH誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]

卵巣,乳房,子宮,下垂体又は視床下部に腫瘍のある患者[本剤投与に先立って実施される卵巣刺激薬の投与により腫瘍が悪化あるいは顕性化するおそれがある。]

診断の確定していない不正出血のある患者[悪性腫瘍の疑いがあり,その場合,卵巣刺激薬の投与により腫瘍が悪化あるいは顕性化するおそれがある。]

効能・効果及び用法・用量

効能効果

調節卵巣刺激下における早発排卵の防止

用法用量

3mg単回投与法

卵巣刺激開始6又は7日目に,セトロレリクスとして3mgを腹部皮下に単回投与する。
なお,卵胞の発育が不十分等の理由により,セトロレリクス投与から5日以内に排卵誘発を行わない場合には,セトロレリクス3mg投与の5日後から排卵誘発当日まで,セトロレリクスとして0.25mgを1日1回腹部皮下に連日投与する。

0.25mg反復投与法

卵巣刺激開始6日目から排卵誘発当日まで,セトロレリクスとして0.25mgを1日1回腹部皮下に連日投与する。

使用上の注意

慎重投与

アレルギー素因のある患者

連続した周期で卵巣刺激を受ける患者[連続した周期での本剤の投与経験が少ないため。]

重要な基本的注意

本剤は,調節卵巣刺激法に十分な知識及び経験のある医師が使用すること。

アナフィラキシーが発現することがあるので,救急処置の可能な状態で,本剤投与後の患者の状態を十分に観察すること。

卵巣刺激薬の投与中や,それに引き続きヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤(hCG)を投与した場合に,卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があらわれることがある。血栓塞栓症,腎不全等の重篤な疾患に至るおそれがあるため,腹部不快感,腹部膨満感,悪心,嘔吐,呼吸困難,乏尿等の自覚症状,急激な体重増加,卵巣腫大,並びに血液濃縮,電解質異常,腹水・胸水貯留等の臨床所見を認めた場合には,速やかに安静及び電解質・アルブミン製剤投与,ヘパリン療法等の適切な処置を行い,必要により入院管理を行うこと。また,hCG投与前にこれらの徴候があれば,hCG投与を控えること。

卵巣刺激薬を用いた不妊治療では多胎妊娠の頻度が高くなる。多胎妊娠は単胎妊娠に比し,流・早産が多いこと,妊娠高血圧症候群等の合併症を起こしやすいこと,低出生体重児出生や奇形等のために周産期死亡率が高いこと等の異常が発生しやすいのでその旨をあらかじめ患者に説明すること。
日本産科婦人科学会の調査によると,平成15年の新鮮胚を用いた体外受精・胚移植の治療成績では,妊娠数15842例中,双胎が2474例(15.62%),三胎が239例(1.51%),四胎が3例(0.02%)であった[1]

体外受精・胚移植等の生殖補助医療を受ける不妊女性では卵管異常がしばしば認められ,子宮外妊娠の可能性が高くなる。超音波診断法による子宮内妊娠の初期確認が重要である。

生殖補助医療を受ける女性の流産率は一般女性より高いのでその旨を患者に十分説明すること。

生殖補助医療後の先天異常の発生率は,自然受胎後に比べて高いとの報告がある[2]

在宅自己注射を行う場合は,患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。

自己投与の適用については,医師がその妥当性を慎重に検討し,十分な教育訓練を実施した後,患者自ら確実に投与できることを確認した上で,医師の管理指導のもとで実施すること。また,溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後,本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には,直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。[「重大な副作用」の項参照]

使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。

すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に,使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。

在宅自己注射を行う前に,本剤の「在宅自己注射説明書」を必ず読むよう指導すること。

副作用

副作用発現状況の概要

国内の承認時における安全性評価対象例68例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は17例(25.0%)に認められた。主なものは,そう痒感・発赤等の注射部位反応12例(17.6%)等であった。
また,欧州における第2相試験及び第3相試験における安全性評価対象例887例中,副作用は84例(9.5%)に認められた。主なものは,そう痒感・発赤等の注射部位反応70例(7.9%)等であった。[承認時]

3mg単回投与法及び0.25mg反復投与法による製造販売後臨床試験が実施された。両投与法における安全性評価対象例102例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は17例(16.7%)に認められた。主なものは,そう痒感・発赤等の注射部位反応17例(16.7%),白血球数増加1例(1.0%)であった。
使用成績調査の1,108例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は13例(1.2%)に認められた。主なものは,そう痒感・発赤等の注射部位反応10例(0.9%),卵巣過剰刺激症候群(OHSS)3例(0.3%),性器出血1例(0.1%)であった。[再審査終了時]

重大な副作用及び副作用用語

その他の副作用

 1〜5%未満1%未満
内分泌系 頭痛,ほてり,性器出血
消化器 悪心,下痢
肝臓 AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,γ-GTP上昇
注射部位そう痒感・発赤・熱感・刺激感・腫脹等の注射部位反応 
その他の副作用の頻度は,承認時の臨床試験(国内第III相試験),製造販売後臨床試験及び使用成績調査に基づき算出した。♯:欧州での臨床第II・III相試験で認められた副作用

妊婦,産婦,授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[初期胚発生に関する試験では,ラットに0.139mg/kg/日(臨床用量※2の2.3倍に相当)を皮下投与した群において,100%の着床後死亡率が認められた[3]。また,胚・胎児発生に関する試験では,ラットに0.0147mg/kg/日(臨床用量※2の0.2倍に相当)以上を皮下投与した群において生存胎児数の減少,ウサギに0.00681mg/kg/日(臨床用量※2の0.1倍に相当)以上を皮下投与した群において早期吸収胚の出現が認められた。なお,いずれの動物試験においても催奇形作用は認められなかった。〔ラット(0.0464mg/kg/日),ウサギ(0.0215mg/kg/日)〕[4][5]

※2:3mg単回投与法の臨床用量(体重50kgとして0.06mg/kg)

授乳中の婦人には投与しないこと。[ヒト母乳中への移行性や授乳期にある新生児及び乳児に対する影響は不明である。]

適用上の注意

調製時

0.25mg製剤は注射用水1mLに,3mg製剤は注射用水3mLに溶解すること。

気泡発生を伴う激しい振りは避けること。

注射溶液が澄明でない場合は使用しないこと。

用時調製し,溶解後は直ちに使用すること。

投与時

皮下注射にあたっては下記の点に注意すること。

注射部位は腹部の皮下(臍部の周辺)とすること。

注射による局所刺激を最小限にするために,注射部位は毎回変更し,同一部位への反復注射は行わないこと。

注射針が血管内に入っていないことを確認すること。

注射部位をもまないように患者に指示すること。

薬物動態

血漿中濃度

3mg単回投与

閉経前の健康成人女性4例に,セトロレリクス3mgを腹部皮下に単回投与したときの,未変化体の血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図1・表1に示す[6]

図1 血漿中濃度(3mg単回投与時)

表1 薬物動態パラメータ(3mg単回投与時)

投与量
(mg)
nCmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
T1/2α
(hr)
T1/2β
(hr)
3428.3±14.11.1±0.6593±3127.3±5.882.9±111.9
(測定法:LC/MS)(mean±S.D.)

0.25mg反復投与

閉経前の健康成人女性6例に,セトロレリクス0.25mgを腹部皮下に1日1回7日間連日投与したときの,未変化体の血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図2・表2に示す[7]

図2 血漿中濃度(0.25mg反復投与時)

表2 薬物動態パラメータ(0.25mg反復投与時)

投与回数nCmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-24
(ng・hr/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
1回目611.12±2.971.1±0.581.57±40.055.6±2.1
7回目9.25±5.041.1±0.675.88±45.2093.31±70.685.9±1.4
(測定法:RIA)(mean±S.D.)

代謝

臨床試験において,セトロレリクスを単回皮下投与した健康成人女性の尿から代謝物は検出されなかったが,胆管ドレナージを受けている被験者の胆汁からは,未変化体,ヘプタペプチド(1-7),ヘキサペプチド(1-6),テトラペプチド(1-4)及びノナペプチド(1-9)が検出された[8][9]。(測定法:HPLC,外国人によるデータ)
また,ヒト肝臓の膜分画,可溶性分画及びヒト血漿を用いたin vitro試験で代謝物を認めなかった。これらのことから,セトロレリクスの代謝は酸化反応ではなくぺプチターゼによる加水分解反応によるものと考えられている。また,本薬は,ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験で,CYP分子種(CYP1A2,2C8/9,2C19,2D6,2E1及び3A4)の代謝活性にほとんど影響を及ぼさなかった[10][11]

排泄

閉経前の健康成人女性に,セトロレリクス3mgを腹部皮下に単回投与したときの,投与後72時間までの尿中排泄率は3.42±1.09%(mean±S.D.)であった[6]
また,胆管ドレナージ患者にセトロレリクス10mg(承認外用量)を単回皮下投与したときの,24時間以内の未変化体及び代謝物の胆汁中排泄率は7.2%であった[9]。(外国人によるデータ)

蛋白結合率

セトロレリクスをヒト血漿に添加して超遠心法により測定した血漿蛋白結合率は,40〜500ng/mLの濃度範囲において85.1〜87.0%であった[12]。(外国人によるデータ)

臨床成績

国内第3相試験

3mg単回投与

有効性評価対象例37例の全例において早発排卵が防止され,排卵誘発を目的とするhCGの投与が100%(37例/37例)の症例で可能であった[13]
また,採卵率,胚移植率及び胚移植例あたりの妊娠率はそれぞれ100%(37例/37例),97.3%(36例/37例),25.0%(9例/36例)であった。

0.25mg反復投与

有効性評価対象例31例の全例において早発排卵が防止され,排卵誘発を目的とするhCGの投与が100%(31例/31例)の症例で可能であった[14]
また,採卵率,胚移植率及び胚移植例あたりの妊娠率はそれぞれ100%(31例/31例),83.9%(26例/31例),19.2%(5例/26例)であった。

欧州第3相試験

3mg単回投与

排卵誘発を目的とするhCGの投与が98.3%(113例/115例)の症例で可能であった[15]
また,採卵率,胚移植率及び胚移植例あたりの妊娠率はそれぞれ98.3%(113例/115例),86.1%(99例/115例),26.3%(26例/99例)であった。

0.25mg反復投与

排卵誘発を目的とするhCGの投与が96.3%(514例/534例)の症例で可能であった[16][17]
また,採卵率,胚移植率及び胚移植例あたりの妊娠率はそれぞれ94.0%(502例/534例),85.0%(454例/534例),24.7%(112例/454例)であった。

薬効薬理

薬理作用

閉経前の健康成人女性4例の月経周期1〜5日目にセトロレリクス3mgを腹部皮下に投与すると,血清LH(黄体形成ホルモン)濃度は投与直後から速やかに低下し,7日間にわたって10mIU/mL未満の低濃度を維持した[18]

図3 血清LH濃度の推移(3mg投与時)

(参考)

セトロレリクスは単回投与において,去勢雄ラットのLH分泌を,また,卵巣摘出雌ラットのLH及びFSH(卵胞刺激ホルモン)分泌を抑制した。また,成熟雌ラットにおいては,発情前期LHサージを阻止し,性周期を延長させた。反復投与においても,雌雄ラット共に下垂体LHと性ステロイドホルモンの分泌を抑制した。雄サルを用いた反復投与においては,LH及びテストステロンの分泌を抑制した[19][20][21][22][23]

作用機序

セトロレリクスは,内因性GnRHと競合してヒト下垂体GnRH受容体に結合し,内因性GnRHの作用を遮断することにより下垂体からのゴナドトロピン分泌を抑制する。このため,下垂体ゴナドトロピン分泌は投与直後から速やかに抑制され,GnRHアゴニスト投与でみられる投与初期の下垂体ゴナドトロピンの一過性分泌亢進は起こらない[24]

有効成分に関する理化学的知見

一般名セトロレリクス酢酸塩
一般名(欧名)Cetrorelix Acetate
化学名(−)-N-Acetyl-3-(2-naphthyl)-D-alanyl-p-chloro-D-phenylalanyl-3-(3-pyridyl)-D-alanyl-L-seryl-L-tyrosyl-N 5-carbamoyl-D-ornithyl-L-leucyl-L-arginyl-L-prolyl-D-alanin-amide acetate
分子式C70H92ClN17O14・xC2H4O2(1≦x≦2)
分子量1491.09(一酢酸塩)〜1551.14(二酢酸塩)
融点約218℃
性状白色の軽質の粉末である。
水/酢酸(100)混液(7:3)にやや溶けやすく,水,メタノール及びエタノール(95)に溶けにくく,アセトニトリルに極めて溶けにくい。
分配係数0.094[pH6.9,1-オクタノール/水]
KEGG DRUGD01685

包装

セトロタイド注射用0.25mg

1瓶
溶解液として,日局注射用水1mLを添付している。

セトロタイド注射用3mg

1瓶
溶解液として,日局注射用水3mLを添付している。

主要文献


1. 久保春海,  日本産科婦人科学会雑誌,  57 (10),  1601,  (2005)
2. Hansen,M.et al.,  N.Engl.J.Med.,  346 (10),  725,  (2002) »PubMed
3. Schneider,S.,  社内資料(ラット初期胚発生に関する試験),  (1996)
4. Mitterer,K.E.,  社内資料(ラット胚・胎児発生に関する試験),  (1992)
5. Mitterer,K.E.,  社内資料(ウサギ胚・胎児発生に関する試験),  (1992)
6. 坪井實,  社内資料(第1相試験,単回投与試験),  (1996)
7. 坪井實,  社内資料(第1相試験,0.25mg反復投与試験),  (2000)
8. Romeis,P.,  社内資料(尿中薬物濃度),  (1997)
9. Wurbs,D.,  社内資料(胆汁及び尿中薬物濃度),  (1998)
10. Schupke,H.et al.,  社内資料(in vitro代謝に関する試験),  (1997)
11. 河城孝史ほか,  社内資料(CYP分子種活性に及ぼす影響),  (2000)
12. Romeis,P.et al.,  社内資料(蛋白結合に関する試験),  (1994)
13. 百枝幹雄ほか,  社内資料(3mg単回投与法における有効性),  (2000)
14. 原田省ほか,  社内資料(0.25mg反復投与法における有効性),  (2000)
15. Olivennes,F.et al.,  Fertil.Steril.,  73 (2),  314,  (2000) »PubMed
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21. Reissmann,T.,  社内資料(ラット性周期に対する影響),  (1990)
22. Weinbauer,G.et al.,  社内資料(ラットLH及び性腺ステロイド抑制作用),  (1992)
23. Nieschlag,E.,  社内資料(サルLH及びテストステロン抑制作用),  (1998)
24. Reissmann,T.et al.,  Hum.Reprod.Update,  6 (4),  322,  (2000) »PubMed

作業情報


改訂履歴

2016年1月 第9版 改訂
2019年4月 第10版 改訂

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
メルクバイオファーマ株式会社
東京都目黒区下目黒1-8-1 アルコタワー
0120-870-088

業態及び業者名等

提携
エテルナゼンタリス社
ドイツ連邦共和国

発売
メルクバイオファーマ株式会社
東京都目黒区下目黒1丁目8番1号 アルコタワー

製造販売元
日本化薬株式会社
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2019/4/17 版