医療用医薬品 : ミリスロール

List   Top

医薬品情報


総称名 ミリスロール
一般名 ニトログリセリン
欧文一般名 Nitroglycerin
製剤名 ニトログリセリン注射液
薬効分類番号 2149 2171
ATCコード C01DA02 C05AE01
KEGG DRUG D00515 ニトログリセリン
商品一覧 商品一覧(他薬効を含む) 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2014年8月 改訂 (23)


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 包装 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ミリスロール注1mg/2mL Millisrol Inj.1mg/2mL 日本化薬 2171403A1030 123円/管 劇薬 , 処方箋医薬品
ミリスロール注5mg/10mL Millisrol Inj.5mg/10mL 日本化薬 2171403A2052 422円/管 劇薬 , 処方箋医薬品
ミリスロール注25mg/50mL Millisrol Inj.25mg/50mL 日本化薬 2171403A3040 1550円/瓶 劇薬 , 処方箋医薬品
ミリスロール注50mg/100mL Millisrol Inj.50mg/100mL 日本化薬 2171403A4055 2677円/瓶 劇薬 , 処方箋医薬品
ミリスロール注50mg/100mL Millisrol Inj.50mg/100mL 日本化薬 2171403A7046 2677円/袋 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]

高度な貧血の患者[血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。]

ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者[本剤とこれらの薬剤との併用により降圧作用が増強され、過度に血圧を低下させることがある。(「3.相互作用」の項参照)]

効能・効果及び用法・用量

効能・効果

手術時の低血圧維持

手術時の異常高血圧の救急処置

急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)

不安定狭心症

用法・用量

1)2)

本剤は、注射液そのまま、又は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液、乳酸リンゲル液等で希釈し、ニトログリセリンとして0.005〜0.05%(1mL当たり50〜500μg)溶液を点滴静注する。
本剤は、通常1分間に体重1kg当たりニトログリセリンとして、効能・効果ごとに下表に基づき投与する。

効能・効果用法・用量
手術時の低血圧維持1〜5μg/kg/分の投与量で投与を開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
手術時の異常高血圧の救急処置0.5〜5μg/kg/分の投与量で投与を開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
急性心不全
(慢性心不全の急性増悪期を含む)
0.05〜0.1μg/kg/分の投与量で投与を開始し、目的とする血行動態を得るまで血圧、左心室充満圧などの循環動態をモニターしながら5〜15分ごとに0.1〜0.2μg/kg/分ずつ増量し、最適点滴速度で維持する。
不安定狭心症0.1〜0.2μg/kg/分の投与量で投与を開始し、発作の経過及び血圧をモニターしながら約5分ごとに0.1〜0.2μg/kg/分ずつ増量し、1〜2μg/kg/分で維持する。効果がみられない場合には20〜40μg/kgの静注を1時間ごとに併用する。なお、静注する場合は1〜3分かけて緩徐に投与する。

用法用量に関連する使用上の注意

本剤は塩化ビニル製の輸液容器及び輸液セットに吸着されるので、本剤点滴時にはガラス製、ポリエチレン製又はポリプロピレン製の輸液容器を使用すること。また、輸液セットへの吸着は点滴速度が遅い程及び輸液セットの長さが長くなる程吸着率が大きくなるので注意すること。[「8.適用上の注意」の項(1)参照]

用法及び用量のうち急性心不全及び不安定狭心症については吸着のない輸液セットを使用した場合の用法及び用量であり、従って塩化ビニル製の輸液セットを用いる場合には多量を要することがあるので注意すること。

使用上の注意

慎重投与

新生児及び乳幼児[「7.小児等への投与」の項参照]

高齢者[「5.高齢者への投与」の項参照]

メトヘモグロビン血症の患者[メトヘモグロビン血症をさらに悪化させるおそれがある。]

頭部外傷又は脳出血のある患者[頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。]

著しく血圧の低い患者[血圧低下をさらに悪化させるおそれがあるので、必要ならばドパミン塩酸塩等の昇圧剤を併用すること。]

肝障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]

重要な基本的注意

本剤の作用には個人差がみられるので、本剤投与中は必ず並行して血圧のモニターを行うこと。急性心不全に対して本剤を用いる場合にはSwan-Ganzカテーテル等を使用し、肺動脈拡張期圧、肺動脈楔入圧等の血行動態をモニターしながら投与すること。また、循環機能検査、動脈血検査、尿量の検査をあわせて行うなど、患者の全身状態を十分に管理しながら投与すること。

本剤の過剰投与により血圧が低下し過ぎた場合には投与を中止すること。また、速やかに血圧を回復させたい場合には昇圧剤を投与すること。

手術後は、患者の血圧が完全に回復するまで管理を行うこと。

本剤とホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を低下させることがあるので、本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。

相互作用

併用禁忌

ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ、レバチオ)
バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)
タダラフィル(シアリス、アドシルカ、ザルティア)
併用により、降圧作用を増強することがある。本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
リオシグアト(アデムパス)
併用により、降圧作用を増強することがある。本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。

併用注意

パンクロニウムパンクロニウムの神経筋遮断効果を延長することがある。機序不明
利尿剤
他の血管拡張剤
血圧低下が増強されることがある。ともに血圧低下作用を有する。
ヘパリンヘパリンの作用を減弱するとの報告がある。機序不明

副作用

副作用発現状況の概要

<概要>

総症例6,549例(承認時807例、使用成績調査5,742例)における副作用及び臨床検査値異常の発現率は4.4%であり、主なものは血圧低下1.6%、頻脈1.1%、頭痛・頭重感0.4%等であった。〔再審査終了時〕

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

急激な血圧低下(1.6%)、心拍出量低下(0.1%未満)等

急激な血圧低下、心拍出量低下、心拍数増加、投与終了後の遷延性血圧低下、リバウンド現象等があらわれることがある。このような副作用があらわれた場合には投与を中止すること。また、速やかに血圧を回復させたい場合には、ドパミン塩酸塩等の昇圧剤を投与すること。

その他の副作用

 0.1〜5%未満0.1%未満
循環器頻脈注)、不整脈 
血液 メトヘモグロビン血症
呼吸器PaO2(動脈血酸素分圧)低下 
精神神経系頭痛・頭重感 
消化器悪心・嘔吐 
その他乏尿代謝性アシドーシス、脳浮腫、胸部不快感、倦怠感、口内乾燥感、あくび
注)頻脈は若年者で発現しやすい。

高齢者への投与

本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では一般に肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続し、血圧低下等が発現するおそれがあるので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている。]

小児等への投与

新生児及び乳幼児には慎重に投与すること。[メトヘモグロビン還元酵素活性が低いので、メトヘモグロビン血症を起こしやすい。]

適用上の注意

輸液容器・輸液セット等への吸着

ニトログリセリンは、一般的に使用されている塩化ビニル製の輸液容器及び輸液セット等に吸着し、投与量が正確に静脈内に投与されない。吸着率は点滴速度が遅く、投与セットが長い程高くなる。ニトログリセリン濃度は、吸着率の変化に影響を与えない。点滴速度による影響は図のとおりで塩化ビニル管120cmでは点滴速度150mL/h(2.5mL/min)以上であれば投与量の80%以上が静脈内に注入される。また、塩化ビニル管の長さが長くなる程吸着率は高くなるので、本剤の使用にあたっては点滴速度、塩化ビニル管の長さに十分注意すること。

点滴速度による影響

測定条件:室温、塩化ビニル管の長さ:120cm

図中、各曲線の添字は点滴速度(mL/h)を示す。

本剤希釈時

本剤をpH10以上のアルカリ性溶液あるいは還元物質(アスコルビン酸など)を含む溶液で希釈すると、速やかにニトログリセリン含量が低下するので、このような溶液で希釈しないよう注意すること。

アンプルカット時

ミリスロール注1mg/2mL、5mg/10mLは、ワンポイントアンプルなので、マークを上にして下方へ折ること。なお、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭しカットすることが望ましい。

薬物動態

<血中濃度>3)

単回投与時

ヒト(術中患者)にニトログリセリン(以下GTN)を静脈内投与(4μg/kg)したとき、未変化体であるGTNの血漿中濃度曲線は2相性を示し、急速に減少した。この際の半減期は、α相が約0.4分及びβ相が約5分であった。

持続投与時

ヒト(術中患者)にGTNを100分間静脈内持続注入し、持続注入時及び持続注入終了後のGTN及びグリセリルジニトレート(GDN)を測定した。持続注入終了後のGTNは半減期4.6分で速やかに減少した。また、GDNは、1,2-GDN、1,3-GDNともに半減期約35分で緩やかに減少した。

注:GDNはGTNの生体内における脱ニトロ化代謝物

臨床成績

4)5)6)7)8)9)10)

本剤における臨床試験成績の概要は次のとおりである。

 有効率
低血圧麻酔84.4%(157/186)
高血圧対処86.2%(112/130)
急性心不全内科領域59.9%(115/192)
外科領域59.2%(61/103)
不安定狭心症80.0%(68/85)

薬効薬理

GTNの人為低血圧効果11)

ニホンザルを使用し、麻酔下におけるGTNによる人為低血圧効果について検討した。
GTNは生理食塩水で希釈して120μg/mL溶液とし、点滴速度は平均動脈圧を50mmHgに維持するよう適宜調節した。
GTN注入後、動脈圧は速やかに低下し、拡張期圧より収縮期圧の低下の方が大であった。GTN投与中止後の動脈圧の回復は速やかで、投与中止後1時間で投与前値の90%まで戻った。

GTNの抗高血圧効果12)

高血圧自然発症ラット(SHR)及び正常血圧ラットを用いて麻酔下におけるGTNの抗高血圧効果について検討した。
GTN(0.3〜100μg/kg)の静注はSHRの血圧を用量依存的に低下させた。
正常血圧ラットにおいても同様に降圧効果を示したが3μg/kg以上の用量における血圧の低下率はSHRの方が大きかった。
この結果はGTNが麻酔時の異常血圧上昇に対して有効であることを示すものである。

GTNの血管系に対する作用12)

GTNの人為低血圧及び抗高血圧効果はその血管拡張作用に基づくと思われる。この血管拡張作用をより明白にするため、単回静注による各臓器血流量の増大並びに摘出血管における血管拡張効果を検討した。
GTN(3〜30μg/kg)の麻酔犬への静注により脳血流量、冠血流量、大腿動脈血流量の増加がみられ、静脈血管拡張作用による静脈還流量の低下がみられた。また、摘出ウサギ大動脈標本及び摘出イヌ冠動脈標本において、GTNはノルアドレナリン及びKClによる収縮を抑制した。

急性心不全犬における血行動態学的効果13)

ビーグル犬(9.0〜12.0kg)をペントバルビタール麻酔下に僧帽弁腱索切断によって心不全状態とし、これに対するGTNの効果を検討した結果、次の様に各指標を変化させ心機能の改善がみられた。

1)左房圧の低下、2)全末梢血管抵抗の減少、3)心係数の増大、4)太い冠血管(左前下行枝)血流量の増大、5)肺動脈圧の低下

急性心不全犬に対するドパミンとの併用効果13)

ビーグル犬(9.0〜12.0kg)をペントバルビタール麻酔下に冠動脈結紮し、ドパミン(3〜5μg/kg/分)を持続静注して血圧を冠結紮前値に維持しながら、GTN(1及び3μg/kg/分)を併用した結果1μg/kg/分で左房圧、全末梢血管抵抗の改善に加え、心係数もドパミンによる改善傾向を維持した。また、心筋組織血流量は正常部及び虚血部ともに維持された。

<作用機序>14)

ニトログリセリンは直接血管平滑筋に作用し、低用量では静脈の、高用量では静脈及び動脈の拡張作用を示すとされている。

有効成分に関する理化学的知見

一般名ニトログリセリン
一般名(欧名)Nitroglycerin
化学名glyceryl trinitrate又は1,2,3-propanetriol trinitrate
分子式C3H5N3O9
分子量227.09
性状ニトログリセリンは、常温では無色澄明の粘稠性液体で、味は甘く灼熱感があり、衝撃により爆発する。
KEGG DRUGD00515

取扱い上の注意

本剤は皮膚につけると、動悸、頭痛が起こる場合があるので、直ちに水で洗い流すこと。

本剤は室温で安定であり冷蔵庫に保管する必要はない。凍結は避けること。

バッグ製剤に関する注意

輸液セットの針はゴム栓の穿刺位置にまっすぐに刺すこと。斜めに刺すと針がバッグの首部を傷つけて液漏れの原因となることがある。

次の場合には使用しないこと。

外袋内に内容液の漏出が認められたとき。

包装が破損していたとき。

排出部をシールしているフィルムが剥離していたとき。

容器の液目盛りは、およその目安として使用すること。

包装

1mg/2mL

10アンプル

5mg/10mL

10アンプル

25mg/50mL

10バイアル

50mg/100mL(バイアル)

10バイアル

50mg/100mL(バッグ)

10袋(バッグ)

主要文献


1. 山村秀夫他,  医学と薬学,  11,  1829,  (1984)
2. 花岡一雄他,  臨床麻酔,  9,  367,  (1985)
3. Izu,G.,et al.,  J.Chromatogr.,  229,  327,  (1982)
4. 山村秀夫他,  医学と薬学,  6,  1410,  (1981)
5. 花岡一雄他,  臨床麻酔,  5,  1304,  (1981)
6. 浅山健,  臨床麻酔,  5,  97,  (1981)
7. 花岡一雄他,  臨床麻酔,  5,  561,  (1981)
8. 秋岡要他,  ICUとCCU,  10,  327,  (1986)
9. 薄葉文彦他,  脈管学,  26,  183,  (1986)
10. 加藤和三他,  循環器科,  25,  305,  (1989)
11. 森本文子他,  麻酔,  29,  246,  (1980) »PubMed
12. 古田康彦他,  応用薬理,  22,  847,  (1981)
13. 古田康彦他,  呼吸と循環,  34,  273,  (1986)
14. Mason,D.T.,et al.,  Am.j.Med,  65,  106,  (1978) »PubMed

作業情報


改訂履歴

2013年11月 改訂 (22)
2014年8月 改訂 (23)

文献請求先

日本化薬株式会社
100-0005
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号
0120-505-282(フリーダイヤル)

業態及び業者名等

製造販売元
日本化薬株式会社
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2020/7/22 版