医療用医薬品 : 果糖 |
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販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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果糖注20%「フソー」 | 扶桑薬品工業 | 3232400A6064 | 94円/管 | 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
遺伝性果糖不耐症の患者[果糖が正常に代謝されず,低血糖症等が発現し,さらに肝不全や腎不全が起こるおそれがある。]
低張性脱水症の患者[本症はナトリウムの欠乏により血清の浸透圧が低張になることによって起こる。このような患者に本剤を投与すると,水分量を増加させることになり,症状が悪化するおそれがある。]
糖尿病及び糖尿病状態時のエネルギー補給
薬物中毒,アルコール中毒
その他非経口的に水・エネルギー補給を必要とする場合
注射剤の溶解希釈剤
通常成人1回20〜500mLを静脈内注射する
注射剤の溶解希釈には適量を用いる。
なお,年齢,症状により適宜増減する。
慎重投与
尿崩症の患者[本症には適切な水分,電解質管理が必要であり,本剤の投与により電解質等に影響を与え,症状が悪化するおそれがある。]
副作用
副作用発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
その他の副作用
頻度不明 | |
大量・急速投与 | 果糖の大量を急速投与すると,電解質喪失 |
大量投与 | 発汗,紅潮 |
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,投与速度を緩徐にし,減量するなど注意すること。
適用上の注意
皮下大量投与
皮下大量投与により,血漿中から電解質が移動して循環不全を招くおそれがあるので,皮下投与しないこと。
調製時
注射剤の溶解希釈剤として使用する場合は,果糖注射液が適切であることを確認すること。
投与前
投与に際しては,感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具消毒)。
体温程度に温めて使用すること。
開封後直ちに使用し,残液は決して使用しないこと。
投与速度
ゆっくり静脈内に投与すること。
その他の注意
果糖の大量を急速投与すると,乳酸アシドーシス,高尿酸血症,血栓静脈炎,胸部又は胃部の不快感・痛みがあらわれたとの報告がある。
代謝経路1)
果糖は主として,肝に存在するfructokinaseによりfructose-1-phosphateとなって代謝される。この酵素の活性は飢餓又はインスリンに影響されないため,果糖は糖尿病状態においても正常の速度で血中から消失する。
fructose-1-phosphateはさらにaldolase Bによりdihydroxy-acetone phosphateとD-glyceraldehydeにわかれ,pyruvateを経てTCA回路に導入される。遺伝性果糖不耐症はこの酵素の欠損によるものと考えられる。
生体における利用(インスリン非依存性)
点滴静注後の果糖のヒト血中からの消失は速やかで,血糖値もほとんど上昇せず,尿中への排泄もブドウ糖の場合より少なく,生体で良好に利用されることが示されている2)。
また果糖は糖尿病のヒトでも正常例と同様に代謝されることが報告されている3)。
すなわち,正常ヒトに果糖を静注した場合の血中濃度の増大はブドウ糖の場合の半分以下で,血中pyruvate値の増加はブドウ糖のおよそ3倍に達している。糖尿病のヒトにおいても,ブドウ糖と異なりインスリンなしでも正常例と同様の血中pyruvate値の増加,血中消失曲線が認められている。
蛋白節約作用4)
ヒトにアミノ酸と糖類を同時静注し,窒素出納を観察したところ,果糖はアミノ酸と同様に速やかに血中より消失し,ブドウ糖や転化糖より良好な窒素節約作用を示すことが報告されている。
解毒作用
一般名 | 果糖 |
化学名 | β-D-fructopyranose |
分子式 | C6H12O6 |
分子量 | 180.16 |
性状 | 無色〜白色の結晶又は結晶性の粉末で,においはなく,味は甘い。水に極めて溶けやすく,エタノール(95)にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。 |
KEGG DRUG | ![]() |
20mL 50ポリアル(スノープル)
スノープル
頭部を軽く捻るだけで簡単に開封できるポリエチレン製のアンプルである。
1. | Harper,H.A., Review of Physiological Chemistry,13th ed., 227, (1971) |
2. | Weichselbaum,T.E.et al., Proc.Soc.Exp.Biol.Med., 75, 816, (1950) »PubMed »DOI |
3. | Miller,M.et al., J.Clin.Invest., 31, 115, (1952) »PubMed »DOI |
4. | Elman,R.et al., Ann.Surg., 136, 635, (1952) »PubMed |
5. | Lowenstein,L.M.et al., J.A.M.A., 213, 1899, (1970) »PubMed |
6. | 小林清基, 内科宝函, 4, 876, (1957) |
改訂履歴 |
2014年7月 改訂(全面改訂) (第1版) |
文献請求先 |
扶桑薬品工業株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2023/01/25 版 |