ヒアルロン酸ナトリウムはフィブロネクチンと結合し、その作用を介して上皮細胞の接着、伸展を促進すると考えられる
5)6)。また、その分子内に多数の水分子を保持することによって優れた保水性を示す
7)。
外科的に角膜上皮下の基底膜まで剥離したウサギ角膜上皮剥離モデルに対し、0.1〜0.5%ヒアルロン酸ナトリウムを点眼したとき、剥離24時間後より基剤点眼群と比較し有意な創傷面積の減少が認められた
8)。
ウサギ摘出角膜片の培養系において、ヒアルロン酸ナトリウムは対照群(培養液のみ)と比較して有意に角膜上皮細胞層の伸展を促進した(
in vitro)
9)。
0.1%〜1.0%ヒアルロン酸ナトリウム溶液を寒天平板に滴下したとき、水分蒸発による寒天重量の減少は濃度依存的に抑制された(
in vitro)
7)。
<ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」>
18.5.1 角膜上皮創傷モデルに対する効果
n-ヘプタノールによりウサギ角膜上皮創傷モデルを作製し、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」、ヒアレイン点眼液0.1%又は対照物質(生理食塩液又は基剤)を点眼し、創傷作製後24時間の治癒面積から治癒率を求め、創傷に対する治癒作用を比較検討した。その結果、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」及びヒアレイン点眼液0.1%投与群の治癒率は対照物質投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された
10)、注)。
| 治癒率(%) |
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」 | 69.4±1.74##,†† |
ヒアレイン点眼液0.1% | 67.3±1.40##,†† |
生理食塩液 | 55.8±1.45 |
基剤 | 53.2±1.50 |
18.5.2 強制開瞼ドライアイモデルに対する効果
ウサギの眼瞼を強制的に開瞼してドライアイ角膜上皮創傷モデルを作製し、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」、ヒアレイン点眼液0.1%又は対照物質(生理食塩液又は基剤)を点眼して3時間後に創傷部位をメチレンブルーで染色し、その色素抽出量から角膜上皮創傷に対する治癒作用を比較検討した。その結果、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」及びヒアレイン点眼液0.1%投与群の色素抽出量は基剤投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された
11)、注)。
| 色素抽出量(μg) |
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」 | 1.60±0.05#,† |
ヒアレイン点眼液0.1% | 1.62±0.09#,† |
生理食塩液 | 2.48±0.10 |
基剤 | 2.48±0.18 |
<ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」>
18.5.3 角膜上皮創傷モデルに対する効果
n-ヘプタノールによりウサギ角膜上皮創傷モデルを作製し、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」、ヒアレインミニ点眼液0.3%又は対照物質(生理食塩液又は基剤)を点眼し、創傷作製後24時間の治癒面積から治癒率を求め、創傷に対する治癒作用を比較検討した。その結果、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」及びヒアレインミニ点眼液0.3%投与群の治癒率は対照物質投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された
12)、注)。
| 治癒率(%) |
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」 | 69.5±1.95#,†† |
ヒアレインミニ点眼液0.3% | 70.2±2.71#,†† |
生理食塩液 | 60.2±2.58 |
基剤 | 56.7±1.67 |
18.5.4 強制開瞼ドライアイモデルに対する効果
ウサギの眼瞼を強制的に開瞼してドライアイ角膜上皮創傷モデルを作製し、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」、ヒアレインミニ点眼液0.3%又は対照物質(生理食塩液又は基剤)を点眼して3時間後に創傷部位をメチレンブルーで染色し、その色素抽出量から角膜上皮創傷に対する治癒作用を比較検討した。その結果、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」及びヒアレインミニ点眼液0.3%投与群の色素抽出量は対照物質投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された
13)、注)。
| 色素抽出量(μg) |
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」 | 1.24±0.13#,† |
ヒアレインミニ点眼液0.3% | 1.19±0.13#,† |
生理食塩液 | 2.49±0.11 |
基剤 | 2.50±0.08 |
注)ヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「Nitten」及びヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「ニッテン」の生物学的同等性に関しては、平成23年承認のヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.1%「TS」及びヒアルロン酸ナトリウム点眼液0.3%「TS」の申請時添付資料により評価された。