医療用医薬品 : アセタノール |
List Top |
総称名 | アセタノール |
一般名 | アセブトロール塩酸塩 |
欧文一般名 | Acebutolol Hydrochloride |
製剤名 | アセブトロール塩酸塩製剤 |
薬効分類名 | 高血圧・狭心症・不整脈治療剤 |
薬効分類番号 | 2123 |
ATCコード | C07AB04 |
KEGG DRUG |
D00597
アセブトロール塩酸塩
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
アセタノールカプセル100 | Acetanol | サノフィ | 2123001M1029 | 14.1円/カプセル | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
アセタノールカプセル200 | Acetanol | サノフィ | 2123001M2025 | 25.3円/カプセル | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスに基づく心筋収縮力の抑制を増強させるおそれがある。]
高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロックのある患者[心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
肺高血圧による右心不全の患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
うっ血性心不全の患者[心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
未治療の褐色細胞腫の患者[<用法及び用量に関連する使用上の注意>の項参照]
妊婦及び妊娠している可能性のある婦人、授乳中の婦人[「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
本態性高血圧症に使用する場合
通常、成人にはアセブトロールとして、1日200〜400mgを1回ないし2回に分けて経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
狭心症・頻脈性不整脈に使用する場合
通常、成人にはアセブトロールとして、1日300〜600mgを3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
褐色細胞腫の患者では、本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあるので、α-遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα-遮断剤を併用すること。
慎重投与
気管支喘息、気管支痙攣及びそのおそれのある患者[気管支を収縮し、喘息症状を誘発又は悪化させるおそれがあるので、観察を十分に行い、気管支拡張剤を併用するなど慎重に投与すること。]
うっ血性心不全のおそれのある患者[心機能を抑制し、うっ血性心不全を発現させるおそれがあるので、観察を十分に行い、ジギタリス剤や利尿剤を併用するなど慎重に投与すること。]
特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつ症状をマスクしやすいので血糖値に注意すること。]
徐脈、房室ブロック(I度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
重篤な肝、腎機能障害のある患者[薬物代謝・排泄が遅延するおそれがある。]
末梢循環障害を有する患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)[心拍出量を抑制するため、末梢循環障害が増悪するおそれがある。]
低血圧症の患者[降圧作用により症状を悪化させるおそれがある。]
異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある。「2.重要な基本的注意」の項(3)参照]
高齢者[「5.高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
投与が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈又は低血圧を起こした場合には減量又は投与を中止すること。また、必要に応じアトロピン硫酸塩水和物(又はイソプロテレノール)を使用すること。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。
類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)使用中の狭心症患者で、急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者には医師の指示なしに服用を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用、例えば不整脈で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。
甲状腺中毒症の患者では急に投与を中止すると、症状を悪化させることがあるので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。
手術前24時間は投与しないことが望ましい。[「3.相互作用」の項参照]
めまい、立ちくらみがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等、危険を伴う機械の作業に注意させること。
相互作用
併用注意
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤 レセルピン等 | 過剰の交感神経抑制をきたすおそれがあるので、減量するなど注意すること。 | 相加的に作用(交感神経抑制作用)を増強させると考えられる。 |
血糖降下剤 | 血糖降下作用が増強することがある。また、低血糖症状(頻脈、発汗等)をマスクすることがあるので血糖値に注意すること。 | 低血糖に伴う交感神経系の症状をマスクしたり、β-遮断作用により低血糖の回復を遅らせると考えられている。 |
カルシウム拮抗剤 ベラパミル ジルチアゼム | 徐脈、房室ブロック等の伝導障害、うっ血性心不全があらわれることがある。併用する場合には、用量に注意すること。 | 相加的に作用(陰性変力作用、心刺激伝導抑制作用、降圧作用)を増強させると考えられている。 |
クロニジン | クロニジンの投与中止後のリバウンド現象を増強するおそれがある。β-遮断剤とクロニジンを併用していて、クロニジンの投与を中止するときは、β-遮断剤を先に中止し、クロニジンを徐々に減量すること。 | クロニジンはα2-受容体に選択的に作用してノルアドレナリンの遊離を抑制しているため、急激な中止によって血中カテコールアミンの上昇がおこる。本剤併用時はさらに上昇したカテコールアミンの作用のうちのβ-受容体刺激作用が遮断されてα-受容体刺激作用だけが残り、急激な血圧の上昇が発現すると考えられる。 |
クラスI抗不整脈剤 ジソピラミド プロカインアミド アジマリン | 過度の心機能抑制があらわれるおそれがあるので、減量するなど注意すること。 | 相加的に心収縮力抑制作用を増強させると考えられる。 |
ジギタリス製剤 | 心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれるおそれがあるので、心機能に注意すること。 | 相加的に心刺激伝導抑制作用を増強させると考えられる。 |
非ステロイド性抗炎症剤 インドメタシン等 | 本剤の降圧作用が減弱するおそれがある。 | 非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害すると考えられる。 |
麻酔剤 エーテル等 | 心機能抑制が過剰にあらわれるおそれがあるので、減量するなど注意すること。 | 相加的に交感神経抑制作用を増強させると考えられる。 |
フィンゴリモド塩酸塩 | フィンゴリモド塩酸塩の投与開始時に本剤を併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。 | 共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。 |
副作用
副作用発現状況の概要
総症例18,895例中、511例(2.70%)に705件の副作用が認められ、主な副作用はめまい・立ちくらみ89件(0.47%)、徐脈61件(0.32%)であった。(再審査終了時)
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
心不全、房室ブロック(0.1%未満)
心不全、房室ブロックがあらわれることがあるので、心機能検査を定期的に行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。
SLE様症状(頻度不明)
SLE様症状(初期症状:関節症状、皮膚症状等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
頻度不明 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | |
循環器 | 洞停止 | 低血圧、徐脈、浮腫 | 動悸、心胸比増大等 |
呼吸器 | 呼吸困難 | 呼吸促迫、喘息発作の誘発等 | |
精神神経系 | めまい・立ちくらみ、頭痛 | 眠気、不眠、うつ症状の悪化等 | |
消化器 | 腹痛、悪心 | 食欲不振、口渇、腹部膨満感、便秘、下痢、嘔吐、胸やけ等 | |
眼注1) | 霧視、涙液分泌減少等 | ||
肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等 | ||
過敏症注2) | 発疹、蕁麻疹、そう痒感、紅斑性狼瘡様発疹等 | ||
その他 | 倦怠感 | CK(CPK)の上昇、手足の冷感、しびれ感、下肢閉塞性動脈硬化の悪化、緊張亢進、耳鳴、胸痛、脱力感等 |
高齢者への投与
低用量から投与を開始し、経過を十分に観察しながら慎重に投与することが望ましい。[一般的に高齢者では、過度の降圧は好ましくないとされている。]
休薬を要する場合は、徐々に減量し、観察を十分に行うこと。[「2.重要な基本的注意」の項(2)参照]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
授乳中の婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]
過量投与
症状
β-遮断剤の過量投与により、徐脈、完全房室ブロック、心不全、低血圧、気管支痙攣等があらわれることがある。
処置
過量投与の場合は、本剤の投与を中止し、必要に応じて催吐、胃洗浄、血液透析等により薬剤の除去を行うとともに、下記等の適切な処置を行い、これらの処置の間は常に観察下に置くこと。
徐脈、完全房室ブロック
アトロピン硫酸塩水和物、イソプロテレノール等の投与や心臓ペーシングを適用すること。
心不全、低血圧
強心剤、昇圧剤、輸液等の投与や補助循環を適用すること。
気管支痙攣
β2-刺激剤又はアミノフィリン水和物の静注等の投与や補助呼吸を適用すること。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
アセブトロール塩酸塩は胃、小腸より吸収され一部未変化体と同じ薬理活性をもつN-アセチル体に代謝される。健康成人(男子)6例に本剤400mg経口投与したときの未変化体及びN-アセチル体の血漿中濃度はそれぞれ投与後平均1.4hr、2.1hrで最高に達し、最高血漿中濃度は平均1,116ng/mL、2,010ng/mLであった。また、その半減期はそれぞれ平均3.4hr、6.7hrであった(図1)。
臨床効果
本態性高血圧患者を対象とした3種の多施設二重盲検比較試験(単独又は利尿剤との併用)において、本剤200〜400mgを1日1〜2回に分けて投与し、対照薬と比較した結果、有用性が認められた3)4)5)。
本剤1日400mgを14日間、7日間ずつの交叉比較試験にて18例の本態性高血圧患者に投与した結果、分1投与でも同一量の分2投与と同様、24時間安定した降圧効果が得られた。また、血圧日内変動に及ぼす影響も認められなかった6)。
本剤1日200mg(分2)を11例、200〜400mg(分2)を3例の本態性高血圧患者に14〜38ヵ月投与した結果、試験終了時まで安定した有効な降圧効果が得られた7)。
狭心症患者を対象とした多施設二重盲検比較試験において、本剤600mgを1日3回に分けて投与し、対照薬と比較した結果、有用性が認められた8)。
不整脈患者を対象とした多施設二重盲検比較試験において、本剤300mg〜600mgを1日3回に分けて投与し、対照薬と比較した結果、有用性が認められた9)。
β1-選択性10)
アセブトロール塩酸塩は交感神経の興奮及びカテコールアミン投与により引き起こされる生体反応を抑制する。ヒトの摘出心房筋と摘出気管支筋を用いた実験等で、その作用は気管及び血管に比較し心臓に強く反応することが認められた。
内因性交感神経刺激作用11)
レセルピン前処理ラットによる心機能を指標とした実験でアセブトロール塩酸塩はカテコールアミン枯渇時では軽度のβ-刺激作用が認められた。
膜安定化作用12)
ウサギ摘出心房において不応期延長作用を示しキニジン様の膜安定化作用を示した。
降圧作用13)
アセブトロール塩酸塩は実験的高血圧動物(SHR)において降圧作用を示した。また、正常血圧のラットにおいても降圧作用が認められた。SHRにおいて利尿剤との併用で、持続的な降圧作用を示した。
血漿レニン活性抑制作用1)
アセブトロール塩酸塩は健康成人の血漿レニン活性を有意に低下させた。また、心拍数の減少及び血圧の下降が認められることから、降圧効果との関連が考えられる。
循環動態14)
本態性高血圧患者においてアセブトロール塩酸塩投与による心拍出量の有意な減少がみられたが、全末梢抵抗係数の変動はみられなかった。
アセタノールカプセル100
100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
アセタノールカプセル200
100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
1. | 新啓一郎 他, 医学と薬学, 7 (4), 972, (1982) |
2. | Martin,M.A.,et al., Euro.J.Clin.Pharmacol., 14 (6), 383, (1978) |
3. | 金子好宏 他, 医学のあゆみ, 121 (10), 904, (1982) |
4. | 国府達郎 他, 医学のあゆみ, 122 (9), 830, (1982) |
5. | 荒川規矩男 他, 医学と薬学, 7 (4), 952, (1982) |
6. | 加藤暎一 他, 医薬と薬学, 7 (4), 981, (1982) |
7. | 後藤英司 他, 現代医療, 14 (1), 143, (1982) |
8. | 佐々木陽 他, 医学のあゆみ, 108 (12), 770, (1979) |
9. | 道場信孝 他, 医学のあゆみ, 107 (8), 544, (1978) |
10. | Harms,H.H., J.Pharmacol.Exp.Ther., 199 (2), 329, (1976) »PubMed |
11. | 竹屋範英 他, 日本薬理学雑誌, 73, 6, (1977) |
12. | Basil,B.,et al., Br.J.Pharmacol., 48 (2), 198, (1973) »PubMed »DOI |
13. | 高海直子 他, 日本薬理学雑誌, 75, 747, (1979) »PubMed |
14. | 大塚啓子 他, 臨床成人病, 12 (2), 349, (1982) |
改訂履歴 |
2015年2月 改訂 |
文献請求先 |
サノフィ株式会社 |
業態及び業者名等 |
製造販売 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/1/20 版 |