医療用医薬品 : アセチルスピラマイシン

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医薬品情報


総称名 アセチルスピラマイシン
一般名 スピラマイシン酢酸エステル
欧文一般名 Spiramycin Acetate
製剤名 スピラマイシン酢酸エステル錠
薬効分類名 抗生物質製剤
薬効分類番号 6142
ATCコード J01FA02
KEGG DRUG
D02420 スピラマイシン酢酸エステル
KEGG DGROUP
DG00602 スピラマイシン
DG01551 マクロライド系抗生物質
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年7月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アセチルスピラマイシン錠100 ACETYLSPIRAMYCIN Tablets サンドファーマ 6142001F1031 24.1円/錠 処方箋医薬品注)
アセチルスピラマイシン錠200 ACETYLSPIRAMYCIN Tablets サンドファーマ 6142001F2038 36.2円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

<適応菌種>
<適応症>
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、梅毒、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、中耳炎、猩紅熱

5. 効能または効果に関連する注意

<咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

通常、成人にはスピラマイシン酢酸エステルとして1回200mg(力価)を1日4〜6回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
体内貯留が延長するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
体内貯留が延長するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。肝機能、腎機能が低下していることが多く、体内貯留の延長のおそれがある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹・発赤  
消化器食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、胃部不快感軟便、口内炎胃部圧迫感

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

フェニルヒドラジン反応(Porter-Silver反応)が陽性になることがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人20名にスピラマイシン酢酸エステル400mg(100mg錠4錠及び200mg錠2錠)注)を経口投与した場合の血漿中濃度の推移は下図のとおりである2)
16.3 分布
16.3.1 体組織への分布
ラットにスピラマイシン酢酸エステル500mg/kgを経口投与したところ、3時間後の体組織への分布は、肝臓>脾臓>肺>腎臓の順であった3)
16.3.2 通過性・移行性
血液−胎盤関門通過性4)臍帯血中には母体血中濃度の約1/2、胎盤組織中には母体血中濃度の約1/2〜1/3が認められた。
その他の組織への移行性5)6)7)胆汁中、膿汁中、肝、肺、胸水、母乳中へ移行し、血中濃度より高値を示した。なお、髄液中への移行は認められなかった。
16.4 代謝
尿中代謝物として脱アセチル化体であるスピラマイシンとそれが更に代謝されてミカロースが外れたネオスピラマイシンが確認されている8)9)
16.5 排泄
健康成人3名にスピラマイシン酢酸エステル500mg注)を経口投与した場合、7時間までに投与量の約4%が尿中に排泄された8)
注)本剤の承認された用法・用量は、1回200mg(力価)を1日4〜6回経口投与である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内43施設で実施された臨床試験で有効率(やや有効以上)は84.2%(855/1,016)を示した。その概要は次のとおりである4)5)6)7)8)9)10)11)
(1)表在性皮膚感染症〔膿痂疹〕77.8%(14/18)、深在性皮膚感染症86.9%(113/130)〔せつ91.6%(76/83)、ひょう疽81.0%(17/21)、蜂巣炎76.9%(20/26)〕、慢性膿皮症〔感染性粉瘤〕100%(12/12)、咽頭・喉頭炎92.6%(25/27)、扁桃炎86.8%(46/53)、麦粒腫93.3%(14/15)の有効率であった。
(2)リンパ管・リンパ節炎77.3%(17/22)、乳腺炎93.0%(40/43)、骨髄炎88.9%(8/9)の有効率であった。
(3)急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染〔気管支炎〕75.7%(28/37)、肺炎83.3%(10/12)、肺膿瘍80.0%(16/20)の有効率であった。
(4)中耳炎83.9%(26/31)、猩紅熱76.3%(29/38)の有効率であった。
(5)梅毒66.7%(4/6)の有効率であった。
副作用発現頻度は4.4%(45/1,016)であった。主な副作用は胃腸障害1.3%(13/1,016)、下痢0.9%(9/1,016)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
細菌の蛋白合成を阻害する。
18.2 抗菌作用
18.2.1 ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌等のグラム陽性菌に抗菌作用を示し、その作用は静菌的である12)
18.2.2 抗トレポネーマ作用を示す13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. スピラマイシン酢酸エステル

一般的名称 スピラマイシン酢酸エステル
一般的名称(欧名) Spiramycin Acetate
化学名 (スピラマイシンII酢酸エステル(スピラマイシンI酢酸エステル))
(3R,4S,5S,6R,8R,9R,10E,12E,15R)-3-Acetoxy-5-[4-O-acetyl-2,6-dideoxy-3-C-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyl-(1→4)-3,6-dideoxy-3-dimethylamino-β-D-glucopyranosyloxy]-9-(2,3,4,6-tetradeoxy-4-dimethylamino-β-D-erythro-hexopyranosyloxy)-6-formylmethyl-4-methoxy-8-methylhexadeca-10,12-dien-15-olide
(スピラマイシンIII酢酸エステル)
(3R,4S,5S,6R,8R,9R,10E,12E,15R)-5-[4-O-Acetyl-2,6-dideoxy-3-C-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyl-(1→4)-3,6-dideoxy-3-dimethylamino-β-D-glucopyranosyloxy]-9-(2,3,4,6-tetradeoxy-4-dimethylamino-β-D-erythro-hexopyranosyloxy)-6-formylmethyl-4-methoxy-8-methyl-3-propanoyloxyhexadeca-10,12-dien-15-olide
融点 117〜119℃
物理化学的性状 白色〜淡黄白色の粉末である。
溶解性 アセトニトリル又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
分配係数 logP'OCT=2.17
測定法:フラスコシェイキング法
n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液
KEGG DRUG D02420

22. 包装

<アセチルスピラマイシン錠100>
PTP
100錠(10錠×10)
<アセチルスピラマイシン錠200>
PTP
100錠(10錠×10)

23. 主要文献

  1. 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
  2. 社内資料:アセチルスピラマイシン錠の生物学的同等性について
  3. 高平汎志ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (2), 95-100, (1966)
  4. 張南薫ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (3), 211-216, (1966) »PubMed
  5. 柴田清人ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (3), 200-205, (1966) »PubMed
  6. 石井哲也ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (6), 432-437, (1966) »PubMed
  7. 中川圭一ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (2), 105-107, (1966)
  8. 清水喜八郎ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (6), 423-427, (1966) »PubMed
  9. 松下光延ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (4), 305-308, (1966) »PubMed
  10. 上田泰ほか, Chemotherapy., 16 (5), 755-757, (1968) »DOI
  11. 塩田憲三ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (4), 292-296, (1966) »PubMed
  12. 中沢昭三ほか, J.Antibiotics,Ser.B., 19 (2), 90-94, (1966)
  13. 善養寺浩ほか, Chemotherapy., 17 (8), 1578-1582, (1969) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
サンド株式会社 カスタマーケアグループ
〒105-6333 東京都港区虎ノ門1-23-1
電話:0120-982-001
FAX:03-6257-3633
製品情報問い合わせ先
サンド株式会社 カスタマーケアグループ
〒105-6333 東京都港区虎ノ門1-23-1
電話:0120-982-001
FAX:03-6257-3633

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
サンドファーマ株式会社
東京都港区虎ノ門1-23-1
URL:https://www.sandoz.jp/
26.2 販売
サンド株式会社
東京都港区虎ノ門1-23-1
URL:https://www.sandoz.jp/

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版