医療用医薬品 : モニラック

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医薬品情報


総称名 モニラック
一般名 ラクツロース
欧文一般名 Lactulose
製剤名 ラクツロース散
薬効分類名 生理的腸管機能改善・高アンモニア血症用剤
薬効分類番号 2359 3999
ATCコード A06AD11
KEGG DRUG
D00352 ラクツロース
KEGG DGROUP
DG01770 便秘薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2019年10月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
モニラック原末 MONILAC Powder 中外製薬 3999001B2047 6.7円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
ガラクトース血症の患者[本剤はガラクトース(1%以下)及び乳糖(1%以下)を含有する。]

4. 効能または効果

○高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
精神神経障害、手指振戦、脳波異常
○産婦人科術後の排ガス・排便の促進
○小児における便秘の改善

6. 用法及び用量

<高アンモニア血症に伴う症候の改善及び産婦人科術後の排ガス・排便の促進>
通常、成人1日量19.5〜39.0gを高アンモニア血症の場合3回、産婦人科術後の排ガス・排便の目的には朝夕2回に分けて経口投与する。
年齢、症状により適宜増減する。
<小児における便秘の改善>
小児便秘症の場合、通常1日0.33〜1.30g/kgを3回に分けて経口投与する。
投与量は便性状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

10.2 併用注意
α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)消化器系副作用が増強される可能性がある。α-グルコシダーゼ阻害剤により増加する未消化多糖類及びラクツロースは、共に腸内細菌で分解されるため、併用により腸内ガスの発生や下痢等が増加する可能性がある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注1)
 5%以上0.1〜5%未満
消化器下痢注2)悪心、嘔吐、腹痛、腹鳴、鼓腸、食欲不振等

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人5例にラクツロースシロップ剤30mL(ラクツロースとして19.5g)を経口投与した結果、吸収されたラクツロースは4時間で最高血中濃度(平均56.8μg/mL)となり、12時間後の血中にはほとんど検出されなかった1)
また、7〜10歳の健康小児4例にラクツロースシロップ剤0.5mL/kg(ラクツロースとして325mg/kg)を経口投与した結果、吸収されたラクツロースは4時間で最高血中濃度(平均85.5μg/mL)となった2)
16.2 吸収
健康成人5例にラクツロースシロップ剤30mL(ラクツロースとして19.5g)を経口投与した結果、ラクツロースの吸収は極めて微量であった1)
また、7〜10歳の健康小児4例にラクツロースシロップ剤0.5mL/kg(ラクツロースとして325mg/kg)を経口投与した結果、成人の場合と同様ラクツロースとしての吸収は極めて微量であった2)
16.5 排泄
健康成人5例にラクツロースシロップ剤30mL(ラクツロースとして19.5g)を経口投与した結果、尿中排泄は0〜4時間で最高(93.0±30.6mg/4hr)となり、12時間で投与量の0.65%が未変化のまま排泄された1)
また、7〜10歳の健康小児4例にラクツロースシロップ剤0.5mL/kg(ラクツロースとして325mg/kg)を経口投与した結果、尿中排泄は0〜4時間で最高(50.9±26.2mg/4hr)となり、12時間で投与量の1.01%が未変化のまま排泄された2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<高アンモニア血症に伴う精神神経障害、手指振戦、脳波異常の改善>
17.1.1 国内臨床試験
評価対象35例中の臨床症状有効率は94.3%(33/35例)であり、副作用は悪心が1例に認められた3)
<産婦人科術後の排ガス・排便の促進>
17.1.2 国内臨床試験
評価対象46例中の排ガスに関する有効率は50.0%(23/46例)、排便に関する有効率は89.1%(41/46例)であり、副作用は下痢が2例、腹痛と嘔気が各1例に認められた4)
<小児における便秘の改善>
17.1.3 国内臨床試験
評価対象19例中の排便に関する改善率は63.2%(12/19例)、随伴症状改善率は57.9%(11/19例)であり、これらより評価した総合改善率は73.7%(14/19例)であった。副作用は下痢が1例に認められた5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 ヒト消化管粘膜にはラクツロースを単糖類に分解する酵素がないので、経口投与されたラクツロースの大部分は消化吸収されることなく下部消化管に達し、細菌による分解をうけて有機酸(乳酸、酢酸等)を生成しpHを低下させた。その結果、pH値酸性側で十分生育できるLactobacillusは増加し、Bacteroides、E.coli等は減少した6)7)
18.1.2 下部消化管に達したラクツロースは、その浸透圧作用により緩下作用を発揮するが、さらにウサギ腸管を用いた実験によりラクツロースの分解により生成した有機酸が腸管運動を亢進させることが示された8)
18.1.3 ヒト腸管ではpHが高いほどアンモニアの腸管吸収率の高いことが認められているが、ラクツロースの分解によって生成した有機酸により腸管内pHが低下するため、腸管でのアンモニア産生及びアンモニアの腸管吸収が抑制され、血中のアンモニアが低下した9)10)
18.1.4 ヒトの高アンモニア血症等の肝障害に対しては、多くの場合食事性蛋白の制限を必要とするがラクツロースの経口投与により蛋白摂取の増量が可能となり、血清アルブミン値の改善が認められた11)
18.2 エネルギー量
18.2.1 本剤は1gあたり約2kcalのエネルギーを有するので、1日量19.5〜39.0gのエネルギー量は39〜78kcalに相当する。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ラクツロース

一般的名称 ラクツロース
一般的名称(欧名) Lactulose
化学名 β-D-Galactopyranosyl-(1→4)-D-fructose
分子式 C12H22O11
分子量 342.30
物理化学的性状 結晶性ラクツロースは、白色〜微黄色の結晶性の粉末である。
水及びホルムアミドに溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00352

20. 取扱い上の注意

着色度が進むことがあるので、高温を避けて保存すること。

22. 包装

200g(プラスチック容器)
6.5g(分包)×84包(21包×4)
9.8g(分包)×56包(14包×4)

23. 主要文献

  1. 日野原好和,他, 応用薬理, 8 (4), 417-20, (1974)
  2. 小林昭夫,他, 小児科臨床, 30 (8), 1419-23, (1977)
  3. 林茂樹,他, 診療と新薬, 36 (5), 383-97, (1999)
  4. 矢島正純,他, 臨床婦人科産科, 51 (12), 1359-64, (1997)
  5. 辻敦敏,他, 小児科診療, 61 (3), 451-9, (1998)
  6. Hoffmann K,et al., Klin Wochenschr., 42 (3), 126-30, (1964) »PubMed »DOI
  7. Hoffmann K,et al., Schweiz Med Wochenschr., 99 (16), 608-9, (1969) »PubMed
  8. 柿本守夫,他, 産婦人科の世界, 30 (5), 531-9, (1978)
  9. Vince A,et al., Gut., 14 (3), 171-7, (1973) »PubMed »DOI
  10. Castell DO,et al., Gastroenterology., 60 (1), 33-42, (1971) »PubMed
  11. 満谷夏樹,他, 肝臓, 14 (12), 761-71, (1973) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
中外製薬株式会社 メディカルインフォメーション部
〒103-8324 東京都中央区日本橋室町2-1-1
電話:0120-189706
FAX:0120-189705
URL:https://www.chugai-pharm.co.jp/
製品情報問い合わせ先
中外製薬株式会社 メディカルインフォメーション部
〒103-8324 東京都中央区日本橋室町2-1-1
電話:0120-189706
FAX:0120-189705
URL:https://www.chugai-pharm.co.jp/

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
中外製薬株式会社
東京都中央区日本橋室町2-1-1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/11/19 版