医療用医薬品 : フルコート

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医薬品情報


総称名 フルコート
一般名 フルオシノロンアセトニド
欧文一般名 Fluocinolone Acetonide
製剤名 フルオシノロンアセトニド噴霧液
薬効分類名 合成副腎皮質ホルモン噴霧液
薬効分類番号 2646
ATCコード D07AC04
KEGG DRUG
D01825 フルオシノロンアセトニド
KEGG DGROUP
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年4月 改訂(第1版 D5)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
フルコートスプレー0.007% FLUCORT SPRAY 田辺三菱製薬 2646709R2036 8.3円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[感染症を悪化させるおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.3 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。]
2.4 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が遅延するおそれがある。]

4. 効能または効果

○湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)
○皮膚そう痒症
○痒疹群(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹を含む)
○虫さされ
乾癬
掌蹠膿疱症
○薬疹・中毒疹

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常、1日1〜数回、適量を患部に噴霧する。
なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがある。[9.59.79.811.1.2参照]
8.2 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化がみられる場合は使用を中止すること。
8.3 症状改善後はできるだけ速やかに使用を中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては、大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。動物実験(連日皮下投与)で催奇形作用(マウス:外形異常)、胎児異常(ラット、マウス:生存率低下、発育抑制)があらわれたとの報告がある。[8.1参照]
9.7 小児等
長期・大量使用により発育障害を来すおそれがある。
また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。[8.1参照]
9.8 高齢者
大量又は長期にわたる広範囲の使用に際しては特に注意すること。一般に副作用があらわれやすい。[8.1参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障(いずれも頻度不明)
眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進、緑内障を起こすことがある。
11.1.2 後嚢白内障、緑内障(いずれも頻度不明)
大量又は長期にわたる広範囲の使用によりあらわれることがある。[8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
皮膚の感染症注1) 皮膚の真菌性(カンジダ症、白癬等)及び細菌性(伝染性膿痂疹、毛嚢炎等)感染症
その他の皮膚症状注2)魚鱗癬様皮膚変化、紫斑、多毛、色素脱失ざ瘡疹、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎(口囲、顔面全体に紅斑、丘疹、毛細血管拡張、痂皮、鱗屑を生じる)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張)、乾燥、刺激感
過敏症 発疹、接触皮膚炎、紅斑
下垂体・副腎皮質系機能 大量又は長期にわたる広範囲の使用による下垂体・副腎皮質系機能の抑制

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 化粧下やひげそり後等に使用しないよう、患者に指導すること。
14.1.2 患部まで約10cmの距離で噴射し、同一箇所に連続して3秒以上噴射しないよう、患者に指導すること。
14.1.3 噴霧液が眼、鼻等に入らないように注意するよう、患者に指導すること。
14.2 薬剤使用時の注意
14.2.1 眼科用として使用しないこと。
14.2.2 亀裂、びらん面への使用を避けること。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内一般臨床試験
湿疹・皮膚炎群、乾癬、掌蹠膿疱症等を対象として、国内で実施された一般臨床試験で、有効率は85.6%(107/125例)であった。(噴射有効成分量が同一で添加物が異なるフルコートスプレー(0.004%製剤:特定フロン等を含有)での成績)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
コルチコステロイドは、標的細胞の細胞質内に入り、そこに存在するレセプターと結合後、核内に移行して遺伝子を活性化し、合成されたメッセンジャーRNAが細胞質内に特異的蛋白リポコルチン合成する。
細胞膜を形成するリン脂質に含まれるアラキドン酸は、ホスホリパーゼA2(PLA2)により遊離後、代謝を受けて各種のプロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンとなり炎症に関与するが、リポコルチンはこのPLA2を阻害することにより、抗炎症作用を発現するものと考えられている1)
18.2 抗炎症作用
抗肉芽試験(ラット)2)、毛細血管収縮試験(ヒト)3)4)、乾癬試験(ヒト)5)等により優れた抗炎症作用が認められた。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フルオシノロンアセトニド

一般的名称 フルオシノロンアセトニド
一般的名称(欧名) Fluocinolone Acetonide
化学名 6α,9-Difluoro-11β,21-dihydroxy-16α,17-(1-methylethylidenedioxy)pregna-1,4-diene-3,20-dione
分子式 C24H30F2O6
分子量 452.49
融点 266〜274℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。酢酸(100)又はアセトンに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D01825

20. 取扱い上の注意

20.1 保管及び注意
高圧ガス(液化石油ガス)を使用した可燃性の製品であり、危険なため、下記の注意を守ること。
・炎や火気の近くで使用しないこと。
・火気を使用している室内で大量に使用しないこと。
・高温にすると破裂の危険があるため、直射日光の当たる所や火気等の近くなど温度が40℃以上となる所に置かないこと。
・火の中に入れないこと。
・使い切って捨てること。

22. 包装

57g(スプレー缶)、20g(スプレー缶)×10

23. 主要文献

  1. 鹿取 信, 炎症とプロスタグランジン, 74-93, (1986)
  2. Lerner LJ,et al., Proc Soc Exp Bio Med., 116, 385-388, (1964) »PubMed
  3. Stoughton RB., Arch Dermatol., 99 (6), 753-756, (1969) »PubMed
  4. Place VA,et al., Arch Dermatol., 101 (5), 531-537, (1970) »PubMed
  5. Scholtz JR,et al., Acta Derm Venereol., 52 (1), 43-48, (1972)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話:0120-753-280
製品情報問い合わせ先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話:0120-753-280

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版