医療用医薬品 : トミロン

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医薬品情報


総称名 トミロン
一般名 セフテラム ピボキシル
欧文一般名 Cefteram Pivoxil
薬効分類名 経口用セフェム系抗生物質製剤
薬効分類番号 6132
ATCコード J01DD18
KEGG DRUG
D01686 セフテラムピボキシル
KEGG DGROUP
DG01488 セフェム系抗生物質
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2021年10月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
トミロン錠50 TOMIRON Tablets 富士フイルム富山化学 6132009F1023 31.8円/錠 処方箋医薬品注)
トミロン錠100 TOMIRON Tablets 富士フイルム富山化学 6132009F2020 42.4円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

<適応菌種>
<適応症>
咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

5. 効能または効果に関連する注意

<咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

<咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、膀胱炎、腎盂腎炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎>
通常、セフテラム ピボキシルとして成人1日150〜300mg(力価)を3回に分割して食後経口投与する。
<肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎>
通常、セフテラム ピボキシルとして成人1日300〜600mg(力価)を3回に分割して食後経口投与する。
なお、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2 ショックを起こすおそれがあるので、十分な問診を行うこと。[9.1.111.1.1参照]
8.3 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。[11.1.3参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 セフェム系又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)8.211.1.1参照]
9.1.2 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
十分な問診を行うこと。アレルギー素因を有する患者は過敏症を起こしやすい。
9.1.3 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。食事摂取によりビタミンKを補給できない患者では、ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。[11.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。高い血中濃度が持続することがある。[16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期にピボキシル基を有する抗生物質を投与された妊婦と、その出生児において低カルニチン血症の発現が報告されている。[9.7.215.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 カルニチンの低下に注意すること。血清カルニチンが低下する先天性代謝異常であることが判明した場合には投与しないこと。小児(特に乳幼児)においてピボキシル基を有する抗生物質(小児用製剤)の投与により、低カルニチン血症に伴う低血糖があらわれることがある。[9.515.1参照]
9.8 高齢者
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
・ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(呼吸困難等)(いずれも頻度不明)[8.29.1.1参照]
11.1.2 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
11.1.3 急性腎障害等の重篤な腎障害(頻度不明)[8.3参照]
11.1.4 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明)
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.5 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
11.1.6 無顆粒球症、血小板減少、溶血性貧血(いずれも頻度不明)
11.1.7 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜2%未満注1)0.1%未満注1)頻度不明
過敏症発疹蕁麻疹、そう痒、発熱、浮腫、リンパ腺腫脹紅斑、関節痛
血液好酸球増多顆粒球減少、血小板減少
肝臓AST上昇、ALT上昇Al-P上昇、LDH上昇黄疸
消化器下痢・軟便、悪心・嘔吐、食欲不振、胃部不快感腹部膨満感、胸やけ、腹痛、心窩部痛
菌交代症口内炎カンジダ症
ビタミン欠乏症ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)注2)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他頭痛、めまい、全身倦怠感CK上昇、血清カルニチン低下

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

12.1 本剤の投与により、テステープ反応を除くベネディクト試薬等の還元法による尿糖検査では、偽陽性を呈することがあるので注意すること。
12.2 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
本剤を含むピボキシル基を有する抗生物質(セフテラム ピボキシル、セフジトレン ピボキシル、セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物、テビペネム ピボキシル)の投与により、ピバリン酸(ピボキシル基を有する抗生物質の代謝物)の代謝・排泄に伴う血清カルニチン低下が報告されている2)。[9.59.7.2参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人6例に200mgを食後単回経口投与したとき、抗菌活性体であるセフテラムとして高い血中濃度が得られ、そのピークは3時間後に2.9μg/mL、半減期は0.9時間であった3)
16.3 分布
16.3.1 組織内移行
喀痰、耳漏、扁桃、上顎洞粘膜、鼻茸、篩骨洞粘膜、尿道分泌物、抜歯創等へ良好な移行が認められた4)5)6)7)8)9)。また、子宮各組織への移行も認められたが、乳汁中への移行はほとんど認められなかった10)11)
16.4 代謝
本剤は吸収時に腸管粘膜でエステラーゼにより代謝され、抗菌活性を有するセフテラムとピバリン酸になる12)。ピバリン酸は、カルニチン抱合をうけ、尿中にピバロイルカルニチンとして排泄される。
16.5 排泄
セフテラムは、活性体のまま一部胆汁中にも排泄されるが、主に尿中に排泄される12)
健康成人6例に200mgを食後単回経口投与したとき、8時間までの尿中排泄率は32.8%であった3)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者の血中濃度
腎機能障害者に100mgを食後単回経口投与したとき、次表のとおり、腎機能の低下に伴い血中半減期の延長が認められた13)。[9.2.1参照]
腎機能障害の程度(Ccr:mL/min)例数血中半減期(hr)
正常者(Ccr≧80)40.83
軽度(70≧Ccr≧40)81.46
中等度(30≧Ccr≧20)64.36

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内の医療機関で実施された一般臨床試験では、総症例2,243例について本剤の効果が検討され、その概要は次表のとおりである。
また、二重盲検比較試験で、呼吸器感染症、複雑性尿路感染症、産婦人科領域感染症、中耳炎、歯科・口腔外科領域感染症について有用性が認められた14)15)16)17)18)19)20)。なお、1日投与量は、大部分が150〜600mgであった。
疾患群疾患名有効率(%)
呼吸器感染症咽頭・喉頭炎88.5(23/26)
扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)93.9(93/99)
急性気管支炎85.3(99/116)
肺炎85.6(131/153)
慢性呼吸器病変の二次感染72.9(258/354)
尿路感染症膀胱炎79.5(582/732)
腎盂腎炎74.3(107/144)
尿道炎90.4(122/135)
産婦人科領域感染症バルトリン腺炎96.0(24/25)
子宮内感染90.5(57/63)
子宮付属器炎84.6(11/13)
耳鼻科領域感染症中耳炎60.4(81/134)
副鼻腔炎79.2(38/48)
歯科・口腔外科領域感染症歯周組織炎90.2(46/51)
歯冠周囲炎91.1(51/56)
顎炎85.1(80/94)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
セフテラム ピボキシルは体内で代謝され、セフテラムとなり抗菌力を示す。作用機序は細菌の細胞壁合成阻害であり、ペニシリン結合タンパク(PBP)の3、1A、1Bsに強く結合して殺菌的に作用する21)
18.2 抗菌作用
18.2.1 セフテラムはグラム陽性・陰性菌に対し幅広い抗菌スペクトルを有し、特にグラム陽性のレンサ球菌属、肺炎球菌、グラム陰性の淋菌、大腸菌、クレブシエラ属、インフルエンザ菌及び嫌気性のペプトストレプトコッカス属等に対し強い抗菌力を示した21)22)23)24)。さらに、従来の経口セフェム剤(セファレキシン、セファクロル等)で感受性の低いシトロバクター属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属に対しても優れた抗菌力を示し、その作用は殺菌的であった21)22)23)
18.2.2 セフテラムは各種細菌産生のβ-ラクタマーゼに対し安定で、β-ラクタマーゼ産生株に対しても強い抗菌力を示した21)22)23)
18.3 実験的感染症に対する治療効果
大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス等によるラット及びマウス実験的感染症において、優れた治療効果を示し、さらにβ-ラクタマーゼ産生株感染に対する治療効果も、セファレキシン、セファクロルより優れていた21)22)23)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. セフテラム ピボキシル

一般的名称 セフテラム ピボキシル
一般的名称(欧名) Cefteram Pivoxil
略号 CFTM-PI
化学名 2,2-Dimethylpropanoyloxymethyl(6R,7R)-7-[(Z)-2-(2-aminothiazol-4-yl)-2-(methoxyimino)acetylamino]-3-(5-methyl-2H-tetrazol-2-ylmethyl)-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate
分子式 C22H27N9O7S2
分子量 593.64
融点 約110℃付近で半融状態となり、その後徐々に着色し、発泡分解するが、明瞭な変化点は認められない。
物理化学的性状 白色〜微黄白色の粉末である。アセトニトリルに極めて溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はクロロホルムに溶けやすく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01686

20. 取扱い上の注意

アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること。光により徐々に退色することがある。

22. 包装

<トミロン錠50>
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]
<トミロン錠100>
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]
500錠[10錠(PTP)×50、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
  2. 杉江 秀夫ほか, 脳と発達, 24 (1), 79-80, (1992) »DOI
  3. 斎藤 玲ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 134-143, (1986) »DOI
  4. 力富 直人ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 535-545, (1986) »DOI
  5. 栗山 一夫, 耳鼻臨床, 79 (8), 1363-1370, (1986) »DOI
  6. 藤巻 豊ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 913-926, (1986) »DOI
  7. 大西信治郎ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 927-933, (1986) »DOI
  8. 熊本 悦明ほか, 泌尿紀要, 32 (10), 1551-1572, (1986)
  9. 佐々木次郎ほか, 歯科薬物療法, 10 (1), 1-7, (1991) »DOI
  10. 張 南薫ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 854-875, (1986) »DOI
  11. 舘野 政也ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 876-881, (1986) »DOI
  12. 才川 勇ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 158-165, (1986) »DOI
  13. 福岡 義和ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 150-157, (1986) »DOI
  14. 小林 宏行ほか, 感染症学雑誌, 60 (9), 1078-1106, (1986) »PubMed »DOI
  15. 小林 宏行ほか, 感染症学雑誌, 60 (9), 1052-1077, (1986) »PubMed »DOI
  16. 馬場 駿吉ほか, 耳鼻と臨床, 32 (6), 1045-1066, (1986) »DOI
  17. 河田 幸道ほか, Chemotherapy., 34 (9), 908-929, (1986) »DOI
  18. 松田 静治ほか, Chemotherapy., 34 (10), 1038-1069, (1986) »DOI
  19. 河村 正三ほか, 耳鼻と臨床, 32 (5), 758-781, (1986) »DOI
  20. 佐々木次郎ほか, 歯科薬物療法, 10 (1), 20-42, (1991) »DOI
  21. 才川 勇ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 66-84, (1986) »DOI
  22. 岡本 世紀ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 1-12, (1986) »DOI
  23. 西野 武志ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 44-60, (1986) »DOI
  24. 沢 赫代ほか, Chemotherapy., 34 (S-2), 34-43, (1986) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
富士フイルム富山化学株式会社 製品情報センター
〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビル
電話:0120-502-620
製品情報問い合わせ先
富士フイルム富山化学株式会社 製品情報センター
〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビル
電話:0120-502-620

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
富士フイルム富山化学株式会社
〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビル

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版