医療用医薬品 : アリナミン

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医薬品情報


総称名 アリナミン
一般名 フルスルチアミン塩酸塩
欧文一般名 Fursultiamine Hydrochloride
製剤名 フルスルチアミン塩酸塩注射液
薬効分類番号 3122
KEGG DRUG
D03321 フルスルチアミン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年9月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アリナミンF25注 ALINAMIN-F INJECTION T’s製薬 3122401A3025 61円/管 処方箋医薬品注)
アリナミンF50注 ALINAMIN-F INJECTION T’s製薬 3122401A4021 104円/管 処方箋医薬品注)
アリナミンF100注 ALINAMIN-F INJECTION T’s製薬 3122401A5028 117円/管 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療
○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時等)
ウェルニッケ脳症
脚気衝心
○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・神経痛
・筋肉痛、関節痛
・末梢神経炎、末梢神経麻痺
・心筋代謝障害
・便秘等の胃腸運動機能障害
・術後腸管麻痺
ビタミンB1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、ウェルニッケ脳症脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

6. 用法及び用量

アリナミンF25注
通常、成人には次の1日量をできるだけ緩徐(3分間以上の時間をかける方がよい)に静脈内に注射する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<アリナミンF25注>
フルスルチアミンとして25〜100mg(1〜4管)
アリナミンF50注
通常、成人には次の1日量をできるだけ緩徐(3分間以上の時間をかける方がよい)に静脈内に注射する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<アリナミンF50注>
フルスルチアミンとして50〜100mg(1〜2管)
アリナミンF100注
通常、成人には次の1日量をできるだけ緩徐(3分間以上の時間をかける方がよい)に静脈内に注射する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<アリナミンF100注>
フルスルチアミンとして100mg(1管)

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
血圧低下、胸内苦悶、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、そう痒感
消化器悪心、嘔吐、舌炎、下痢
その他頭痛、頻尿

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 静脈内注射により、血管痛を起こすことがあるので、注射速度はできるだけ遅くすること。
14.1.2 細菌等による汚染を避けるため、一部使用後の残液は使用しないこと。
14.1.3 本剤を吸引した注射筒に血液を吸引すると、赤血球が凝集するが、この凝集は可逆性で血清中では容易に解離する。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
本剤は高い血中ビタミンB1濃度を持続する1)(健康人)。
16.3 分布
本剤はリポイド易溶性で組織に対する親和性が強く、血球等によく移行する。また、体内貯留性がよい2)3)(健康人)。
16.4 代謝
本剤は細胞内で速やかに非酵素的にビタミンB1に復元した後エステル化され、多量の結合型B1(コカルボキシラーゼ)を生成する4)(健康人)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ビタミンB1に比べ細胞内によく取り込まれ、多量のコカルボキシラーゼを生成して、諸種代謝活性をたかめる。また、腸管内アウエルバッハ神経叢内の腸運動亢進ニューロンへ作用し、腸管の蠕動運動を亢進させる5)
18.2 神経機能障害改善作用
ビタミンB1は神経組織の形態保持上重要であり、また、神経インパルス伝導に際してビタミンB1が遊離消費され6)、神経細胞内のコカルボキシラーゼは糖代謝に対する依存性が大きい神経細胞のエネルギー産生に関与していること7)等が示されている。
本剤は神経組織へ移行するとともに、神経細胞の増殖促進8)in vitro)、神経再生促進9)10)(ウサギ)、骨格筋活動電位の増加11)(ラット)等の作用が認められており、ビタミンB1の欠乏又は代謝障害と関連する神経機能障害を改善する。
18.3 心筋代謝障害改善作用
本剤はビタミンB1に比べて心筋細胞へのとりこみがよく、心筋内ではほとんどがコカルボキシラーゼとして存在すること12)(ラット)、麻酔イヌで心筋代謝障害改善作用が認められていること13)より、心筋内でコカルボキシラーゼとなって、心筋代謝障害を改善すると考えられている。
18.4 腸管蠕動運動亢進作用
本剤は腸管蠕動運動亢進作用を示す14)(イヌ)が、この作用は腸管内アウエルバッハ神経叢内に存在すると考えられる腸運動亢進ノイロンへの作用によるとされている15)(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)。なお、ビタミンB1ではこの亢進作用はほとんど認められていない14)(イヌ)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フルスルチアミン塩酸塩

一般的名称 フルスルチアミン塩酸塩
一般的名称(欧名) Fursultiamine Hydrochloride
化学名 N-(4-Amino-2-methylpyrimidin-5-ylmethyl)-N-{(1Z)-4-hydroxy-1-methyl-2-[(2RS)-tetrahydrofuran-2-ylmethyldisulfanyl]but-1-en-1-yl}formamide monohydrochloride
分子式 C17H26N4O3S2・HCl
分子量 435.00
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又は僅かに特異なにおいがあり、味は苦い。水、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすい。結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D03321

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<アリナミンF25注>
10mL×50アンプル
<アリナミンF50注>
20mL×50アンプル
<アリナミンF100注>
20mL×50アンプル

23. 主要文献

  1. Yano R., Med.Klin., 59, 1396-1398, (1964) »PubMed
  2. 宮地一馬, Alinamin Symposium., 22-30, (1961)
  3. 福富久之, ビタミン, 33, 144-150, (1966) »DOI
  4. 阿部達夫, 日本臨牀, 20, 1957-1966, (1962)
  5. 第十八改正日本薬局方解説書, C-4874-C-4878, (2021), (廣川書店)
  6. 糸川嘉則, ビタミン, 49, 415-427, (1975) »DOI
  7. Muralt A., Ann.N.Y.Acad.Sci., 98, 499-507, (1962)
  8. 成実重彦 他, ビタミン, 49, 308, (1975)
  9. 中沢恒幸 他, アリナミン基礎文献集, 3, 117-120, (1966)
  10. 桐田良人, 臨牀と研究, 43, 1889-1896, (1966)
  11. 中原正雄 他, 新薬と臨牀, 15, 1297-1298, (1966)
  12. Iida S., Biochem.Pharmacol., 15, 1139-1145, (1966) »PubMed
  13. 佐々木一彦, 久留米医学会雑誌, 27, 875-894, (1964)
  14. 中山 沃 他, ビタミン, 28, 235-237, (1963) »DOI
  15. 福原 武 他, ビタミン, 31, 494-499, (1965) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
T's製薬株式会社 ティーズDIセンター
〒451-0045 名古屋市西区名駅二丁目27番8号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
製品情報問い合わせ先
T's製薬株式会社 ティーズDIセンター
〒451-0045 名古屋市西区名駅二丁目27番8号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
T's製薬株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号
26.2 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/11/19 版