医療用医薬品 : ヒポクライン

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医薬品情報


総称名 ヒポクライン
一般名 ゴナドレリン酢酸塩
欧文一般名 Gonadorelin Acetate
製剤名 ゴナドレリン酢酸塩注射液
薬効分類名 視床下部性 性腺機能低下症治療剤
薬効分類番号 2499
ATCコード H01CA01
KEGG DRUG
D03267 ゴナドレリン酢酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年4月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒポクライン注射液1.2 HYPOCRINE Injection ニプロ 2499404A1023 18971円/管 処方箋医薬品注)
ヒポクライン注射液2.4 HYPOCRINE Injection ニプロ 2499404A2020 35965円/管 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
2.2 アンドロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、前立腺癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]

4. 効能または効果

下記疾患における視床下部性性腺機能低下症
成長ホルモン分泌不全性低身長症(ゴナドトロピン分泌不全を伴う)
○視床下部器質性障害
○ゴナドトロピン単独欠損症

6. 用法及び用量

ゴナドレリン酢酸塩として通常1回10〜20μgを2時間間隔で1日12回皮下投与する。なお、12週間投与し、血中ゴナドトロピンあるいは性ホルモンの上昇がみられない場合は投与を中止する。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤は用法に従った投与間隔を維持しないと血中ゴナドトロピン及び性ホルモンの低下を来すことがあるので、適切に調節された自動間歇注入ポンプを用いて投与すること。

8. 重要な基本的注意

本治療の対象は視床下部の障害によりLH-RHの分泌不全を来した低ゴナドトロピン性性腺機能低下患者であるので、本剤の使用に当たっては次の点に注意すること。
・本剤の適応患者であることを十分確認し、単に排卵誘発を目的として使用しないこと。
・内分泌学に十分な経験を有する医師の管理のもとに投与すること。
・原発性性腺機能低下症の患者には使用しないこと。(本剤の効果が期待できない)
・LH-RH負荷試験により血中ゴナドトロピンの反応を確認すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 子宮筋腫のある患者
子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。
9.1.2 子宮内膜症のある患者
症状が増悪するおそれがある。
9.1.3 未治療の子宮内膜増殖症のある患者
子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある。
9.1.4 乳癌の既往歴のある患者
乳癌が再発するおそれがある。
9.1.5 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者
症状が増悪するおそれがある。
9.1.6 前立腺肥大のある患者
前立腺肥大が増大するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で流産(マウス:0.04mg/kg以上)若しくは分娩遅延(マウス:0.04mg/kg以上、ラット:0.02mg/kg以上、ウサギ:0.004mg/kg以上)が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続性又は中止を検討すること。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満
過敏症発赤、発疹
肝臓AST、ALTの軽度な上昇

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 本剤を皮下投与するに当たっては、通常腹壁皮下に行い、神経及び血管を避けて慎重に投与すること。また、同一部位への長期間の注射を避けること。
14.1.2 注射部位に疼痛を訴えることがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
外国人のデータでは、健康成人男子(5例)に20μg皮下投与したとき、15分後に最高血中濃度260pg/mLに達する。血中濃度の半減期は27.4分である1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
全国21施設において、視床下部性性腺機能低下症(成長ホルモン分泌不全性低身長症、視床下部器質性障害、ゴナドトロピン単独欠損症)32例を対象とし、投与は1回10μgを2時間ごとに1日12回皮下投与を行い、効果不十分な場合は20μgに増量した。投与期間は、最大59週間投与した。結果は以下のとおりであった。
疾患名有効例数/症例数有効率
視床下部性性腺機能低下症成長ホルモン分泌不全性低身長症
(ゴナドトロピン分泌不全を伴う)
8/1172.7%
視床下部器質性障害8/1080.0%
ゴナドトロピン単独欠損症11/11100.0%
27/3284.3%
総症例32例中、副作用が報告されたのは3例(9.4%)で、発疹1件(3.1%)、発赤1件(3.1%)、肝機能検査値異常1件(3.1%)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
下垂体前葉を刺激してゴナドトロピン(LH、FSH)の分泌を促進する。この結果、性ホルモンの産生・分泌を促し性腺機能の低下を改善する。
18.2 ゴナドトロピン分泌促進作用
視床下部を障害した卵巣摘出アカゲザルへの1回6μg1時間間隔の間歇投与は血中ゴナドトロピンを上昇させその血中濃度を維持する。投与法を、持続注入に変更すると間歇投与により上昇していた血中ゴナドトロピンは下降するが、間歇投与の再開により血中ゴナドトロピンは再度上昇する2)
18.3 排卵性月経の誘発作用
18.3.1 思春期前の雌アカゲザルに1回6μg1時間間隔で間歇投与を継続したとき、血中ゴナドトロピンの上昇に伴い血中エストラジオール、血中プロゲステロンが上昇し、引き続き排卵性月経を誘起する3)
18.3.2 視床下部を障害した成熟雌アカゲザルに1回6μg1時間間隔で間歇投与を継続したとき、血中ゴナドトロピンの上昇に伴い血中エストラジオール、血中プロゲステロンが上昇し、引き続き排卵性月経を誘起する4)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ゴナドレリン酢酸塩

一般的名称 ゴナドレリン酢酸塩
一般的名称(欧名) Gonadorelin Acetate
化学名 5-Oxo-L-prolyl-L-histidyl-L-tryptophyl-L-seryl-L-tyrosyl-glycyl-L-leucyl-L-arginyl-L-prolyl-glycinamide diacetate
分子式 C55H75N17O13・2C2H4O2
分子量 1302.39
物理化学的性状 ・白色〜微黄色の粉末で、においはないか、又は僅かに酢酸臭がある。
・水、メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくい。
・吸湿性である。
KEGG DRUG D03267

22. 包装

<ヒポクライン注射液1.2>
3mL×1管[アンプル]
<ヒポクライン注射液2.4>
3mL×1管[アンプル]

23. 主要文献

  1. Fauser,B.C.J.M.et al., Fertil.Steril., 44 (3), 384-389, (1985) »PubMed »DOI
  2. Belchetz,P.E.et al., Science, 202, 631-633, (1978) »PubMed »DOI
  3. Wildt,L.et al., Science, 207, 1373-1375, (1980) »PubMed »DOI
  4. Knobil,E.et al., Science, 207, 1371-1373, (1980) »PubMed »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939
製品情報問い合わせ先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ニプロ株式会社
大阪府摂津市千里丘新町3番26号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版