2.1 エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
2.2 アンドロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、前立腺癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
ゴナドレリン酢酸塩として通常1回10〜20μgを2時間間隔で1日12回皮下投与する。なお、12週間投与し、血中ゴナドトロピンあるいは性ホルモンの上昇がみられない場合は投与を中止する。
本剤は用法に従った投与間隔を維持しないと血中ゴナドトロピン及び性ホルモンの低下を来すことがあるので、適切に調節された自動間歇注入ポンプを用いて投与すること。
本治療の対象は視床下部の障害によりLH-RHの分泌不全を来した低ゴナドトロピン性性腺機能低下患者であるので、本剤の使用に当たっては次の点に注意すること。
・本剤の適応患者であることを十分確認し、単に排卵誘発を目的として使用しないこと。
・内分泌学に十分な経験を有する医師の管理のもとに投与すること。
・原発性性腺機能低下症の患者には使用しないこと。(本剤の効果が期待できない)
・LH-RH負荷試験により血中ゴナドトロピンの反応を確認すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 子宮筋腫のある患者
9.1.2 子宮内膜症のある患者
9.1.3 未治療の子宮内膜増殖症のある患者
9.1.4 乳癌の既往歴のある患者
9.1.5 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者
9.1.6 前立腺肥大のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で流産(マウス:0.04mg/kg以上)若しくは分娩遅延(マウス:0.04mg/kg以上、ラット:0.02mg/kg以上、ウサギ:0.004mg/kg以上)が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続性又は中止を検討すること。
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 本剤を皮下投与するに当たっては、通常腹壁皮下に行い、神経及び血管を避けて慎重に投与すること。また、同一部位への長期間の注射を避けること。
14.1.2 注射部位に疼痛を訴えることがある。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
全国21施設において、視床下部性性腺機能低下症(成長ホルモン分泌不全性低身長症、視床下部器質性障害、ゴナドトロピン単独欠損症)32例を対象とし、投与は1回10μgを2時間ごとに1日12回皮下投与を行い、効果不十分な場合は20μgに増量した。投与期間は、最大59週間投与した。結果は以下のとおりであった。
疾患名 | 有効例数/症例数 | 有効率 |
視床下部性性腺機能低下症 | 成長ホルモン分泌不全性低身長症 (ゴナドトロピン分泌不全を伴う) | 8/11 | 72.7% |
視床下部器質性障害 | 8/10 | 80.0% |
ゴナドトロピン単独欠損症 | 11/11 | 100.0% |
計 | 27/32 | 84.3% |
総症例32例中、副作用が報告されたのは3例(9.4%)で、発疹1件(3.1%)、発赤1件(3.1%)、肝機能検査値異常1件(3.1%)であった。
18.1 作用機序
下垂体前葉を刺激してゴナドトロピン(LH、FSH)の分泌を促進する。この結果、性ホルモンの産生・分泌を促し性腺機能の低下を改善する。
18.2 ゴナドトロピン分泌促進作用
視床下部を障害した卵巣摘出アカゲザルへの1回6μg1時間間隔の間歇投与は血中ゴナドトロピンを上昇させその血中濃度を維持する。投与法を、持続注入に変更すると間歇投与により上昇していた血中ゴナドトロピンは下降するが、間歇投与の再開により血中ゴナドトロピンは再度上昇する
2)。
18.3 排卵性月経の誘発作用
18.3.1 思春期前の雌アカゲザルに1回6μg1時間間隔で間歇投与を継続したとき、血中ゴナドトロピンの上昇に伴い血中エストラジオール、血中プロゲステロンが上昇し、引き続き排卵性月経を誘起する
3)。
18.3.2 視床下部を障害した成熟雌アカゲザルに1回6μg1時間間隔で間歇投与を継続したとき、血中ゴナドトロピンの上昇に伴い血中エストラジオール、血中プロゲステロンが上昇し、引き続き排卵性月経を誘起する
4)。