医療用医薬品 : アリナミン

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医薬品情報


総称名 アリナミン
一般名 フルスルチアミン塩酸塩
欧文一般名 Fursultiamine Hydrochloride
製剤名 フルスルチアミン塩酸塩錠
薬効分類番号 3122
KEGG DRUG
D03321 フルスルチアミン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
25mgアリナミンF糖衣錠 ALINAMIN-F SUGAR-COATED TABLETS 武田テバ薬品 3122007F2039 5.9円/錠
50mgアリナミンF糖衣錠 ALINAMIN-F SUGAR-COATED TABLETS 武田テバ薬品 3122007F3027 6.9円/錠

4. 効能または効果

○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療
○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時等)
ウェルニッケ脳症
脚気衝心
○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・神経痛
・筋肉痛、関節痛
・末梢神経炎、末梢神経麻痺
・心筋代謝障害
・便秘等の胃腸運動機能障害
・術後腸管麻痺
ビタミンB1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、ウェルニッケ脳症脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

6. 用法及び用量

<25mgアリナミンF糖衣錠>
通常、成人には1日量1〜4錠(フルスルチアミンとして25〜100mg)を1日1〜3回に分けて食後直ちに経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<50mgアリナミンF糖衣錠>
通常、成人には1日量1〜2錠(フルスルチアミンとして50〜100mg)を1日1〜2回に分けて食後直ちに経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、そう痒感
消化器悪心、胸やけ、胃痛、胃部不快感、下痢、口内炎

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
本剤は消化管からの吸収がよく、投与量に比例して速やかに吸収され、高い血中ビタミンB1濃度を持続する1)(健康人)。
16.3 分布
本剤はリポイド易溶性で組織に対する親和性が強く、血球等によく移行する。また、体内貯留性がよい2)(健康人)。
16.4 代謝
本剤は細胞内で速やかに非酵素的にビタミンB1に復元した後エステル化され、多量の結合型B1(コカルボキシラーゼ)を生成する2)(健康人)。
16.5 排泄
本剤の経口投与により、尿中ビタミンB1排泄量は投与量に比例して増加する3)(健康人)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ビタミンB1に比べ細胞内によく取り込まれ、多量のコカルボキシラーゼを生成して、諸種代謝活性をたかめる。また、腸管内アウエルバッハ神経叢内の腸運動亢進ニューロンへ作用し、腸管の蠕動運動を亢進させる4)
18.2 神経機能障害改善作用
ビタミンB1は神経組織の形態保持上重要であり、また、神経インパルス伝導に際してビタミンB1が遊離消費され5)、神経細胞内のコカルボキシラーゼは糖代謝に対する依存性が大きい神経細胞のエネルギー産生に関与していること6)等が示されている。
本剤は神経組織へ移行するとともに、神経細胞の増殖促進7)in vitro)、神経再生促進8)9)(ウサギ)、骨格筋活動電位の増加10)(ラット)等の作用が認められており、ビタミンB1の欠乏又は代謝障害と関連する神経機能障害を改善する。
18.3 心筋代謝障害改善作用
本剤はビタミンB1に比べて心筋細胞へのとりこみがよく、心筋内では殆どがコカルボキシラーゼとして存在すること11)(ラット)、麻酔イヌで心筋代謝障害改善作用が認められていること12)より、心筋内でコカルボキシラーゼとなって心筋代謝障害を改善すると考えられている。
18.4 腸管蠕動運動亢進作用
本剤は腸管蠕動運動亢進作用を示す13)(イヌ)が、この作用は腸管内アウエルバッハ神経叢内に存在すると考えられる腸運動亢進ノイロンへの作用によるとされている14)(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)。なお、ビタミンB1ではこの亢進作用は殆ど認められていない13)(イヌ)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フルスルチアミン塩酸塩

一般的名称 フルスルチアミン塩酸塩
一般的名称(欧名) Fursultiamine Hydrochloride
化学名 N-(4-Amino-2-methylpyrimidin-5-ylmethyl)-N-{(1Z)-4-hydroxy-1-methyl-2-[(2RS)-tetrahydrofuran-2-ylmethyldisulfanyl]but-1-en-1-yl}formamide monohydrochloride
分子式 C17H26N4O3S2・HCl
分子量 435.00
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又は僅かに特異なにおいがあり、味は苦い。水、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすい。結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D03321

22. 包装

<25mgアリナミンF糖衣錠>
100錠[(10錠(PTP)×10]、1000錠[10錠(PTP)×100]、2100錠[21錠(PTP)×100]、500錠[ガラス瓶、バラ]
<50mgアリナミンF糖衣錠>
100錠[10錠(PTP)×10]、1000錠[10錠(PTP)×100]、500錠[ガラス瓶、バラ]

23. 主要文献

  1. 柴田長夫 他, Alinamin Symposium., 5-11, (1961)
  2. 阿部達夫, 日本臨牀, 20, 1957-1966, (1962)
  3. 桂 英輔, Alinamin Symposium., 11-15, (1961)
  4. 第十八改正日本薬局方解説書, C-4874-C-4878, (2021), (廣川書店)
  5. 糸川嘉則, ビタミン, 49, 415-427, (1975) »DOI
  6. Muralt A., Ann.N.Y.Acad.Sci., 98, 499-507, (1962)
  7. 成実重彦 他, ビタミン., 49, 308, (1975)
  8. 中沢恒幸 他, アリナミン基礎文献集, 3, 117-120, (1966)
  9. 桐田良人, 臨牀と研究, 43, 1889-1896, (1966)
  10. 中原正雄 他, 新薬と臨牀, 15, 1297-1298, (1966)
  11. Iida S., Biochem.Pharmacol., 15, 1139-1145, (1966) »PubMed
  12. 佐々木一彦, 久留米医学会雑誌, 27, 875-894, (1964)
  13. 中山 沃 他, ビタミン, 28, 235-237, (1963) »DOI
  14. 福原 武 他, ビタミン, 31, 494-499, (1965) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター
〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
製品情報問い合わせ先
武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター
〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
武田テバ薬品株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号
26.2 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版