医療用医薬品 : ヨウ化ナトリウム

List   Top

医薬品情報


総称名 ヨウ化ナトリウム
薬効分類名 放射性医薬品
甲状腺疾患治療薬
甲状腺疾患診断薬
薬効分類番号 4300
ATCコード V09FX03 V10XA01
KEGG DRUG
D02259 ヨウ化ナトリウム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2022年3月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヨウ化ナトリウムカプセル−1号 Sodium Iodide-131I Capsules PDRファーマ 4300003M5037 6435円/カプセル 処方箋医薬品注)
ヨウ化ナトリウムカプセル−3号 Sodium Iodide-131I Capsules PDRファーマ 4300003M6033 12870円/カプセル 処方箋医薬品注)
ヨウ化ナトリウムカプセル−5号 Sodium Iodide-131I Capsules PDRファーマ 4300003M7030 12043.9円/カプセル 処方箋医薬品注)
ヨウ化ナトリウムカプセル−30号 Sodium Iodide-131I Capsules PDRファーマ 4300003M8036 46200円/カプセル 処方箋医薬品注)
ヨウ化ナトリウムカプセル−50号 Sodium Iodide-131I Capsules PDRファーマ 4300003M9024 69300円/カプセル 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

甲状腺機能亢進症の治療
甲状腺癌及び転移巣の治療
○シンチグラムによる甲状腺癌転移巣の発見

6. 用法及び用量

<バセドウ病の治療>
投与量は、甲状腺131I摂取率、推定甲状腺重量、有効半減期等をもとにして、適切な量(期待照射線量30〜70Gy)を算定し、経口投与する。
<中毒性結節性甲状腺腫の治療>
結節の大きさ、機能の程度、症状等により適切な量を経口投与する。
<甲状腺癌及び転移巣の治療>
本品を1回あたり1.11〜7.4GBq経口投与する。一定の期間後症状等を観察し、適宜再投与する。
<甲状腺癌転移巣のシンチグラム>
本品18.5〜370MBqを経口投与し、一定時間後に甲状腺癌転移巣のシンチグラムを得る。

8. 重要な基本的注意

8.1 治療あるいは診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし、投与量は最小限度にとどめること。
8.2 治療後、甲状腺機能低下症があらわれることが多いので、その旨を患者に説明しておくことが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重症の甲状腺機能亢進症患者
本品投与の前又は後に抗甲状腺剤治療を行うこと。一過性の臨床症状の悪化、クリーゼの誘発等があらわれることがある。また晩発性の副作用として甲状腺機能低下症がみられることが多い1)2)3)4)5)6)
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療あるいは診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹
血液白血球減少、ヘモグロビン減少、血小板減少
その他喉頭浮腫

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 ヨウ素含量の多い薬剤(ヨード造影剤、ルゴール液、ヨードチンキ等)及び飲食物(コンブ、ワカメ等)、甲状腺ホルモン、抗甲状腺剤は、治療あるいは検査に影響を与えるので、本品投与前後の3日〜1週間は禁止すること。
14.1.2 本剤は揮散する性質があり、容器内に放射性ヨウ素(I-131)のガスが充満している可能性があるので、容器の蓋を開ける場合はドラフト等で行い、しばらく放置しておく等、取扱いには注意すること。
14.1.3 放射性ヨウ素-131の治療については、「放射性医薬品を投与された患者の退出について」7)により、投与量、測定線量率、患者毎の積算線量計算に基づく退出基準が示されている。
放射性医薬品(ヨウ素-131)を投与された患者の退出・帰宅における放射能量と線量率
投与量又は体内残留放射能量患者の体表面から1メートルの点における1センチメートル線量当量率
500MBq30μSv/h
患者毎の積算線量計算に基づく退出基準に適合する事例
適用範囲投与量(MBq)
遠隔転移のない分化型甲状腺癌で甲状腺全摘術後の残存甲状腺破壊(アブレーション)治療1110

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
晩発性の副作用として、甲状腺癌、白血病、遺伝因子に対する影響が考えられているが、白血病、遺伝因子については現在のところ統計学的に有意な報告はみられない。しかし、甲状腺癌については若年者に対する131I甲状腺治療は成人に対してより甲状腺癌発生の可能性が高いことが指摘されている4)6)

16. 薬物動態

16.3 分布
16.3.1 ヨウ化ナトリウム(131I)が体内に取り込まれると、甲状腺ホルモンであるチロキシンやトリヨードチロニン合成のために131Iは甲状腺に蓄積される。正常の甲状腺は24時間後20〜30%を摂取し、残部は尿中に排泄される。甲状腺機能亢進症(バセドウ病、甲状腺腫)では正常者に比べて摂取率が高く30%以上70%程度に達する。反対に甲状腺機能低下症(粘液水腫)では摂取率は15%以下である8)
16.3.2 吸収線量
甲状腺機能亢進症患者の131I治療時における吸収線量をMIRD法により計算すると次のとおりである。
臓器吸収線量(mGy/37MBq)
全身11.5
肝臓22.1
血液17.2
骨髄11.4
生殖腺10.7

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<バセドウ病の治療、中毒性結節性甲状腺腫の治療>
17.1.1 国内臨床試験
甲状腺機能亢進症の131I療法を実施して、少なくとも半年以上経過した症例を対象として、3,666例の治療成績の集計を行った結果は次のとおりである。
治癒例 73.3%
軽快例 17.5%
不変例 4.5%
<甲状腺癌及び転移巣の治療>
17.1.2 国内臨床試験
甲状腺癌及び転移巣の治療に関しては、下記のような臨床試験(7施設64例に関する施設毎の報告を取りまとめたもの)が報告されている。
疾患名症例数
甲状腺癌36
甲状腺癌・肺転移18
甲状腺癌・肺・肝転移1
甲状腺癌・肺・腎転移1
甲状腺癌・肺・頸椎転移1
甲状腺癌・リンパ節転移2
甲状腺癌・骨転移1
甲状腺癌・胸壁・骨盤転移1
甲状腺癌・頸部・縦隔・肋膜転移1
甲状腺癌・全身転移1
甲状腺癌・転移1
64

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ヨウ化ナトリウム(131I)が体内に取り込まれると、甲状腺ホルモンであるチロキシンやトリヨードチロニン合成のために131Iは甲状腺に蓄積される8)
18.2 測定法
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により計数化または画像化される。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1.

分子式 Na131I
分子量 153.99
核物理学的特性
(131Iとして)
・物理的半減期:8.02070日
・主なγ線エネルギー:365keV(81.7%)
・主なβ線エネルギー:606keV(89.5%)
・β線組織内飛程:2mm
・減衰表
経過日数(日)残存放射能(%)
−3129.6
−2118.9
−1109.0
0100
191.7
284.1
377.2
470.8
564.9
659.5
754.6
850.1
945.9
1042.1
1138.7
1235.5
1332.5
1429.8
1527.4
1625.1
1723.0
1821.1
1919.4
2017.8
2116.3
2214.9
2313.7
2412.6
2511.5
2610.6
279.7
288.9
298.2
理化学知見その他 19.1 ヨウ化ナトリウム(131I)

20. 取扱い上の注意

放射線を安全に遮蔽できる貯蔵設備(貯蔵箱)に保存すること。

22. 包装

<ヨウ化ナトリウムカプセル-1号>
2,3,10カプセル[バイアル、乾燥剤入り]
<ヨウ化ナトリウムカプセル-3号>
1,2,10カプセル[バイアル、乾燥剤入り]
<ヨウ化ナトリウムカプセル-5号>
1,2,3,10カプセル[バイアル、乾燥剤入り]
<ヨウ化ナトリウムカプセル-30号>
1,2カプセル[バイアル、乾燥剤入り]
<ヨウ化ナトリウムカプセル-50号>
1,2カプセル[バイアル、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 斉藤慎太郎,ほか, 最新医学, 26, 1358-1365, (1971)
  2. 安部喬樹,ほか, ホルモンと臨床, 21, 965-967, (1973) »PubMed
  3. 久田欣一編著, 最新核医学, 164-170, (1975), (金原出版,東京)
  4. 木下文雄,ほか, 日本医学放射線学会雑誌, 36, 128-142, (1976)
  5. 伊丹康人・宮地幸隆著, 核医学大系 9,臨床核医学,骨・関節系/内分泌系, 168-175, (1977), (実業公報社,東京)
  6. 飯尾正宏監修, 核医学診断マニアルインビボ編, VI-I, (1978), (テクノ,東京)
  7. 厚生労働省医政局指導課長通知(医政指発第1108第2号,平成22年11月8日付)
  8. 日本公定書協会監修, 第十六改正日本薬局方解説書, C5035−5036, (2011), (廣川書店,東京)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
PDRファーマ株式会社 製品情報センター
〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング
電話:0120-383-624
製品情報問い合わせ先
PDRファーマ株式会社 製品情報センター
〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング
電話:0120-383-624

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
PDRファーマ株式会社
東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版