2.1 動脈管依存性の先天性心疾患(肺動脈閉鎖、ファロー四徴症、大動脈縮窄症等)のある患児〔これらの患児では、十分な肺又は全身血流確保のために、動脈管の開存が必要であり、本剤による動脈管の閉鎖はこれらの症状を悪化させるおそれがある。〕
2.2 重篤な腎機能障害のある患児〔血管拡張性のプロスタグランジンによって腎血流が維持されている患児では、本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、腎機能障害が悪化するおそれがある。〕
2.3 高度の黄疸のある患児〔ビリルビンの血中濃度が上昇し、黄疸が悪化するおそれがある。〕
2.4 消化管出血のある患児〔プロスタグランジン合成阻害作用に基づくとされる胃粘膜防御能の低下、又は消化管への直接刺激作用により、消化管出血が悪化するおそれがある。〕
2.5 頭蓋内出血のある患児〔頭蓋内出血が悪化するおそれがある。〕
2.6 血小板減少症の患児〔血小板減少症が悪化するおそれがある。〕
2.7 血液凝固障害のある患児〔血小板凝集能を抑制するため、血液凝固障害が悪化するおそれがある。〕
2.8 壊死性腸炎又はその疑いのある患児〔壊死性腸炎が悪化するおそれがある。〕
○下記疾患で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合
臨床症状(呼吸困難、連続性心雑音、precordial pulsation、心肥大、肺うっ血等)又は超音波検査法で動脈管開存症と確定診断された患児にのみ、本剤の適用を考慮すること。なお、可能な限り超音波ドップラー法で動脈管開存を介した左−右シャントの存在やその程度を評価した上で、本剤の適用を考慮することが望ましい。
患児の生後時間に応じ下記の用量を12〜24時間間隔で、通常3回静脈内投与する。
初回投与時の生後時間 | 投与量(mg/kg) |
1回目 | 2回目 | 3回目 |
生後48時間未満 | 0.2 | 0.1 | 0.1 |
生後2〜7日未満 | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
生後7日以上 | 0.2 | 0.25 | 0.25 |
投与後に無尿又は著明な乏尿(尿量:0.6mL/kg/hr未満)があらわれたら、腎機能が正常化するまで次の投与は行わないこと。1あるいは2回目の投与後動脈管の閉鎖が得られた場合は、以後の投与は行わずに経過を観察しても差し支えない。
投与終了後48時間以上経過して、動脈管が閉鎖している場合は、追加投与の必要はない。
・追加投与
動脈管が再開した場合、上記の用量を12〜24時間間隔で1〜3回追加投与できる。追加投与後も本剤による動脈管閉鎖が得られなかった場合は、閉鎖手術を考慮する。
7.1 静脈内投与に際し、緩徐に投与すること。
7.2 静脈内投与の最適投与時間は確立されていないが、20〜30分かけて投与することが望ましいとの報告がある。脳、上腸間膜動脈等の血流が低下し、ショック、壊死性腸炎等を起こすことがある。
8.1 本剤の使用に際しては、親又はそれに代わり得る適切な者に本剤の副作用等についてよく説明し、理解させた後、書面による同意を得てから使用すること。
8.2 新生児医療及び動脈管開存症の患児(未熟児)の管理に習熟した医師が使用するか、又はそれら医師の監督下で使用すること。
8.3 消化器症状の副作用(消化管出血等)があらわれることがあるので、投与に際しては、残乳、腹部膨満、血便等に十分注意すること。なお、投与中は経口的な栄養(授乳)は避けることが望ましい。[
11.1.2参照]
8.4 消化管穿孔があらわれることがあるので、患児の状態を十分に観察し、腹部膨満等の症状があらわれた場合には、速やかに腹部のX線検査を実施する等、早期発見に留意すること。[
11.1.2参照]
8.5 尿量減少の発現頻度が高く、重篤な無尿を起こすことがあるので、定期的に検査を行い、腎機能に十分注意すること。[
11.1.3参照]
8.6 血糖値の低下を起こしやすいので、定期的に検査を行い、患児の状態を十分に観察しながら投与すること。[
11.1.6参照]
8.7 他のプロスタグランジン合成阻害剤と同時に投与しないこと。
8.8 本剤は感染症を不顕性化するおそれがあるので、患児の感染症に十分注意すること。
8.9 重篤な肝機能障害が報告されているので、検査を実施するなど肝機能に十分注意すること。
8.10 血小板凝集を阻害するおそれがあるので、血液検査を行うなど患児の出血症状の観察を十分に行うこと。[
11.1.4参照]
8.11 本剤の投与により、インドメタシンの全身投与時と同様の副作用があらわれる可能性があるので、注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 両親、兄姉等にインドメタシン又はサリチル酸系化合物(アスピリン等)による過敏症のある患児
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%)
11.1.2 胃腸出血(3.2%)
、下血(0.6%)
、小腸及び大腸等における消化管穿孔(1.0%)
、イレウス(0.6%)
、壊死性腸炎(0.8%)[
8.3、
8.4参照]
11.1.3 急性腎不全(0.4%)、無尿(0.4%)、尿毒症(頻度不明)、血尿(0.7%)
重篤な腎障害があらわれることがある。[
8.5参照]
11.1.4 播種性血管内凝固症候群等の凝固障害(0.6%)、頭蓋内出血(1.9%)、肺出血(1.0%)
致命的な頭蓋内出血が報告されている。[
8.10参照]
11.1.5 肺高血圧(0.03%)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
消化器 | | 腹部膨満、嘔吐 | | |
肝臓 | | 肝機能異常(AST上昇、ALT上昇) | | |
腎臓 | 尿量減少、腎機能異常(BUN上昇、血清クレアチニン上昇等) | 血清カリウム上昇、低ナトリウム血症、蛋白尿 | 尿浸透圧の低下 | 尿中ナトリウム減少、尿中カリウム減少、尿中塩素減少、自由水クリアランス又は糸球体ろ過率の減少 |
血液 | | 血小板減少、貧血、白血球減少 | 血小板凝集能低下 | |
感染症 | | 感染症の増悪 | | |
その他 | | 黄疸、ビリルビン上昇、体重増加(体液貯留) | | 針穿刺後の皮膚出血 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 1mgバイアルにつき日局生理食塩液又は日局注射用水1〜2mLを加え、よく振盪して溶解する。
14.1.2 本剤は保存剤含有の溶液に溶解してはならない。
14.1.3 本剤は必ず用時調製すること。また、使用されなかった薬液は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は静脈内投与にのみ使用すること。
14.2.2 薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与すること。
18.1 作用機序
本剤の動脈管閉鎖作用に関する詳細な作用機序は明らかにされていないが、その効果はプロスタグランジンの合成酵素阻害の結果によるものであると考えられている。
18.2 プロスタグランジン合成酵素阻害作用
インドメタシンのプロスタグランジン合成酵素に対する阻害活性は、ヒツジ精嚢ミクロソーム分画を用いた試験において、アスピリンの166倍、フェニルブタゾンの25.2倍、メフェナム酸の4.2倍であることが認められている
1)(
in vitro)。