8.1.1 本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。調節卵巣刺激により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。
8.1.2 FSH製剤とともに本剤を投与した患者に、頻度は低いが、発疹、顔面腫脹、呼吸困難等の過敏症があらわれたとの報告がある。
8.1.3 本剤の注射針のシールドは乾燥天然ゴム(ラテックス類縁物質)を含み、アレルギー反応を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.2.1 本剤の投与開始前に、患者の婦人科的及び内分泌学的検査を十分に行うこと。なお、検査には配偶者の受精能検査も含まれる。
8.2.2 不妊治療において、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。患者に対しては、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。
8.2.3 調節卵巣刺激及びそれに引き続いて行う体外受精又は卵細胞質内精子注入後に、妊娠率を高めるため2個以上の受精卵が子宮内に移植されることがあるが、その反面、多胎妊娠の危険性も高くなる。多胎妊娠は単胎妊娠に比し、流・早産が多いこと、妊娠高血圧症候群等の合併症を起こしやすいこと、低出生体重児出生や奇形等のために周産期死亡率が高いこと等の異常が発生しやすいのでその旨をあらかじめ患者に説明すること。
日本産科婦人科学会の登録・調査小委員会報告において、体外受精・胚移植の治療成績として、妊娠数中の単胎、双胎、三胎、四胎等の数が報告されている。
8.2.4 体外受精・胚移植等の生殖補助医療を受ける不妊女性では卵管異常がしばしば認められ、子宮外妊娠の可能性が高くなる。超音波断層法による子宮内妊娠の初期確認が重要である。
8.2.5 生殖補助医療を受ける女性の流産率は一般女性より高いのでその旨を患者に十分説明すること。
8.2.6 生殖補助医療後の先天異常の発生率は、自然受胎後に比べわずかに高いとの報告がある
1)2)3)。1,000例以上の新生児を調査した臨床試験において、本剤を用いた調節卵巣刺激後に誕生した児における先天性奇形の発現率は、GnRHアゴニストを用いた調節卵巣刺激後の発現率と同等であったとの報告がある。
8.3.1 在宅自己注射を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
(1)自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。
(2)使用済みの針付きシリンジを再使用しないように患者に注意を促すこと。
(3)全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針付きシリンジ等を廃棄する容器を提供することが望ましい。
(4)在宅自己注射を行う前に、本剤の「自己注射ガイド」を必ず読むよう指導すること。