医療用医薬品 : ボアラ

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医薬品情報


総称名 ボアラ
一般名 デキサメタゾン吉草酸エステル
欧文一般名 Dexamethasone Valerate
製剤名 デキサメタゾン吉草酸エステル 製剤
薬効分類名 合成副腎皮質ホルモン外用剤
薬効分類番号 2646
ATCコード D07AB19 D07XB05 H02AB02
KEGG DRUG
D01948 デキサメタゾン吉草酸エステル
KEGG DGROUP
DG00011 デキサメタゾン
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ボアラ軟膏0.12% Voalla Ointment マルホ 2646724M1045 11.3円/g
ボアラクリーム0.12% Voalla Cream マルホ 2646724N1040 11.3円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 細菌、真菌、ウイルス皮膚感染症[感染症を悪化させるおそれがある]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.3 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある]
2.4 潰瘍、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生を抑制し、治癒を遅延させるおそれがある]

4. 効能または効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬を含む)、乾癬、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、固定蕁麻疹を含む)、掌蹠膿疱症、虫刺症、慢性円板状エリテマトーデス扁平苔癬

5. 効能または効果に関連する注意

皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常1日1〜数回適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがある。[9.59.79.811.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。[8.1参照]
9.7 小児等
長期・大量使用又は密封法(ODT)により発育障害を来すおそれがある。また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。[8.1参照]
9.8 高齢者
大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)の使用に際しては特に注意すること。一般に副作用があらわれやすい。[8.1参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障(いずれも頻度不明)
眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進、緑内障を起こすおそれがある。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、後嚢白内障、緑内障等があらわれることがある。[8.1参照]
発現頻度は使用成績調査の結果を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症 皮膚の刺激感、そう痒感、発赤 
皮膚細菌性感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎等)注1)、ステロイドざ瘡注2)真菌性感染症(カンジダ症、白癬等)注1)、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎(ほほ、口囲等に潮紅、丘疹、膿疱、毛細血管拡張を生じる)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)、魚鱗癬様皮膚変化以上注2)多毛、色素脱失注2)
内分泌系  下垂体・副腎皮質系機能の抑制注3)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
眼には使用しないこと。

16. 薬物動態

16.2 吸収
ラットの正常皮膚に3H-デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏を塗布した結果、皮膚中へ速やかに移行し、比較的長く皮膚中に存在した1)2)
16.3 分布
ラットの正常皮膚に3H-デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏を塗布した結果、主に小腸内容物、肝臓等に分布した1)
16.4 代謝
ラットに3H-デキサメタゾン吉草酸エステルを皮下投与した結果、尿糞中の主代謝物として、6β-ヒドロキシデキサメタゾン21-グルタレート、20-ジヒドロデキサメタゾン等が確認された3)
16.5 排泄
ラットの正常皮膚に3H-デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏を塗布した結果、主として糞中に排泄された2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内総計2,046例を対象とした、二重盲検比較試験4)5)を含む臨床試験における改善率は、次のとおりであった。
対象疾患名改善率(%)(改善以上)
軟膏クリーム
湿疹・皮膚炎群90.7(731/806)92.1(360/391)
乾癬80.7(222/275)73.9(119/161)
痒疹群81.7(58/71)76.7(23/30)
掌蹠膿疱症76.5(65/85)63.6(7/11)
虫刺症98.4(61/62)87.0(20/23)
慢性円板状エリテマトーデス81.8(27/33)76.7(23/30)
扁平(紅色)苔癬86.7(26/30)92.1(35/38)
17.3 その他
17.3.1 皮膚局所への影響
健康成人男子を対象とした試験の結果、皮膚の厚さ及び皮膚所見より、本剤の皮膚局所への影響は少なかった6)
17.3.2 全身的影響
乾癬患者を対象とした試験の結果、血漿コルチゾール値の低下は比較的少なく、末梢血好酸球数及び血糖値には有意な変動は認められなかった7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
デキサメタゾン吉草酸エステルは、標的細胞のグルココルチコイド受容体と結合し、炎症・免疫反応に関わる標的遺伝子の転写の活性化やNF-κB等の転写調節因子の活性化を直接阻害することで、炎症性サイトカインの産生抑制やT細胞等の増殖抑制などの作用が総合的に作用して抗炎症効果を発揮するものと考えられている8)。また、合成副腎皮質ステロイドの血管収縮作用は抗炎症作用と相関することから、その作用機序も同じと考えられている9)10)
18.2 抗炎症作用
本剤の血管透過性亢進抑制作用及び浮腫抑制作用は0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル製剤と同等あるいはそれ以上であり、肉芽増殖抑制作用、アジュバント関節炎抑制作用及び遅延型アレルギー性皮膚炎症抑制作用は0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル製剤よりも強い11)12)(ラット、マウス)。
18.3 血管収縮作用
健康成人男子を対象とした皮膚血管収縮試験において、本剤の血管収縮作用は、0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル製剤よりも強かった13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. デキサメタゾン吉草酸エステル

一般的名称 デキサメタゾン吉草酸エステル
一般的名称(欧名) Dexamethasone Valerate
化学名 9-Fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16α-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 17-valerate
分子式 C27H37FO6
分子量 476.58
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。
クロロホルムに極めて溶けやすく、アセトニトリル、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、1-ブタノールにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01948

22. 包装

<ボアラ軟膏0.12%>
チューブ
5g×10、5g×50
10g×10、10g×50
100g×1
<ボアラクリーム0.12%>
チューブ
5g×10、5g×50
10g×10、10g×50

23. 主要文献

  1. 大槻俊治ら, 医薬品研究, 13 (5), 1028-1036, (1982)
  2. 大槻俊治ら, 医薬品研究, 13 (5), 1017-1027, (1982)
  3. 江角凱夫ら, 医薬品研究, 13 (5), 1037-1045, (1982)
  4. DV-O臨床研究班, 皮膚, 25 (3), 473-485, (1983) »DOI
  5. DV-C臨床研究班, 皮膚, 27 (3), 606-613, (1985) »DOI
  6. 伊藤正俊, 薬理と治療, 10 (12), 6715-6722, (1982)
  7. Dexamethasone 17-valerate 軟膏の全身影響研究班, 皮膚科紀要, 77 (3), 271-281, (1982)
  8. Adcock I.M., Pulm.Pharmacol.Ther., 13 (3), 115-126, (2000) »PubMed
  9. McKenzie A.W.,et al., Arch.Dermatol., 86, 608-610, (1962)
  10. Reid J.,et al., Br.J.Dermatol., 80, 328-336, (1968) »PubMed
  11. 久木浩平ら, 日本薬理学雑誌, 77 (1), 73-85, (1981) »PubMed
  12. 山崎光雄ら, 応用薬理, 23 (6), 953-960, (1982)
  13. 伊藤正俊, 薬理と治療, 10 (3), 1437-1451, (1982)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
マルホ株式会社 製品情報センター
〒531-0071 大阪市北区中津1-11-1
電話:0120-12-2834
製品情報問い合わせ先
マルホ株式会社 製品情報センター
〒531-0071 大阪市北区中津1-11-1
電話:0120-12-2834

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
マルホ株式会社
大阪市北区中津1-5-22

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版