医療用医薬品 : ナパゲルン

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医薬品情報


総称名 ナパゲルン
一般名 フェルビナク
欧文一般名 Felbinac
製剤名 フェルビナク軟膏・クリーム・ローション
薬効分類名 経皮吸収型鎮痛消炎剤
薬効分類番号 2649
ATCコード M02AA08
KEGG DRUG
D01675 フェルビナク
KEGG DGROUP
DG01504 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年10月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ナパゲルン軟膏3% NAPAGELN Ointment 3% 帝國製薬 2649731M1071 4.4円/g
ナパゲルンクリーム3% NAPAGELN Cream 3% 帝國製薬 2649731N1034 4.4円/g
ナパゲルンローション3% NAPAGELN Lotion 3% 帝國製薬 2649731Q1065 4.4円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[喘息発作を誘発するおそれがある。][9.1.1参照]

4. 効能または効果

下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、筋・筋膜性腰痛症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

6. 用法及び用量

ナパゲルン軟膏3%
<軟膏>
症状により、適量を1日数回患部に塗擦する。
ナパゲルンクリーム3%
<クリーム>
症状により、適量を1日数回患部に塗擦する。
ナパゲルンローション3%
<ローション>
症状により、適量を1日数回患部に塗布する。

8. 重要な基本的注意

8.1 消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。
8.2 慢性疾患(変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には薬物療法以外の療法も考慮すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 気管支喘息のある患者(アスピリン喘息又はその既往歴のある患者を除く)
喘息発作を誘発するおそれがある。[2.2参照]
9.1.2 皮膚感染症のある患者
感染を伴う炎症に対して用いる場合には適切な抗菌剤又は抗真菌剤を併用し、観察を十分行い慎重に使用すること。皮膚の感染症を不顕性化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。シクロオキシゲナーゼ阻害剤を妊娠中期以降の妊婦に使用し、胎児の動脈管収縮が起きたとの報告がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満0.1%未満
皮膚そう痒、皮膚炎、発赤接触皮膚炎、刺激感、水疱

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
<製剤共通>
14.1.1 眼及び粘膜に使用しないこと。
<軟膏・ローション>
14.1.2 表皮が欠損している場合に使用すると一時的にしみる、ヒリヒリ感を起こすことがあるので使用に際し注意すること。
14.1.3 密封包帯法で使用しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
<軟膏>
ナパゲルン軟膏3%を10g(フェルビナクとして300mg)、健康成人男子6例の背部に単回塗擦し、塗擦8時間後に薬剤を除去したときのフェルビナクの血清中濃度は、塗擦後24時間目に平均最高血中濃度411ng/mLを示し、48時間目に90ng/mLまで減少した。
ナパゲルン軟膏3%を1回3.3g、1日3回(フェルビナクとして297mg/日)、5日間反復して健康成人男子6例の背部(同一部位)に塗擦し、各日の3回目の塗擦4時間後に薬剤を除去したときのフェルビナクの血清中濃度は、2日目以降平均血中濃度約100〜300ng/mLを示し、最終塗擦終了後64時間目に48ng/mLまで減少した1)
<ローション>
ナパゲルンローション3%を10mL(フェルビナクとして300mg)、健康成人男子5例の背部に単回塗布し、塗布8時間後に薬剤を除去したときのフェルビナクの血清中濃度は、塗布後24時間目に平均最高血中濃度414ng/mLを示し、48時間目に65ng/mLまで減少した2)
16.3 分布
<軟膏>
関節液の貯留を認める変形性膝関節症患者2例に対して、ナパゲルン軟膏3%を3g単回塗擦したとき、塗擦6時間後の血清中フェルビナク濃度は28〜37ng/mL、滑液中濃度は10〜15ng/mLを示した。当該患者は塗擦6時間後に手術が施行されたが、各組織中のフェルビナク濃度は、塗擦部皮膚、皮下脂肪、筋肉及び滑膜で血清より高値を示した3)
<ローション>
3%-14C-フェルビナクローション剤の0.3mL(フェルビナクとして9mg)を雄性ラットの剃毛した正常腹部皮膚に単回塗布したとき、塗布部位皮膚中及び筋肉中の放射能濃度は、血清中濃度よりも高く、それぞれ塗布後0.5時間目及び6時間目に最高値が得られ、塗布後0〜96時間のAUCは、それぞれ5.6mg eq hr/g及び40.3μg eq hr/gであった4)
16.5 排泄
<軟膏>
血清中濃度測定と同時に測定した尿中排泄では、単回塗擦及び5日間連続塗擦時ともに、代謝物として主にフェルビナク抱合体並びに4'-OH-フェルビナク及びその抱合体が尿中に認められた。単回塗擦後48時間目までのこれらの平均総排泄量は、9.86mg(塗擦量の3.29%)であり、そのうち未変化体フェルビナクの排泄量は0.21mgであった。また、5日間反復塗擦時の塗擦期間中の各日のこれらの平均排泄量は1.88〜4.33mg(塗擦1日量の0.63〜1.46%)であった1)
<ローション>
血清中濃度測定と同時に測定した尿中排泄では、主にフェルビナク抱合体並びに4'-OH-フェルビナク及びその抱合体が尿中に認められた。単回塗布後48時間目までのこれらの平均総排泄量は、10.79mg(塗布量の3.6%)であった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
<軟膏>
国内で実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験における9,090症例の改善率(中等度改善以上)は次のとおりであった。(再審査終了時の集計5)
疾患中等度改善以上例数/評価対象例数改善率
変形性関節症1,637/3,16051.8
筋・筋膜性腰痛症412/58270.8
肩関節周囲炎699/1,20158.2
腱・腱鞘炎459/77759.1
腱周囲炎152/23963.6
上腕骨上顆炎361/58561.7
筋肉痛575/87665.6
外傷後の腫脹・疼痛1,162/1,67069.6
5,457/9,09060.0
<クリーム>
国内で実施された臨床試験における61症例の改善率(中等度改善以上)は次のとおりであった。(承認時の集計6)
疾患中等度改善以上例数/評価対象例数改善率
変形性関節症15/3050.0
外傷後の腫脹・疼痛25/3180.6
40/6165.6
<ローション>
国内で実施された臨床試験における1,178症例の改善率(中等度改善以上)は次のとおりであった。(再審査終了時の集計7)
疾患中等度改善以上例数/評価対象例数改善率
変形性関節症149/24261.6
筋・筋膜性腰痛症161/21674.5
肩関節周囲炎108/18359.0
腱・腱鞘炎61/11453.5
腱周囲炎26/4065.0
上腕骨上顆炎38/6955.1
筋肉痛93/13270.5
外傷後の腫脹・疼痛136/18274.7
772/1,17865.5

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
疼痛、急性炎症・慢性炎症に対し、鎮痛・抗炎症作用を示す。
18.1.1 プロスタグランジン生合成抑制作用
フェルビナクは、モルモット肺より抽出したプロスタグランジン合成酵素のシクロオキシゲナーゼに対し、阻害作用が認められた(IC50=0.61μg/mL)8)
18.1.2 抗プロスタグランジン作用
フェルビナクは、プロスタグランジンE1によるスナネズミ結腸の収縮に対し、抑制作用を示した8)
18.2 鎮痛作用
<軟膏>
ナパゲルン軟膏3%は、ラットのRandall-Selitto法及び硝酸銀誘発関節炎の炎症性疼痛に対し、1%インドメタシンゲル状軟膏とほぼ同等の鎮痛作用を示した9)
<クリーム>
ナパゲルンクリーム3%は、ナパゲルン軟膏3%と同様の鎮痛作用を示し、ラットのRandall-Selitto法による炎症性疼痛に対し、鎮痛作用を示した10)
<ローション>
ナパゲルンローション3%は、ラットのRandall-Selitto法による炎症性疼痛に対し、鎮痛作用を示した11)
18.3 抗炎症作用
<軟膏>
ナパゲルン軟膏3%は、ラットのカラゲニン足蹠浮腫、打撲足浮腫及びアジュバント関節炎、また、モルモットの紫外線誘発紅斑法等の急性・慢性炎症反応に対して、1%インドメタシンゲル状軟膏と同等あるいは強い抗炎症作用を示した9)
<クリーム>
ナパゲルンクリーム3%は、ナパゲルン軟膏3%と同様の抗炎症作用をもち、ラットのカラゲニン足蹠浮腫及びアジュバント関節炎の急性・慢性炎症反応に対して、抗炎症作用を示した10)
<ローション>
ナパゲルンローション3%は、ラットのカラゲニン足蹠浮腫、綿球肉芽腫及びアジュバント関節炎等の急性・慢性炎症反応に対して、抗炎症作用を示した11)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フェルビナク

一般的名称 フェルビナク
一般的名称(欧名) Felbinac
化学名 Biphenyl-4-ylacetic acid
分子式 C14H12O2
分子量 212.24
融点 163〜166℃
物理化学的性状 本品は白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品はメタノール又はアセトンにやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01675

20. 取扱い上の注意

<軟膏・ローション>
火気を避けて保存すること。

22. 包装

<ナパゲルン軟膏3%>
25g×10
<ナパゲルンクリーム3%>
25g×10
<ナパゲルンローション3%>
50mL×10

23. 主要文献

  1. 景山孝正ほか, 薬理と治療, 13 (8), 4491-4508, (1985)
  2. 社内資料(ナパゲルンローション3%体内動態)
  3. 菅原幸子ほか, 医学と薬学, 13 (6), 1701-1706, (1985)
  4. 社内資料(ナパゲルンローション3%ラットにおける経皮吸収試験)
  5. 社内資料(ナパゲルン軟膏3%臨床成績集計)
  6. 社内資料(ナパゲルンクリーム3%臨床成績集計)
  7. 社内資料(ナパゲルンローション3%臨床成績集計)
  8. Tolman EL,et al., Prostaglandins., 9 (3), 349-359, (1975) »PubMed
  9. 柴富志治ほか, 基礎と臨床, 20 (4), 2185-2200, (1986)
  10. 社内資料(ナパゲルンローション3%臨床成績集計)
  11. 社内資料(ナパゲルンローション3%薬理作用)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
帝國製薬株式会社 医薬営業部 製品情報室
〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町6番6号
電話:0120-189-567
製品情報問い合わせ先
帝國製薬株式会社 医薬営業部 製品情報室
〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町6番6号
電話:0120-189-567

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
帝國製薬株式会社
香川県東かがわ市三本松567番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版