2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 診断未確定の性器出血のある患者[病因を見のがすおそれがある。]
2.3 稽留流産又は子宮外妊娠の患者[妊娠維持作用により死亡している胎児の排出が困難になるおそれがある。]
2.4 重度の肝機能障害のある患者[
9.3.1参照]
2.5 乳癌又は生殖器癌の既往歴又は疑いがある患者[症状が悪化するおそれがある。]
2.6 動脈又は静脈の血栓塞栓症あるいは重度の血栓性静脈炎の患者又は既往歴のある患者[
11.1.1参照]
2.7 ポルフィリン症の患者[症状が悪化するおそれがある。]
プロゲステロンとして1回200mgを1日3回、胚移植2〜7日前より経腟投与する。妊娠が確認できた場合は、胚移植後9週(妊娠11週)まで投与を継続する。
8.1 投与の中止により、不安、気分変化、発作感受性の増大を引き起こす可能性があるので、投与中止の際には注意するよう患者に十分説明すること。
8.2 傾眠状態や浮動性めまいを引き起こすことがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分説明すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかん又はその既往歴のある患者
副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.2 うつ病又はその既往歴のある患者
注意深く観察し、症状の悪化を認めた場合は投与を中止するなど注意すること。副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.3 片頭痛、喘息又はその既往歴のある患者
9.1.4 心機能障害のある患者
9.1.5 糖尿病の患者
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。作用が増強されるおそれがある。[
2.4参照]
9.3.2 中等度以下の肝機能障害のある患者
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中に移行することがある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血栓症(頻度不明)
心筋梗塞、脳血管障害、動脈又は静脈の血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症又は肺塞栓症)、血栓性静脈炎、網膜血栓症があらわれたとの報告がある。[
2.6参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
皮膚 | | 発疹 | |
循環器 | | 心電図異常、WPW症候群 | |
消化器 | | 腹痛 | 下痢、腹部膨満感、悪心・嘔吐 |
肝臓 | | ALT増加 | |
代謝異常 | | 血中トリグリセリド減少 | |
血液 | | 白血球数増加 | |
精神神経系 | 浮動性めまい | | 頭痛、感覚鈍麻 |
生殖系 | 不正子宮出血、卵巣過剰刺激症候群、外陰腟そう痒症、性器出血、生化学的妊娠 | 子宮頸管ポリープ、腟感染、多胎妊娠 | 紅斑、灼熱感、腟分泌物、外陰部炎、腟びらん |
14.1 薬剤交付時の注意
本剤はPTPシートから取り出して腟内にのみ投与するよう指導すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 黄体ホルモン剤の投与と先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体ホルモン剤又は黄体・卵胞ホルモン剤を投与していた率に有意差があるとする疫学調査の結果が報告されている
1)。
15.1.2 外国において妊娠初期を超えて本剤が処方された事例で、重篤でない可逆的な肝異常(妊娠性胆汁うっ滞様)がごくまれに報告されている。
18.1 作用機序
プロゲステロンは発情行動、子宮内膜分泌期変化、着床準備、妊娠維持、体温上昇、排卵抑制、性周期調節及び乳腺発達作用等に重要な役割を果たす。
プロゲステロンは生体内では排卵後の卵巣黄体や妊娠中には胎盤からも分泌される。プロゲステロンは卵胞ホルモンにより増殖した子宮内膜を分泌型に変えて、胚が着床しやすい状態にし、更に、胚が子宮内膜に着床すると内膜に脱落膜を形成させ、出産まで妊娠を維持させる生体内ホルモンである。
18.2 子宮内膜細胞増殖作用
未成熟ウサギにエストラジオール0.25μg/動物/日を6日間皮下投与した後、プロゲステロンを5日間皮下投与した。プロゲステロンは0.1mg/動物/日以上で子宮内膜細胞を増殖させ、胚が着床しやすい状態にした
7)。
18.3 脱落膜腫形成作用
卵巣摘出ラットにエストラジオール1μg/動物/日を4日間皮下投与した後、プロゲステロンを8日間皮下投与した。プロゲステロンは2.0mg/動物/日で子宮内膜の障害後の脱落膜腫を形成させ、薬理作用が確認された
8)。
18.4 妊娠維持作用
ウサギの受胎直後に、その卵巣を摘出すると、その受精卵は胚盤胞以後の発育はできなく、着床も妨げられ変性する。しかし、受胎後に卵巣を摘出してもプロゲステロンを投与しておけば妊娠は維持される。ヒトの場合にも妊娠2〜3ヵ月以内に卵巣を摘出すると、プロゲステロンの分泌が中断されて流産を起こす。プロゲステロンは妊娠全経過を通じて妊娠の維持に大きな役割を果たしている
9)。