医療用医薬品 : メプチン

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医薬品情報


総称名 メプチン
一般名 プロカテロール塩酸塩水和物
欧文一般名 Procaterol Hydrochloride Hydrate
製剤名 プロカテロール塩酸塩水和物吸入液
薬効分類名 気管支拡張剤
薬効分類番号 2259
ATCコード R03AC16 R03CC08
KEGG DRUG
D05366 プロカテロール塩酸塩水和物
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2019年10月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
メプチン吸入液0.01% Meptin inhalation solution 大塚製薬 2259704G1032 26.1円/mL 処方箋医薬品注)
メプチン吸入液ユニット0.3mL Meptin inhalation solution 大塚製薬 2259704G5020 25円/個 処方箋医薬品注)
メプチン吸入液ユニット0.5mL Meptin inhalation solution 大塚製薬 2259704G6026 25.6円/個 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解

6. 用法及び用量

プロカテロール塩酸塩水和物として、通常成人1回30〜50μg(0.3〜0.5mL)、小児1回10〜30μg(0.1〜0.3mL)を深呼吸しながらネブライザーを用いて吸入する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあり、特に発作発現時の吸入投与の場合には使用が過度になりやすいので十分に注意すること。また、患者に対し、過度の使用による危険性を理解させ、用法及び用量を守ること、及びその他必要と考えられる注意を与えること。[13.1参照]
8.2 用法及び用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当でないと考えられるので、投与を中止すること。なお、小児に対する投与には使用法を正しく指導し、経過の観察を十分に行うこと。
8.3 発作が重篤で吸入投与の効果が不十分な場合には、可及的速やかに医療機関を受診し治療を受けるよう注意を与えること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 甲状腺機能亢進症の患者
甲状腺機能亢進症が増悪することがある。
9.1.2 高血圧の患者
血圧が上昇することがある。
9.1.3 心疾患の患者
動悸、不整脈、症状の増悪等があらわれることがある。
9.1.4 糖尿病の患者
糖尿病が増悪することがある。
9.1.5 低酸素血症の患者
血清カリウム値をモニターすることが望ましい。低酸素血症は血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。[11.1.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている1)
9.7 小児等
低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
カテコールアミン製剤
アドレナリン
イソプレナリン等
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがある。アドレナリン、イソプレナリン等のカテコールアミン製剤の併用によりアドレナリン作動性神経刺激の増大が起こる。そのため不整脈を起こすことが考えられる。
キサンチン誘導体
テオフィリン
アミノフィリン水和物
ジプロフィリン等
11.1.2参照]
低カリウム血症、心・血管症状(頻脈、不整脈等)等のβ刺激剤の副作用症状を増強させることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下、心・血管症状等を増強することが考えられる。低カリウム血症の増強についての機序は不明である。
ステロイド剤
ベタメタゾン
プレドニゾロン
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム等
利尿剤
フロセミド等
11.1.2参照]
血清カリウム値が低下し、低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下を増強することが考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
11.1.2 重篤な血清カリウム値の低下(頻度不明)
キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。[9.1.510.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
循環器動悸、頻脈、心電図異常、血圧上昇、ほてり等 上室性期外収縮・上室性頻拍・心室性期外収縮等、顔面蒼白、血圧低下
精神神経系振戦、頭痛・頭重感、手のしびれ感、めまい冷汗、眠気等筋痙直、神経過敏
消化器嘔気・嘔吐等  
呼吸器気管・咽喉頭部異常感鼻閉、呼吸困難等 
過敏症  発疹、そう痒感等
その他 脱力感、聴覚異常、血小板減少等全身倦怠感、一過性(吸入後1〜2時間)の血清カリウム値の低下

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤はアレルゲンによる皮膚反応に抑制的に作用するので、皮膚テストを実施する場合には、12時間前より本剤の投与を中止することが望ましい。

13. 過量投与

13.1 症状
本剤の過度の使用により心室性不整脈(心室頻拍、心室細動等)、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性がある。
過量投与により、頻脈、頻脈性不整脈、血圧低下、神経過敏、振戦、低カリウム血症、高血糖、乳酸アシドーシス等があらわれることがある。[8.1参照]
13.2 処置
重篤な頻脈性不整脈発現時にはβ遮断剤(プロプラノロール塩酸塩等)が有効な場合があるが、気道抵抗を上昇させるおそれがあるので、喘息患者等への投与には十分注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 吸入前
<製剤共通>
(1)ネブライザーに残った薬液は使用しないこと。
<メプチン吸入液ユニット0.3mL・0.5mL>
(2)患者には製品添付の「メプチン吸入液ユニット0.3mL・0.5mLの使用方法」(説明書)を渡し、使用方法を指導すること。
(3)本剤は保存剤を含有しないので、使用直前に開封すること。
(4)本剤は使い切り製剤であるため、使用直前に開封し、1回に全量を使い切ることとし、本剤を用いて用量の調節を行わないこと。
(5)目には入れないこと。
<メプチン吸入液0.01%>
(6)本剤はベンジルペニシリンカリウムと配合すると白濁を生じるので配合を避けること。
(7)用時必要量のみを取り出して使用し、いったん取り出した薬液はもとの容器に戻さないこと。
14.1.2 吸入後
本剤吸入後にうがいを実施するように指示することが望ましい。
14.1.3 保管時
<製剤共通>
(1)誤飲を避けるため、小児の手の届かない所に保管するよう注意すること。
<メプチン吸入液0.01%>
(2)開栓後は汚染防止のため、清潔に取り扱うこと。
(3)容器内に他の薬剤や異物が混入しないよう注意すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 プロカテロール塩酸塩水和物の経口投与毒性試験(ラット、イヌ)において、他のβ刺激薬と同様に心筋障害が認められた。
15.2.2 ラットを用いた104週間混餌投与試験において、薬物投与により、卵巣間膜腫が出現した。この腫瘍はラットに特異的なものであると考えられており、また、各種β刺激薬を長期間反復投与することにより発現することが報告されている2)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性6例にメプチンエアーを4吸入(プロカテロール塩酸塩水和物として40μg)注)投与した時、投与後15分で128pg/mLの血漿中濃度を示し、その後減衰した3)
16.4 代謝
デスイソプロピルプロカテロールの生成には、主としてCYP3A4分子種が関与する4)in vitro)。ヒトにおける主要な代謝経路はグルクロン酸抱合体への抱合反応と考えられた。
16.5 排泄
メプチンエアーを4吸入(プロカテロール塩酸塩水和物として40μg)注)投与した時の投与後24時間までの累積尿中プロカテロール排泄率は投与量の14.36%であった3)
注)本剤の承認された成人の用量は1回30〜50μgである。また、本剤での薬物動態試験は実施していないので、参考としてプロカテロール塩酸塩水和物含有の吸入剤(メプチンエアー)の成績を示している。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内一般臨床試験
国内延べ25施設で総計193例について実施された一般試験(成人1回30〜50μg、小児1回10又は30μg)において、気管支喘息に対する有効率は58.0%(112/193例)であった5)6)7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
プロカテロール塩酸塩水和物は気管支平滑筋のβ2受容体を選択的に刺激し、気管支拡張作用を発現する。
18.2 気管支拡張作用
18.2.1 イヌ、ネコ及びモルモットでのヒスタミン等による気道抵抗増大に対する抑制効果でみると、プロカテロール塩酸塩水和物の気管支拡張作用はイソプレナリンと同等かそれ以上の強さで、サルブタモール硫酸塩及びオルシプレナリン硫酸塩より強いことが確認された8)9)10)11)12)
18.2.2 無麻酔モルモットや麻酔イヌにおけるプロカテロール塩酸塩水和物吸入時の気管支拡張効果の発現は、吸入後1〜5分で、経口投与に比べて速やかであった12)13)
18.2.3 プロカテロール塩酸塩水和物吸入により、小児気管支喘息患者の中枢気道のみならず末梢気道も拡張させることが確認された14)
18.3 気管支拡張作用持続時間
18.3.1 イヌ、ネコ及びモルモットで検討したプロカテロール塩酸塩水和物の気管支拡張作用持続時間は、イソプレナリン、トリメトキノール、オルシプレナリン硫酸塩及びサルブタモール硫酸塩より長いことが確認された8)9)10)12)
18.3.2 麻酔イヌでのプロカテロール塩酸塩水和物10μg吸入によるヒスタミン気道抵抗増大に対する抑制効果は、サルブタモール硫酸塩200μgの吸入と同程度の抑制効果を示し、作用持続時間は長かった13)
18.4 β2受容体への選択性
心循環器系のβ受容体と気道系のβ受容体への臓器選択性をイヌ、ネコ及びモルモットで検討したところ、プロカテロール塩酸塩水和物はイソプレナリン、トリメトキノール、オルシプレナリン硫酸塩及びサルブタモール硫酸塩よりも優れた臓器選択性を示した8)9)10)12)
18.5 抗アレルギー作用
モルモットあるいはラットでのレアギン性の気道抵抗増大、PCA反応及び肺からのヒスタミン遊離、成人気管支喘息患者での皮膚反応及びアレルゲン吸入誘発に対する抑制を指標としたプロカテロール塩酸塩水和物の抗アレルギー作用はイソプレナリン、オルシプレナリン硫酸塩及びサルブタモール硫酸塩より強いことが確認された15)16)17)18)19)
18.6 気道分泌系に対する作用
プロカテロール塩酸塩水和物はハトの気道繊毛運動を亢進した20)
18.7 実験的誘発喘息発作抑制作用
プロカテロール塩酸塩水和物はトレッドミル又はエルゴメーター運動負荷やメサコリン吸入により誘発された気管支喘息患者の喘息発作を抑制した21)22)23)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. プロカテロール塩酸塩水和物

一般的名称 プロカテロール塩酸塩水和物
一般的名称(欧名) Procaterol Hydrochloride Hydrate
化学名 8-Hydroxy-5-{(1RS,2SR)-1-hydroxy-2-[(1-methylethyl)amino]butyl}-quinolin-2(1H)-one monohydrochloride hemihydrate
分子式 C16H22N2O3・HCl・1/2H2O
分子量 335.83
融点 約195℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。水、ギ酸又はメタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品1.0gを水100mLに溶かした液のpHは4.0〜5.0である。光によって徐々に着色する。水溶液(1→20)は旋光性を示さない。
KEGG DRUG D05366

20. 取扱い上の注意

<メプチン吸入液ユニット0.3mL・0.5mL>
20.1 アルミピロー開封後は遮光して保存すること。
<メプチン吸入液0.01%>
20.2 小分け後は遮光して保存すること。

22. 包装

<メプチン吸入液0.01%>
30mL
<メプチン吸入液ユニット0.3mL>
0.3mL×56個(28個×2)
<メプチン吸入液ユニット0.5mL>
0.5mL×56個(28個×2)

23. 主要文献

  1. 社内資料:妊娠ラットにおける胎盤通過性及び乳汁移行
  2. Jack,D.et al., Toxicology., 27, 315-320, (1983) »PubMed »DOI
  3. 田代信也 ほか, 薬理と治療, 26 (2), 185-195, (1998)
  4. 社内資料:P-450発現系ミクロゾームによるin vitro代謝試験
  5. 螺良英郎 ほか, 現代医療, 17 (10), 1991-2002, (1985)
  6. 真田幸昭 ほか, 現代医療, 18 (3), 667-672, (1986)
  7. 荒井康男 ほか, Prog Med., 5 (11), 3025-3037, (1985)
  8. Yabuuchi,Y.et al., J Pharmacol Exp Ther., 202 (2), 326-336, (1977) »PubMed
  9. Himori,N.et al., Br J Pharmac., 61 (1), 9-17, (1977)
  10. Yamashita,S.et al., J Pharm Pharmac., 30 (5), 273-279, (1978)
  11. 河村公太郎 ほか, 社内資料(イヌにおける気道抵抗増大抑制効果), (1979)
  12. Tei,S.et al., Pharmacometrics., 17 (3), 335-343, (1979)
  13. 河村公太郎 ほか, 薬理と治療, 14 (10), 6095-6100, (1986)
  14. 飯倉洋治 ほか, 小児科, 27 (9), 1219-1224, (1986)
  15. 江田昭英 ほか, アレルギー, 28 (5), 417-422, (1979) »DOI
  16. 伊藤和彦 ほか, 新薬と臨床, 27 (12), 2127-2133, (1978)
  17. 中沢次夫 ほか, 現代の診療, 21 (1), 35-39, (1979)
  18. 伊藤和彦, 基礎と臨床, 14 (11), 3549-3555, (1980)
  19. 信太隆夫 ほか, 社内資料(即時型皮内反応に対する抑制効果), (1979)
  20. 加瀬佳年 ほか, 応用薬理, 15 (4), 705-720, (1978)
  21. 赤坂 徹 ほか, 小児科診療, 44 (2), 239-247, (1981)
  22. 西間三馨 ほか, 小児科診療, 48 (9), 1664-1670, (1985)
  23. Adachi,M.et al., Current Therapeutic Research., 40 (3), 624-633, (1986)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
大塚製薬株式会社 医薬情報センター
〒108-8242 東京都港区港南2-16-4
品川グランドセントラルタワー
電話:0120-189-840
FAX:03-6717-1414
製品情報問い合わせ先
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〒108-8242 東京都港区港南2-16-4
品川グランドセントラルタワー
電話:0120-189-840
FAX:03-6717-1414

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版