医療用医薬品 : サルグマリン

List   Top

医薬品情報


総称名 サルグマリン
一般名 サルグラモスチム(遺伝子組換え)
欧文一般名 Sargramostim(Genetical Recombination)
製剤名 サルグラモスチム(遺伝子組換え)吸入剤
薬効分類名 遺伝子組換えヒトGM-CSF製剤
薬効分類番号 2290
ATCコード L03AA09
KEGG DRUG
D05803 サルグラモスチム
KEGG DGROUP
DG01753 コロニー刺激因子
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2024年7月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
サルグマリン吸入用250μg Sargmalin for inhalation 250μg ノーベルファーマ 2290706G1023 42359.1円/瓶 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者[15.1.1参照]

4. 効能または効果

自己免疫性肺胞蛋白症

6. 用法及び用量

通常、成人にはサルグラモスチム(遺伝子組換え)として125μgを1日2回、ネブライザーを用いて7日間連日吸入投与し、7日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

7. 用法及び用量に関連する注意

12クールを目安に有効性及び安全性を評価し、投与継続について判断する。投与継続する場合は、定期的に有効性及び安全性を評価し、投与継続の可否を判断すること。

8. 重要な基本的注意

8.1 過敏症等の反応を予測するために、使用に際しては薬物過敏症の既往歴、アレルギー既往歴等について十分な問診を行うこと。[9.1.19.1.215.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者8.115.1.1参照]
9.1.2 アレルギー素因のある患者8.115.1.1参照]
9.1.3 肺の線維化を有する患者
肺の線維化所見は本疾患の予後不良因子とされている。本剤投与中は定期的に肺線維化進展の有無を確認し、投与により肺線維化の進展が疑われる場合は投与継続の可否を検討すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ウサギ)では、本剤の皮下投与で自然流産の増加等が報告されている1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 2%未満
血液赤血球増加症、白血球数増加
呼吸器咳嗽、発声障害
消化器口の感覚鈍麻
その他頭痛、尿中血陽性

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 本剤はネブライザーを用いて吸入するタンパク製剤であり、加熱により活性が失われるおそれがあることから、超音波式(メッシュ式を除く)以外のネブライザーを使用するよう指導すること。また、ネブライザーは機種により使用方法及び性能が異なるため、患者に対してその使用方法及び性能をよく説明すること。
14.1.2 本剤を交付する際には、患者用説明文書を渡し、本剤の調製方法及び吸入方法を指導すること。
14.1.3 バイアルは遮光して冷蔵保存(2〜8℃)するように指導すること。[20.参照]
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 本剤は日局生理食塩液4mLを用いて溶解し、1回に2mLの薬液を使用すること。残りの薬液2mLは冷蔵保存(2〜8℃)して18時間以内に使用すること。
14.2.2 冷蔵保存(2〜8℃)した残りの薬液を使用する場合は、常温に戻してから使用すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 GM-CSF製剤の皮下又は静脈内投与時にアナフィラキシーがあらわれたとの外国での報告がある1)。[2.、8.19.1.19.1.2参照]
15.1.2 本剤の投与による抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)抗体濃度の増加が報告されている2)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(健康成人)
健康成人9例に本剤125、250又は500μg(各3例)を単回吸入投与したとき、125及び250μg投与例では、いずれの時点でも血清中サルグラモスチム濃度が定量下限付近又はそれ以下であり、500μg投与例における血清中サルグラモスチム濃度は、投与後1又は2時間で最大となり、Cmaxの個別値は11.0、12.3及び2.32pg/mLであった。なお、承認用量は1回125μgを1日2回である。
16.1.2 単回投与(自己免疫性肺胞蛋白症患者)
自己免疫性肺胞蛋白症患者5例に本剤125μgを単回吸入投与したとき、血清中サルグラモスチム濃度を定量可能であったのは1例の投与4時間後のみ(1.12pg/mL)であり、その他の被験者及び測定時点ではいずれも定量下限未満であった3)
16.3 分布
自己免疫性肺胞蛋白症患者では、血液中に抗GM-CSF自己抗体が存在しており、循環血中に移行したサルグラモスチムは速やかに中和抗体と複合体を形成すると考えられている4)
16.4 代謝
サルグラモスチムは、ペプチド及びアミノ酸に代謝分解されると考えられている。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(二重盲検比較試験)
自己免疫性肺胞蛋白症患者64例を対象にプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。二重盲検期(24週間)の用法・用量は、1回あたり本剤125μg又はプラセボを1日2回ネブライザーで吸入投与することとし、投与期間は7日間の連日投与と、続く7日間の休薬期間を1クールとし、12クール施行した。主要評価項目である投与開始後24週における肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)のベースラインからの変化量(平均±標準偏差)は、プラセボ群(31例)で0.17±10.50mmHg、実薬群(33例)で−4.5±9.03mmHgであり、群間差の推定値[95%信頼区間]は−4.68[−9.6,0.24]mmHgであった(U検定:P=0.016)。
二重盲検期の副作用は、プラセボ群で12.9%(4/31例)、実薬群で9.1%(3/33例)に認められた。二重盲検期と同様の投与方法で実施した後治療/後観察期を含めた全期間(42週間)で本剤が投与された患者において副作用は8.3%(5/60例)に7件認められ、認められた副作用は口の感覚鈍麻、赤血球増加症、咳嗽、発声障害、頭痛、尿中血陽性、白血球数増加(各1例)であった2)5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
サルグラモスチムは肺胞マクロファージの成熟を促し、それに続く成熟マクロファージによる肺サーファクタントの分解により肺機能を改善すると考えられている6)
18.2 薬理作用
18.2.1 肺胞マクロファージの増殖/生存増強作用
サルグラモスチムはサル肺胞マクロファージの増殖/生存を高めた7)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. サルグラモスチム(遺伝子組換え)

一般的名称 サルグラモスチム(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Sargramostim(Genetical Recombination)
分子量 約17,000
理化学知見その他 サルグラモスチムは、遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の類縁体(R23L)である。サルグラモスチムは、127個のアミノ酸残基からなる糖タンパク質(分子量:約17,000)である。
KEGG DRUG D05803

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して冷蔵保存(2〜8℃)すること。[14.1.3参照]

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

1日分[凍結乾燥品1バイアル、4mL計量カップ1個、薬液採取用スポイト1本、バイアル保護シール1枚]

23. 主要文献

  1. Leukine 米国添付文書, (2022)
  2. Tazawa R,et al., N Engl J Med., 381, 923-32, (2019) »PubMed
  3. 社内資料:第I相試験(2024年3月26日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  4. Nakano R,et al., J Immunol Methods., 460, 1-9, (2018) »PubMed
  5. 社内資料:第III相試験(2024年3月26日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  6. Ohashi K,et al., Respir Med., 106, 284-93, (2012) »PubMed
  7. 社内資料:効力を裏付ける試験(2024年3月26日承認、申請資料概要2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ノーベルファーマ株式会社 カスタマーセンター
〒104-0033 東京都中央区新川1-17-24
電話:フリーダイヤル:0120-003-140
製品情報問い合わせ先
ノーベルファーマ株式会社 カスタマーセンター
〒104-0033 東京都中央区新川1-17-24
電話:フリーダイヤル:0120-003-140

25. 保険給付上の注意

本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2025年5月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ノーベルファーマ株式会社
東京都中央区新川1-17-24

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版