本剤の臨床用量、臨床効果並びに副作用を調べる目的で一般臨床試験28試験を実施した結果は、次のとおりであった。
(1)成人(16歳以上)
脳血管障害、外傷後遺症等の痙性麻痺患者580例における1日投与量(最終投与量)は5〜90mgと幅があったが、25〜35mgが多く、全体の60.7%を占めていた注1)。全般改善度注3)は、著明改善及び中等度改善で25.4%(137/540例)、軽度改善を含めると64.6%(349/540例)であった。
副作用及び随伴症状の発現率は38.4%(223/580例)であり、主な症状は眠気9.3%、脱力感6.7%、悪心5.2%等であった。
(2)小児(15歳以下)
脳性小児麻痺等の痙性麻痺患者140例における1日投与量(最終投与量)は試験終了時年齢によるが、5〜60mgと幅があり、30mg以下が全体の88.6%を占めていた注2)。全般改善度注3)は、著明改善及び中等度改善では31.4%(44/140例)であり、軽度改善を含めると60.0%(84/140例)であった。
副作用及び随伴症状の発現率は21.4%(30/140例)であり、主な症状は脱力感5.8%、眠気4.3%、嘔吐2.9%等であった。
(1)主に脊髄部位に障害の原因を持つ痙性麻痺患者113例を対象とし、トルペリゾン塩酸塩を対照に二重盲検群間比較試験を実施した。バクロフェンは1、2週に1日5〜30mgまで漸増、3、4週に30又は45mg
注1)、トルペリゾン塩酸塩は1、2週に1日300mg、3、4週に300又は450mgの経口投与とした。その結果、全般改善度
注3)は両群間で同等であり、有用度
注4)は、バクロフェン群50.8%(30/59例)、トリペリゾン塩酸塩群40.7%(22/54例)でバクロフェン群が高い傾向であった(U検定、P<0.10)。さらに、痙性麻痺に伴う症状のうち、不随意的筋痙縮、クローヌス、伸張反射の抑制に関する他覚的判定において、バクロフェン群が有意に優れていた(χ
2及びU検定、P<0.05)。
バクロフェン群の副作用発現率は44.1%(26/59例)で、主な副作用は眠気、脱力感、悪心等であった。
3)(2)脳及び脊髄部位に障害のある痙性麻痺患者194例を対象とし、トルペリゾン塩酸塩を対照に二重盲検群間比較試験を実施した。バクロフェンは1、2週に1日5〜30mgまで漸増、3、4週に1日30又は40mg
注1)、トルペリゾン塩酸塩は1、2週に1日300mg、3、4週に1日300又は400mgの経口投与とした。その結果、最終全般改善度
注3)及び有用度
注4)は両群間で同等だった。さらに、アキレス腱反射、クローヌスの改善において、バクロフェン群が有意に優れていた(χ
2検定、P<0.05)。
バクロフェン群の副作用発現率は43.3%(42/97例)で、主な副作用は脱力感11.6%、眠気6.9%、ふらつき6.9%等であった。
4)
注2)本剤の承認された用法及び用量のうち、小児の1日標準用量は、4〜6歳:5〜15mg/7〜11歳:5〜20mg/12〜15歳:5〜25mgである。なお、年齢、体重に応じて適宜増減する。