検査前1〜2週間は,ヨウ素を含む食物やヨウ素-123甲状腺摂取率に影響する薬剤は摂らせないようにする。
<甲状腺摂取率の測定>
通常成人には,本剤3.7MBqを経口投与し,3〜24時間後に1〜3回シンチレーションカウンターで計数する。
なお,年齢,体重により適宜増減する。
<甲状腺シンチグラフィ>
通常成人には,本剤3.7〜7.4MBqを経口投与し,3〜24時間後に1〜2回シンチレーションカメラ又はシンチレーションスキャナで撮影又は走査することにより甲状腺シンチグラムをとる。
なお,年齢,体重により適宜増減する。
診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし,投与量は最小限度にとどめること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 薬剤投与時の注意
検査前1〜2週間は,ヨウ素を含む食物や甲状腺摂取率の検査に影響する薬剤は摂らせないこと。
16.3 分布
16.3.1 患者11例について試験した結果,本剤の胃部分布率は,本剤の溶解,吸収の様相を示すものと考えられるが,3時間までに急速に減少し以後は緩やかに減少した。胃部分布率の低下に対して血中濃度は3時間までは上昇の傾向を示したが,以後は緩やかに減少した。また,経口投与後6時間で甲状腺に13.2±4.9%取り込まれ,以後24時間まで緩やかな摂取上昇曲線を描いた。
16.3.2 吸収線量
MIRD法により算出した吸収線量は次のとおりである
1)。
臓器 | ヨードカプセル-123 3.7MBq投与あたり(mGy) | ヨウ化ナトリウム(131I)カプセル 3.7MBq投与あたり(mGy) |
甲状腺 | 13.0 | 1300 |
胃壁 | 0.21 | 1.4 |
肝臓 | 0.027 | 0.48 |
卵巣 | 0.031 | 0.14 |
精巣 | 0.012 | 0.09 |
赤色骨髄 | 0.030 | 0.26 |
全身 | 0.029 | 0.71 |
16.5 排泄
18.1 測定法
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により計数化又は画像化される。
18.2 集積機序
ヨウ素は消化管から吸収され,血中へ移行する。血中へ入ったI−(iodideion)は,甲状腺の上皮細胞によって血中から能動的に取り込まれる。甲状腺はI−を有機化し,T3及びT4に合成する。T3及びT4は濾胞腔にcolloidとして貯えられ,上皮細胞のpinocytosisにより再び細胞内に取り込まれ加水分解を受けた後,分泌される。
放射性ヨウ素は上記と同じ挙動を示すため,本剤による甲状腺摂取率は甲状腺の機能状態の診断に,また,甲状腺シンチグラフィは甲状腺の形態等甲状腺疾患の診断における良い指標と考えられる。
本剤は,医療法その他の放射線防護に関する法令,関連する告示及び通知等を遵守し,適正に使用すること。