医療用医薬品 : カルスロット

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医薬品情報


総称名 カルスロット
一般名 マニジピン塩酸塩
欧文一般名 Manidipine Hydrochloride
薬効分類名 持続性Ca拮抗降圧剤
薬効分類番号 2149
ATCコード C08CA11
KEGG DRUG
D01553 マニジピン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01928 ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
DG03231 血圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年5月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カルスロット錠5 CALSLOT TABLETS 武田テバ薬品 2149027F1020 13円/錠 劇薬, 処方箋医薬品注)
カルスロット錠10 CALSLOT TABLETS 武田テバ薬品 2149027F2027 16.5円/錠 劇薬, 処方箋医薬品注)
カルスロット錠20 CALSLOT TABLETS 武田テバ薬品 2149027F3023 25.8円/錠 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

高血圧症

6. 用法及び用量

通常、成人にはマニジピン塩酸塩として10〜20mgを1日1回朝食後に経口投与する。ただし、1日5mgから投与を開始し、必要に応じ漸次増量する。

8. 重要な基本的注意

8.1 カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
8.2 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
本剤の代謝及び排泄が遅延するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物試験(ラット)で妊娠期間及び分娩時間が延長することが報告されている1)2)3)4)。[2.参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている5)
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。[11.1.1参照]

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、CYP3A3、CYP3A4、CYP3A5、CYP2C8、CYP2E1によって代謝される(in vitro)。
薬物代謝酵素用語
CYP3A3
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
薬物代謝酵素用語
CYP3A5
薬物代謝酵素用語
CYP2C8
薬物代謝酵素用語
CYP2E1
10.2 併用注意
他の降圧剤相互に作用を増強するおそれがある。相加的あるいは相乗的に作用を増強することが考えられている。
ジゴキシン他のカルシウム拮抗剤(ニフェジピン等)がジゴキシンの血中濃度を上昇させることが報告されている。ジゴキシンの排泄が阻害され、血中濃度が上昇することが考えられている。
シメチジン他のカルシウム拮抗剤(ニフェジピン等)の作用が増強することが報告されている。シメチジンがカルシウム拮抗剤の肝での代謝を抑制すること、又は、シメチジンが胃酸分泌を抑制して消化管のpHを上昇させ、カルシウム拮抗剤の吸収を増加させることが考えられている。
リファンピシン本剤の作用が減弱することがある。リファンピシンが肝薬物代謝酵素を誘導し、カルシウム拮抗剤の代謝を促進することが考えられている。
グレープフルーツジュース本剤の血中濃度が上昇することが報告されている。グレープフルーツ中の成分が、本剤の肝薬物代謝酵素であるCYP3A4を阻害することが考えられている。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 過度の血圧低下による一過性の意識消失、脳梗塞等(いずれも頻度不明)[9.8参照]
11.1.2 無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)
11.1.3 心室性期外収縮、上室性期外収縮(いずれも頻度不明)
11.1.4 紅皮症(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
肝臓AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTP、ビリルビンの上昇 
腎臓BUN、クレアチニンの上昇 
血液好酸球増多 
過敏症発疹、そう痒光線過敏症
口腔 歯肉肥厚
循環器顔のほてり、顔面潮紅、熱感、動悸、頻脈結膜充血、胸部痛
精神神経系めまい、立ちくらみ、頭痛、頭重感、しびれ感不眠、眠気、パーキンソン様症状の増悪又は顕性化
消化器悪心、嘔吐、胃部不快感、腹痛、腹部膨満感、便秘、口渇、味覚異常食欲不振、胸やけ、下痢、口内炎
筋・骨格系CKの上昇筋肉痛、肩こり、筋痙攣
その他全身倦怠感、脱力感、浮腫、頻尿、血清総コレステロール、尿酸、トリグリセライドの上昇、息切れ、血清カリウム低下乳び腹水(腎不全患者に投与した場合)、女性化乳房、咳、発汗

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
CAPD(持続的外来腹膜透析)施行中の患者の透析排液が白濁することがあり、透析排液中にトリグリセライド等脂質の増加が認められたとの報告がある。腹膜炎等との鑑別に留意すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
腎機能正常の本態性高血圧症患者(7例)に1回20mgを朝食後に経口投与した場合、血中にはマニジピン塩酸塩の未変化体及び非活性の代謝物が検出される。未変化体の血中濃度は図のとおりである6)
Tmax3.6±1.4h
Cmax7.1±3.5ng/mL
T1/2α1.52±0.27h
T1/2β7.25±2.32h
AUC42.9±18.5ng・h/mL
16.5 排泄
腎機能正常の本態性高血圧症患者(14例)及び腎機能障害患者(10例)に1日1回20mgを朝食後に8日間反復経口投与した場合、尿中にはマニジピン塩酸塩の未変化体は検出されず、すべて代謝物であり、投与後24時間までのピリジン骨格を有する代謝物の尿中排泄率は合計で2〜5%である7)8)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者10例に1日1回20mgを朝食後に8日間反復経口投与した場合においても、血中濃度推移は腎機能正常の本態性高血圧患者の場合とほぼ同様である7)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
本態性高血圧症、腎障害を伴う高血圧症、重症高血圧症の各患者を対象に、1日20mgまでの用量を、一般臨床試験では主として4〜10週間、二重盲検比較対照試験では12週間経口投与した臨床試験において、降圧効果が評価された642例の高血圧症のタイプ別有効率は表のとおりである9)10)11)12)13)
高血圧症のタイプ例数下降以上注)例数(有効率%)
本態性高血圧症(軽・中等症)536432(80.6)
腎障害を伴う高血圧症5139(76.5)
重症高血圧症5547(85.5)
642518(80.7)
なお、本態性高血圧症(軽・中等症)患者を対象とした二重盲検比較対照試験の結果、本剤の有用性が認められている。
17.1.2 国内第III相試験(長期投与試験)
本態性高血圧(軽・中等症)患者を対象に1年間経口投与した長期投与試験における「下降」以上の有効率は84.5%(155例中131例)である14)
副作用は7.0%(157例中11例)に認められ、主な副作用は、めまい(3例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤の降圧作用は、主として血管平滑筋における膜電位依存性カルシウムチャネルに作用してCa2+流入を抑制して、血管平滑筋を弛緩し、血管を拡張することによりもたらされると考えられる。
18.1.1 リセプターに対する結合性
ラット心筋膜標本において[3H]-ニトレンジピンのリセプターへの結合を著明に抑制し、その抑制作用は標本洗浄後も持続している15)in vitro)。
このことから膜電位依存性カルシウムチャネルのリセプターに高い結合性を有するものと推定される。
18.1.2 カルシウム拮抗作用
家兎肺動脈標本においてカルシウムイオン電流に対する選択的かつ持続性の抑制作用を示し、また、家兎大動脈標本における45Ca2+の細胞内への流入を抑制する16)17)in vitro)。このことからカルシウムチャネルをブロックする作用を有することが示唆される。
18.1.3 心臓及び血管に対する作用
高血圧症患者(成人)における心血行動態に対し、総末梢血管抵抗のみを有意に減少させており、これが主要な降圧機序と考えられ、一方、心機能には殆ど影響を及ぼしていない18)
18.2 降圧作用
18.2.1 高血圧症患者(成人)における血圧日内変動試験で、1日1回の経口投与によりいずれの測定時点でも有意な血圧低下が認められており、終日安定した降圧効果が得られることが示されている19)
18.2.2 高血圧症患者(成人)における24時間血圧モニター試験で、1日1回の経口投与により24時間持続する降圧効果が認められているが、夜間の降圧度は小さい20)
18.3 腎血行動態に対する作用
高血圧症患者(成人)における腎循環に対し、腎血管抵抗を減少させ、腎灌流圧の低下にもかかわらず腎血流量及び糸球体濾過値を軽度ながら有意に増加させる21)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. マニジピン塩酸塩

一般的名称 マニジピン塩酸塩
一般的名称(欧名) Manidipine Hydrochloride
化学名 3-{2-[4-(Diphenylmethyl)piperazin-1-yl]ethyl}5-methyl(4RS)-2,6-dimethyl-4-(3-nitrophenyl)-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate dihydrochloride
分子式 C35H38N4O6・2HCl
分子量 683.62
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。ジメチルスルホキシド溶液(1→100)は旋光性を示さない。光により僅かに帯褐黄白色になる。
KEGG DRUG D01553

20. 取扱い上の注意

包装開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<カルスロット錠5>
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]
<カルスロット錠10>
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]、700錠[14錠(PTP)×50]
<カルスロット錠20>
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]

23. 主要文献

  1. Morseth S.L.et al., 薬理と治療, 17 (Suppl.4), 1101-1118, (1989)
  2. Morseth S.L.et al., 薬理と治療, 17 (Suppl.4), 1119-1139, (1989)
  3. Morseth S.L.et al., 薬理と治療, 17 (Suppl.4), 1141-1149, (1989)
  4. Morseth S.L.et al., 薬理と治療, 17 (Suppl.4), 1151-1174, (1989)
  5. 吉田清志 他, 薬理と治療, 17, 2083-2117, (1989)
  6. 鈴木 伸 他, 臨床医薬, 6, 1089-1095, (1990)
  7. 小野山薫 他, 臨牀と研究, 66, 3944-3958, (1989)
  8. 鈴木 伸 他, 基礎と臨床, 23, 5043-5054, (1989)
  9. 荒川規矩男 他, 薬理と治療, 17, 2681-2712, (1989)
  10. 金子好宏 他, 医学のあゆみ, 151, 471-492, (1989)
  11. 金子好宏 他, 基礎と臨床, 23, 4577-4589, (1989)
  12. 小野山薫 他, 臨牀と研究, 66, 2934-2950, (1989)
  13. 荻原俊男 他, 基礎と臨床, 23, 5055-5065, (1989)
  14. 国府達郎 他, 薬理と治療, 17, 4415-4441, (1989)
  15. 永岡明伸 他, 薬理と治療, 18, 2523-2532, (1990)
  16. Okabe K.et al., J.Pharmacol.Exp.Ther., 243, 703-710, (1987)
  17. Shibouta Y.et al., Jpn.J.Pharmacol., 48, 463-472, (1988) »DOI
  18. 外畑 巌 他, Therapeutic Research., 10, 4621-4626, (1989)
  19. 熊原雄一 他, 臨床医薬, 5, 905-922, (1989)
  20. 青井 渉 他, 基礎と臨床, 23, 3230-3238, (1989)
  21. 高畠利一 他, 臨床医薬, 5, 1177-1183, (1989)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター
〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
製品情報問い合わせ先
武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター
〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
武田テバ薬品株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号
26.2 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版