医療用医薬品 : デタントール

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医薬品情報


総称名 デタントール
一般名 ブナゾシン塩酸塩
欧文一般名 Bunazosin Hydrochloride
製剤名 ブナゾシン塩酸塩徐放性製剤
薬効分類名 1日1回型α1遮断降圧剤
薬効分類番号 2149
KEGG DRUG
D01887 ブナゾシン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG03231 血圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
デタントールR錠3mg Detantol R tablets エーザイ 2149015G1023 26.6円/錠 処方箋医薬品注)
デタントールR錠6mg Detantol R tablets エーザイ 2149015G2020 51.8円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

高血圧症

6. 用法及び用量

通常、成人にはブナゾシン塩酸塩として1日1回3〜9mgを経口投与する。ただし、1日1回3mgから開始し、1日最高投与量は9mgまでとする。

8. 重要な基本的注意

8.1 投与初期又は用量の急増時等に起立性低血圧に基づく立ちくらみ、めまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する人には注意を与えること。
8.2 起立性低血圧があらわれることがあるので、臥位のみならず立位又は坐位で血圧測定を行い、体位変換による血圧変化を考慮し、坐位にて血圧をコントロールすること。
8.3 投与初期又は用量の急増時等に立ちくらみ、めまい、悪心、また、胸部不快感、呼吸困難等があらわれることがある。その際は仰臥位をとらせるなどの適切な措置を講ずること。また必要に応じて、患者の合併症、既往歴等を十分に考慮のうえ、昇圧剤の投与等の対症療法を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎機能障害のある患者
最高血中濃度が上昇することがある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害のある患者
本剤は主として肝で抱合を受けて糞中に排泄されるので、肝機能の低下している患者では血中濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
次の点に注意し、少量(3mg/日)から開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞が起こるおそれがある)。
・肝・腎機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。[16.6.1参照]
・十分に経過観察を行い、慎重に増量するなど注意すること。なお、過度の降圧が認められた場合には、減量又は投与を中止するか、他の降圧剤への変更を考慮すること。

10. 相互作用

10.2 併用注意
利尿剤
他の降圧剤
作用が増強されるおそれがあるので、減量するなど注意すること。相加的な降圧作用の増強による。
リファンピシン本剤の作用が減弱することがある。相手薬剤の肝薬物代謝酵素誘導により、本剤の血中濃度が低下することがある。
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
バルデナフィル塩酸塩水和物
シルデナフィルクエン酸塩等
併用により症候性低血圧があらわれるとの報告がある。相手薬剤の血管拡張作用により、本剤の降圧作用が増強されるおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 失神(0.1〜5%未満)、意識喪失(0.1%未満)
失神、意識喪失(多くは一過性の血圧低下による)があらわれることがあるので、そのような場合には本剤の投与を中止し、仰臥位をとらせるなど適切な処置を行うこと。
発現頻度は製造販売後調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系めまい、頭痛、不眠、倦怠感、眠気、耳鳴、頭重しびれ感、意識低下、脱力感 
循環器立ちくらみ、動悸、頻脈、低血圧胸部圧迫感、胸部不快感、起立性低血圧 
消化器悪心嘔吐、食欲不振、胃部不快感、下痢、口渇、便秘腹痛
肝臓 AST、ALT、γ-GTP上昇等 
泌尿器頻尿夜間尿、尿失禁 
過敏症発疹そう 
その他顔面潮紅、浮腫、のぼせ肩こり、発汗、かすみ目鼻閉、息苦しさ

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.2 薬剤服用時の注意
14.2.1 本剤をかみくだいて服用すると、一過性の血中濃度の上昇に伴って副作用が発生しやすくなるおそれがあるため、本剤はかまずに服用させること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 類似化合物(プラゾシン塩酸塩)で腎及びその他の動脈狭窄、脚部及びその他の動脈瘤等の血管障害のある高血圧患者で、急性熱性多発性関節炎(1例)があらわれたとの報告がある。
15.1.2 α1遮断薬を服用中又は過去に服用経験のある患者において、α1遮断作用によると考えられる術中虹彩緊張低下症候群(Intraoperative Floppy Iris Syndrome)があらわれるとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人における生物学的利用性
健康成人男子(12名)にデタントール錠1mg2錠及びデタントールR錠6mg1錠を経口投与し血漿中濃度推移を比較した結果、デタントールRの相対的生物学的利用率は81.1%であり、平均滞留時間(MRT)から持続性を有することが示された1)
ブナゾシン塩酸塩単回経口投与時の血中濃度推移
ブナゾシン塩酸塩単回経口投与時の薬物動態パラメータ
製剤投与条件Cmax(ng/mL)tmax(hr)AUC(ng・hr/mL)R.B.A.(%)MRT(hr)
デタントールR錠6.0mg(食後)10.19±1.105.25±0.54132.73±15.422)81.07±5.9813.02±0.66
デタントールR錠6.0mg(空腹時)11.38±1.326.00±0.35123.03±16.502)74.05±5.2412.77±0.66
デタントール錠2.0mg(食後)22.48±2.410.96±0.1654.68±5.721)100.00±0.002.60±0.15
16.1.2 生物学的同等性
健康成人(24名)を対象にデタントールR錠3mgと同錠6mgの生物学的同等性を検討した。ブナゾシン塩酸塩として6mgを各々1回経口投与し、血漿中濃度推移を比較したところ両製剤は同等であった。
16.2 吸収
16.2.1 食事効果
健康成人男子(12名)にデタントールR錠6mg1錠を空腹時及び食後経口投与した結果、食事による影響は認められなかった1)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
高血圧症患者(腎機能正常[NRF]6名、腎機能障害[IRF]5名)にデタントールR錠6mgを1日1回8日間反復経口投与したとき、投与初日ならびに8日目において、腎機能障害患者では腎機能正常患者と比較して、最高血漿中濃度の上昇が認められた2)。[9.2.19.8参照]
NRF群、IRF群のデタントールR錠6mg単回、反復投与時の薬物動態パラメータ
 Cmax(ng/mL)tmax(hr)AUC0〜24(ng・hr/mL)
NRF群IRF群NRF群IRF群NRF群IRF群
単回投与   
反復投与

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
二重盲検比較試験を含む総症例466例の臨床試験成績の概要は次のとおりである(降圧効果はいずれも下降以上であり、判定不能例を除く)3)4)5)6)7)
17.1.1 国内臨床成績(軽症・中等症本態性高血圧症)
軽症・中等症の本態性高血圧症に対する降圧効果は63.2%(225/356例)であった。本剤単独投与と他剤併用投与を比較した試験では、単独投与例の降圧効果は49.4%(38/77例)、利尿薬併用例73.7%(28/38例)、β遮断薬併用例57.9%(11/19例)であった。6ヵ月以上の長期投与例においても安定した降圧効果を示した。また、二重盲検比較試験では、デタントールR(3〜9mg、1日1回)とデタントール(1.5〜6mg、1日3回分服)を比較した結果、同等の降圧効果、有用性が認められた3)4)5)
17.1.2 国内臨床成績(重症高血圧症)
重症高血圧症に対する降圧効果は80.6%(25/31例)であった6)
17.1.3 国内臨床成績(腎障害を伴う高血圧症)
腎障害を伴う高血圧症に対する降圧効果は69.2%(18/26例)であった7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ブナゾシン塩酸塩は心血管系のα1受容体を選択的に遮断し、末梢血管抵抗を減少し、降圧作用を示す。
18.2 選択的α1受容体遮断作用
ラット輸精管を用いたin vitroの実験で、ブナゾシン塩酸塩はα1受容体を選択的に遮断し、α2受容体には影響を与えない。このため、交感神経末端のα2受容体を介するノルアドレナリンのネガティブ・フィードバック機構を阻害しないため、ノルアドレナリンの過剰放出を起こさない8)。また、モルモット腸間膜動脈及び腸間膜静脈を用いたin vitroの実験で、ブナゾシン塩酸塩はα1受容体を選択的に遮断し、高濃度でもα2受容体には影響を与えない9)
18.3 降圧作用
ブナゾシン塩酸塩は末梢血管のα1受容体を選択的に遮断し、血管を拡張させ、自然発症高血圧ラット、DOCA・食塩高血圧ラット、腎性高血圧イヌにおいて降圧作用を示す。さらにブナゾシン塩酸塩は、降圧に伴う生体反応である体液性昇圧因子を増加させない10)11)12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ブナゾシン塩酸塩

一般的名称 ブナゾシン塩酸塩
一般的名称(欧名) Bunazosin Hydrochloride
化学名 4-Amino-2-(4-butanoyl-1,4-diazepan-1-yl)-6,7-dimethoxyquinazoline monohydrochloride
分子式 C19H27N5O3・HCl
分子量 409.91
融点 約273℃(分解)
物理化学的性状 ブナゾシン塩酸塩は白色の結晶性の粉末である。
本品はギ酸に極めて溶けやすく、水又はメタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
分配係数 0.215(水-1-オクタノール系)
KEGG DRUG D01887

20. 取扱い上の注意

20.1 PTP包装はアルミ袋開封後、バラ包装は開栓後湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<デタントールR錠3mg>
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]、500錠(ボトル、乾燥剤セットキャップ)
<デタントールR錠6mg>
100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. 朝野芳郎ら, 薬理と治療, 20 (12), 4939-4945, (1992)
  2. 塩之入洋ら, 基礎と臨床, 27 (6), 2211-2225, (1993)
  3. 石井當男ら, 基礎と臨床, 26 (13), 5047-5068, (1992)
  4. 蔵本 築ら, 基礎と臨床, 27 (5), 1605-1625, (1993)
  5. 金子好宏ら, 基礎と臨床, 26 (14), 5379-5410, (1992)
  6. 石井當男ら, 基礎と臨床, 26 (14), 5349-5363, (1992)
  7. 武田忠直ら, 基礎と臨床, 26 (14), 5365-5377, (1992)
  8. Shoji T., Jpn.J.Pharmacol., 31, 361-368, (1981) »PubMed
  9. Suzuki H.et al., Gen.Pharmacol., 18 (2), 171-177, (1987)
  10. Igarashi T.et al., Jpn.Circ.J., 41 (8), 903-911, (1977)
  11. 南 勝ら, 基礎と臨床, 18 (7), 2849-2858, (1984)
  12. 南 勝ら, 基礎と臨床, 19 (14), 6972-6984, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
エーザイ株式会社 hhcホットライン
〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10
電話:フリーダイヤル 0120-419-497
製品情報問い合わせ先
エーザイ株式会社 hhcホットライン
〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10
電話:フリーダイヤル 0120-419-497

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
エーザイ株式会社
東京都文京区小石川4-6-10

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版