医療用医薬品 : 小青竜湯

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医薬品情報


総称名 小青竜湯
一般名 小青竜湯
薬効分類名 漢方製剤
薬効分類番号 5200
KEGG DRUG
D06987 小青竜湯エキス
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ツムラ小青竜湯エキス顆粒(医療用) ツムラ 5200075D1086 12.8円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 アルドステロン症の患者[当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。]
2.2 ミオパチーのある患者[当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。]
2.3 低カリウム血症のある患者[当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。]

4. 効能または効果

下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙
気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒

6. 用法及び用量

通常、成人1日9.0gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
8.2 本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意すること。[10.211.1.211.1.3参照]
8.3 他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 病後の衰弱期、著しく体力の衰えている患者
副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがある。
9.1.2 著しく胃腸の虚弱な患者
食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等があらわれることがある。
9.1.3 食欲不振、悪心、嘔吐のある患者
これらの症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 発汗傾向の著しい患者
発汗過多、全身脱力感等があらわれることがある。
9.1.5 狭心症、心筋梗塞等の循環器系の障害のある患者、又はその既往歴のある患者
当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。
9.1.6 重症高血圧症の患者
当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。
9.1.7 排尿障害のある患者
当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。
9.1.8 甲状腺機能亢進症の患者
当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
当該疾患及びその症状が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
マオウ含有製剤
葛根湯
麻黄湯
麻黄附子細辛湯 等
エフェドリン類含有製剤
エフェドリン塩酸塩
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン 等
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
セレギリン塩酸塩
ラサギリンメシル酸塩 等
甲状腺製剤
チロキシン
リオチロニン 等
カテコールアミン製剤
アドレナリン
イソプレナリン 等
キサンチン系製剤
テオフィリン
ジプロフィリン 等
不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等があらわれやすくなるので、減量するなど慎重に投与すること。交感神経刺激作用が増強されることが考えられる。
カンゾウ含有製剤
芍薬甘草湯
補中益気湯
抑肝散 等
グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤
グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン
グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠 等
ループ系利尿剤
アゾセミド
トラセミド
フロセミド 等
チアジド系利尿剤
トリクロルメチアジド
ヒドロクロロチアジド
ベンチルヒドロクロロチアジド 等
8.211.1.211.1.3参照]
偽アルドステロン症があらわれやすくなる。また、低カリウム血症の結果として、ミオパチーがあらわれやすくなる。グリチルリチン酸及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることが考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、咳嗽、呼吸困難、発熱等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
11.1.2 偽アルドステロン症(頻度不明)
低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.210.2参照]
11.1.3 ミオパチー(頻度不明)
低カリウム血症の結果としてミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.210.2参照]
11.1.4 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、発赤、そう痒等
自律神経系不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等
消化器食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等
泌尿器排尿障害等

17. 臨床成績

17.2 製造販売後調査等
17.2.1 国内市販後臨床試験
通年性鼻アレルギー患者を対象に実施した二重盲検比較臨床試験において、本剤又はプラセボ1日9.0gを3回に分割して2週間投与した。本剤は、くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉等の症状を改善し、最終全般改善度は以下の成績であった。
副作用の発現率は、本剤群6.5%(7/107例)、プラセボ群6.4%(7/110例)であり、本剤群の主な副作用は、消化器症状(4例)であった1)
 改善度(%)
中等度改善以上軽度改善以上
小青竜湯群44.6(41/92)83.7(77/92)
プラセボ群18.1(17/94)43.6(41/94)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 ケミカルメディエーター産生・遊離抑制作用
(1)ヒスタミン
ラット腹腔肥満細胞において、抗原刺激によるヒスタミンの遊離を抑制した2)in vitro)。
(2)アラキドン酸代謝
ブタ気管由来平滑筋細胞において、シクロオキシゲナーゼ代謝産物、リポキシゲナーゼ代謝産物の産生を増加させた3)in vitro)。
18.1.2 神経ペプチドに対する作用
混餌投与したラットにおいて、toluene-2,4-diisocyanate点鼻による鼻洗浄液中のサブスタンスP,カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)及び神経成長因子(NGF)の増加が抑制された4)
18.1.3 炎症細胞に対する作用
ヒト好酸球において、卵白アルブミン、ヒトIgG、ヒト分泌型IgA5)、GM-CSF及びPAFによる脱顆粒を抑制し、好酸球上の接着分子であるCD11b/CD18の発現を抑制した6)。また、rhIL-5による好酸球の生存率延長を抑制した5)6)in vitro)。
18.1.4 サイトカインに対する作用
経口投与したマウス脾臓細胞において、卵白アルブミン誘発IL-4産生が抑制されたが、IFN-γ産生は影響されなかった。また、IL-4産生CD4T細胞(Th2細胞)増加が抑制されたが、IFN-γ産生CD4T細胞(Th1細胞)は影響されなかった7)in vitro)。
18.1.5 アセチルコリン刺激に対する作用
モルモット鼻腺細胞において、アセチルコリン刺激による細胞内Na濃度の上昇を抑制した。また、アセチルコリンによるイオン電流増加を抑制した8)in vitro)。
18.2 抗アレルギー・抗炎症作用
18.2.1 ラットに経口前投与したところ、48時間PCA反応が抑制された9)
18.2.2 ラットに経口投与したところ、ヒスタミンによる皮膚毛細血管透過性の亢進が抑制された9)
18.2.3 回虫抗原(DNP-As)感作アレルギー性鼻炎モデルモルモットに経口前投与したところ、抗原点鼻によるくしゃみ・鼻掻き行動の増加、鼻粘膜への好酸球浸潤、鼻腔容積の減少及び鼻腔への色素漏出量の増加がそれぞれ抑制された10)
18.2.4 気道炎症モデルマウスに経口投与したところ、肺洗浄液中好酸球増加が抑制された。また、メタコリン(Achのメチル化誘導体)吸入による呼吸抵抗上昇が抑制された11)
18.2.5 混餌投与したラットにおいて、ヒスタミン誘発くしゃみ及び鼻掻き回数が抑制された12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 小青竜湯

一般的名称 小青竜湯
KEGG DRUG D06987

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤の品質を保つため、できるだけ湿気を避け、直射日光の当たらない涼しい所に保管すること。
20.2 開封後は特に湿気を避け、取扱いに注意すること。
20.3 本剤は生薬を原料としているので、色調等が異なることがある。

22. 包装

500g[ボトル]
5kg(500g×10)[パウチ]
3.0g×42包[分包]
3.0g×189包[分包]

23. 主要文献

  1. 馬場駿吉ほか, 耳鼻臨床, 88 (3), 389-405, (1995) »DOI
  2. Sakaguchi,M. et al., Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol., 19 (10), 707-713, (1997) »PubMed
  3. 渡辺憲太朗ほか, 炎症, 13 (4), 389-393, (1993) »DOI
  4. 時田江里香ほか, 薬理と治療, 38 (10), 891-898, (2010)
  5. 大久保喜雄ほか, 日本東洋医学雑誌, 44 (4), 501-507, (1994) »DOI
  6. Okubo,Y.et al., Phytotherapy Research., 11 (7), 485-489, (1997)
  7. Ikeda,Y.et al., Jpn.J.Pharmacol., 90, 328-336, (2002) »PubMed
  8. Ikeda,K.et al., Am.J.Chin.Med., 22 (2), 191-196, (1994) »PubMed
  9. Sakaguchi,M.et al., Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol., 18 (1), 41-47, (1996) »PubMed
  10. Sakaguchi,M.et al., Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol., 21 (4), 303-308, (1999) »PubMed
  11. 永井隆之ほか, 漢方と免疫・アレルギー24, (2011), (ファーマインターナショナル)
  12. 池谷洋一ほか, 日本東洋医学雑誌, 64 (3), 143-149, (2013) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610
製品情報問い合わせ先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社ツムラ
東京都港区赤坂2-17-11

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/01/22 版