医療用医薬品 : ルピアール

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医薬品情報


総称名 ルピアール
一般名 フェノバルビタールナトリウム
欧文一般名 Phenobarbital sodium
製剤名 フェノバルビタールナトリウム坐剤
薬効分類名 催眠・鎮静・抗けいれん剤
薬効分類番号 1125
ATCコード N03AA02
KEGG DRUG
D00701 フェノバルビタールナトリウム
KEGG DGROUP
DG00845 フェノバルビタール
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年2月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ルピアール坐剤25 LUPIAL Suppositories 25 久光製薬 1125700J2021 34.1円/個 劇薬, 向精神薬(第三種向精神薬), 習慣性医薬品注1), 処方箋医薬品注2)
ルピアール坐剤50 LUPIAL Suppositories 50 久光製薬 1125700J4024 49.9円/個 劇薬, 向精神薬(第三種向精神薬), 習慣性医薬品注1), 処方箋医薬品注2)
ルピアール坐剤100 LUPIAL Suppositories 100 久光製薬 1125700J5020 58.6円/個 劇薬, 向精神薬(第三種向精神薬), 習慣性医薬品注1), 処方箋医薬品注2)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分又はバルビツール酸系化合物に対して過敏症の患者
2.2 急性間欠性ポルフィリン症の患者[ポルフィリン合成が増加し、症状が悪化するおそれがある。]
2.3 ボリコナゾール、イサブコナゾニウム硫酸塩、タダラフィル(肺高血圧症を適応とする場合)、マシテンタン、チカグレロル、ドラビリン、アルテメテル・ルメファントリン、ダルナビル・コビシスタット、リルピビリン、ミフェプリストン・ミソプロストール、ニルマトレルビル・リトナビル、リルピビリン・テノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン、ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド、ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド、エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド、ソホスブビル・ベルパタスビル、ドルテグラビル・リルピビリン、カボテグラビルを投与中の患者[10.1参照]
2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5.19.5.4参照]

4. 効能または効果

小児に対して経口投与が困難な場合の次の目的に用いる。
○催眠
○不安・緊張状態の鎮静
熱性けいれんおよびてんかんのけいれん発作の改善

6. 用法及び用量

フェノバルビタールナトリウムとして通常小児では1日4〜7mg/kgを標準として直腸内に挿入する。
なお、症状・目的に応じ適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 連用中は定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい。[9.29.311.1.411.1.5参照]
8.2 連用により薬物依存を生じることがあるので、てんかんの治療に用いる場合以外は、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。[9.1.69.1.711.1.3参照]
8.3 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者の行動には十分注意すること。
<熱性けいれんおよびてんかんのけいれん発作>
8.4 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[9.1.19.8.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 虚弱者
呼吸抑制を起こすことがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがある。[8.411.1.6参照]
9.1.2 呼吸機能の低下している患者
呼吸抑制を起こすことがある。[11.1.6参照]
9.1.3 頭部外傷後遺症又は進行した動脈硬化症の患者
本剤の作用が強くあらわれることがある。
9.1.4 心障害のある患者
血圧低下や心拍数減少を起こすおそれがある。
9.1.5 アルコール中毒のある患者
中枢抑制作用が増強される。
9.1.6 薬物依存の傾向又は既往歴のある患者
精神依存及び身体依存を示すことがある。[8.211.1.3参照]
9.1.7 重篤な神経症の患者
依存を示すおそれがある。[8.211.1.3参照]
9.1.8 甲状腺機能低下症の患者
甲状腺機能の異常をきたすおそれがある1)
9.2 腎機能障害患者
症状の悪化、また血中濃度上昇のおそれがある。[8.1参照]
9.3 肝機能障害患者
症状の悪化、また血中濃度上昇のおそれがある。[8.111.1.5参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中に本剤を単独、又は併用投与された患者の中に、口唇裂、口蓋裂、心奇形、大動脈縮窄症等を有する児を出産した例が多いとの疫学的調査報告がある。[2.4参照]
9.5.2 妊娠中の投与により、新生児に出血傾向、呼吸抑制等を起こすことがある。[2.4参照]
9.5.3 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状(多動、振せん、反射亢進、過緊張等)があらわれることがある。[2.4参照]
9.5.4 妊娠中の投与により、葉酸低下が生じるとの報告がある2)。[2.4参照]
注)本剤は小児用の製剤である。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行し、新生児、乳児に傾眠、哺乳量低下を起こすことがある。
注)本剤は小児用の製剤である。
9.7 小児等
9.7.1 新生児、低出生体重児
生後5日までの新生児では、直腸よりの吸収が極めて微量のことがある。しかし、吸収されたときは半減期が極めて長い。
9.8 高齢者
9.8.1 呼吸抑制、興奮、抑うつ、錯乱等があらわれやすい。[11.1.311.1.6参照]
9.8.2 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがある。[8.4参照]
注)本剤は小児用の製剤である。

10. 相互作用

相互作用序文
薬物代謝酵素CYP3A等の誘導作用を有する。
薬物代謝酵素用語
CYP3A
10.1 併用禁忌
ボリコナゾール
(ブイフェンド)
イサブコナゾニウム硫酸塩
(クレセンバ)
タダラフィル
(肺高血圧症を適応とする場合:アドシルカ)
マシテンタン
(オプスミット)
チカグレロル
(ブリリンタ)
ドラビリン
(ピフェルトロ)
アルテメテル・ルメファントリン
(リアメット配合錠)
ダルナビル・コビシスタット
(プレジコビックス配合錠)
リルピビリン
(エジュラント)
2.3参照]
これらの薬剤の代謝が促進され、血中濃度が低下するおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用による。
ミフェプリストン・ミソプロストール
(メフィーゴ)
2.3参照]
ミフェプリストンの代謝が促進され、血中濃度が低下し効果が減弱するおそれがあるので、本剤の影響がなくなるまで投与しないこと。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用による。
ニルマトレルビル・リトナビル
(パキロビッド)
2.3参照]
ニルマトレルビル及びリトナビルの血中濃度が低下し、作用の減弱や耐性出現のおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用による。
リルピビリン・テノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン
(オデフシィ配合錠)
2.3参照]
リルピビリン及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下するおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びP糖蛋白誘導作用による。
ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
(ビクタルビ配合錠)
2.3参照]
ビクテグラビル及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下するため、この薬剤の効果が減弱し、この薬剤に対する耐性が発現する可能性がある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びP糖蛋白誘導作用による。
ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
(シムツーザ配合錠)
2.3参照]
ダルナビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下するおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びP糖蛋白誘導作用による。
エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
(ゲンボイヤ配合錠)
2.3参照]
エルビテグラビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下するおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びP糖蛋白誘導作用による。
ソホスブビル・ベルパタスビル
(エプクルーサ配合錠)
2.3参照]
ソホスブビル及びベルパタスビルの血中濃度が低下するおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びP糖蛋白誘導作用による。
ドルテグラビル・リルピビリン
(ジャルカ配合錠)
2.3参照]
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下するおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びUGT1A1誘導作用による。
カボテグラビル
(ボカブリア)
2.3参照]
カボテグラビルの血漿中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。本剤のUGT1A1誘導作用による。
10.2 併用注意
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体
トランキライザー
トピラマート等
抗ヒスタミン剤
ジフェンヒドラミン等
アルコール
相互に作用が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。相加的中枢神経抑制作用による。
MAO阻害剤相互に作用が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。機序不明。
三環系抗うつ剤
イミプラミン等
四環系抗うつ剤
マプロチリン等
(1)相互に作用が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。
(2)これらの抗うつ剤の血中濃度が低下することがある。注)
(1)相加的中枢神経抑制作用による。
(2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
メチルフェニデート本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤を減量するなど注意すること。メチルフェニデートが肝代謝を抑制すると考えられている。
バルプロ酸(1)本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることがある。
(2)バルプロ酸の血中濃度が低下することがある。注)
(3)バルプロ酸による高アンモニア血症の発現リスクが高まるおそれがある。
(1)バルプロ酸が肝代謝を抑制する。
(2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
(3)機序不明。
スチリペントール(1)本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることがある。
(2)スチリペントールの血中濃度が低下することがある。注)
(1)スチリペントールが肝代謝を抑制する。
(2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
クロバザム(1)本剤の血中濃度が上昇することがある。
(2)クロバザムの血中濃度が低下することがある。注)
(1)機序不明。
(2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
イリノテカンイリノテカンの活性代謝物の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、併用を避けることが望ましい。本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
主に、CYP3Aの基質となる薬剤
アゼルニジピン
イグラチモド
イマチニブ
カルバマゼピン
シクロスポリン
ゾニサミド
タクロリムス
フェロジピン
ベラパミル
モンテルカスト等
副腎皮質ホルモン剤
デキサメタゾン等
卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤
ノルゲストレル・エチニルエストラジオール等
PDE5阻害剤
タダラフィル(勃起不全、前立腺肥大症に伴う排尿障害を適応とする場合:シアリス、ザルティア)
シルデナフィル
バルデナフィル
これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、用量に注意すること。注)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
アミノフィリン水和物
クロラムフェニコール
テオフィリン
パロキセチン
フレカイニド
メトロニダゾール
これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、用量に注意すること。注)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
ラモトリギン
デフェラシロクス
カナグリフロジン
ラルテグラビル
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。注)本剤がこれらの薬剤のグルクロン酸抱合を促進する。
ルフィナミドこれらの薬剤の血中濃度が低下することがある。注)機序不明。
アピキサバンこれらの薬剤の血中濃度が低下することがある。注)本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用及びP糖蛋白誘導作用による。
レジパスビル・ソホスブビル
グレカプレビル・ピブレンタスビル
テノホビル アラフェナミド
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。注)本剤のP糖蛋白誘導作用による。
ドルテグラビル
ドルテグラビル・ラミブジン
ドルテグラビル・アバカビル・ラミブジン
ドルテグラビルの血中濃度が低下するおそれがある。本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A4)誘導作用及びUGT1A1誘導作用による。
レナカパビルナトリウムレナカパビルの血漿中濃度が低下する可能性があり、レナカパビルの効果が減弱し、レナカパビルに対する耐性が発現する可能性がある。本剤との併用は推奨されない。本剤の中程度の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用、P糖蛋白誘導作用及びUGT1A1誘導作用による。
ドキシサイクリンドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮することがある。本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
クマリン系抗凝血剤の作用が減弱することがあるので、通常より頻回に血液凝固時間の測定を行い、クマリン系抗凝血剤の量を調整すること。本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用による。
アルベンダゾールアルベンダゾールの活性代謝物の血中濃度が低下し、効果が減弱することがある。機序不明。
利尿剤
チアジド系降圧利尿剤等
起立性低血圧が増強されることがあるので、減量するなど注意すること。機序は不明であるが、高用量のフェノバルビタールは血圧を低下させることがある。
アセタゾラミドくる病、骨軟化症があらわれやすい。本剤によるビタミンDの不活性化促進、又はアセタゾラミドによる腎尿細管障害、代謝性アシドーシス等が考えられている。
アセトアミノフェン本剤の長期連用者は、アセトアミノフェンの代謝物による肝障害を生じやすくなる。本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進されると考えられている。
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。
リオチロニンナトリウム
レボチロキシンナトリウム水和物
これらの薬剤の血中濃度を低下させることがあるので、併用する場合にはこれらの薬剤を増量するなど慎重に投与すること。本剤は甲状腺ホルモンの異化を促進すると考えられている。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)(いずれも頻度不明)
発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒感、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと3)
11.1.2 過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害等の臓器障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
11.1.3 依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不安、不眠、けいれん、悪心、幻覚、妄想、興奮、錯乱又は抑うつ状態等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[8.29.1.69.1.79.8.1参照]
11.1.4 顆粒球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)[8.1参照]
11.1.5 肝機能障害(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.19.3参照]
11.1.6 呼吸抑制(頻度不明)[9.1.19.1.29.8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満頻度不明
過敏症猩紅熱様発疹麻疹様発疹、中毒疹様発疹
血液 血小板減少、巨赤芽球性貧血
肝臓 AST・ALT・γ-GTPの上昇等の肝機能障害、黄疸
腎臓注1) 蛋白尿等の腎障害
精神神経系4)5)眠気、脱力感アステリキシス(asterixis)、眩暈、頭痛、ふらつき、せん妄、昏迷、鈍重、構音障害、知覚異常、運動失調、精神機能低下、興奮、多動
消化器食欲不振下痢
骨・歯 くる病注2)、骨軟化症注2)、歯牙の形成不全注2)、低カルシウム血症
内分泌系1) 甲状腺機能検査値(血清T4値等)の異常
その他 血清葉酸値の低下、ヘマトポルフィリン尿注1)、発熱

13. 過量投与

13.1 症状
中枢神経系及び心血管系抑制。血中濃度40〜45μg/mL以上で眠気、眼振、運動失調が起こり、重症の中毒では昏睡状態となる。呼吸は早期より抑制され、脈拍は弱く、皮膚には冷汗があり、体温は下降する。肺の合併症や腎障害の危険性もある。
13.2 処置
呼吸管理。また、炭酸水素ナトリウム投与による尿アルカリ化、利尿剤投与により薬物の排泄を促進させる。重症の場合は、血液透析や血液灌流を考慮すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
直腸内投与のみに使用し、経口投与はしないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 血清免疫グロブリン(IgA、IgG等)の異常があらわれることがある6)
15.1.2 他の抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン)との間に交差過敏症(過敏症症候群を含む皮膚過敏症)を起こしたとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラット及びマウスに長期間大量投与(ラット:25mg/kg、マウス:75mg/kg)したところ、対照群に比較して肝腫瘍の発生が有意に増加したとの報告がある。

16. 薬物動態

16.4 代謝
フェノバルビタールは肝ミクロゾーム酵素により不活性化される。主な代謝産物はparahydroxyphenyl誘導体であり不活性物質である7)
16.5 排泄
フェノバルビタールの10〜25%はpHに左右されるが腎臓からの排泄によって体外へ出される7)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
一般臨床試験として11施設354例、二重盲検試験として[1]理学検査施行時の鎮静・催眠11施設40例、[2]不安・緊張時の鎮静・催眠6施設32例の総計426例について臨床試験を実施し、本剤の有用性が認められている8)9)
使用目的別の有効率は、催眠・鎮静75.7%(209/276例)、抗けいれん83.3%(65/78例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
GABAA受容体のサブユニットに存在するバルビツール酸誘導体結合部位に結合することにより、抑制性伝達物質GABAの受容体親和性を高め、Cl-チャネル開口作用を増強して神経機能抑制作用を促進する10)
18.2 鎮静、催眠作用
マウス又はラットを用い、フェノバルビタールナトリウム350mg/kgを直腸投与し、一般症状を観察したところ、10数分以内に運動量の減少、眼瞼下垂、歩行失調および正向反射の消失がみられ、これら中枢抑制症状の発現は経口投与の場合より速やかであった11)
18.3 抗けいれん作用
マウス又はラットにフェノバルビタールナトリウムを直腸内前投与することにより、各種の実験的けいれん発現(電気ショック、ペンテトラゾール、ストリキニーネ)に対する抑制効果が認められ、この抗けいれん効果は経口投与の場合よりまさっていた11)。フェノバルビタールナトリウムは、バルビツール酸誘導体の長時間作用型催眠・抗てんかん薬で、ことに抗けいれん作用はバルビツール酸誘導体中、とくに強力である。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フェノバルビタールナトリウム

一般的名称 フェノバルビタールナトリウム
一般的名称(欧名) Phenobarbital sodium
化学名 Sodium 5-ethyl-5-phenyl-2,4,6(1H,3H,5H)-pyrimidine trione
分子式 C12H11N2NaO3
分子量 254.22
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末、においはなく、味は苦い。吸湿性があり、湿った空気中に放置すると徐々に分解する。
水に極めて溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチルエーテル、クロロホルムにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00701

22. 包装

<ルピアール坐剤25>
100個
<ルピアール坐剤50>
100個
<ルピアール坐剤100>
100個

23. 主要文献

  1. 有田忠司 ほか, 精神医学, 27 (11), 1297-304, (1985)
  2. Delgado-Escueta AV,et al., Neurology, 42 (Suppl5), 149-60, (1992)
  3. 松本鐐一 ほか, 皮膚臨床, 12 (11), 973-83, (1970)
  4. 竹下久由 ほか, 精神医学, 26 (12), 1299-308, (1984)
  5. 金山隆夫 ほか, 精神神経学雑誌, 83 (7), 448-58, (1981) »PubMed
  6. 久野保夫 ほか, 小児科臨床, 31 (9), 1681-4, (1978)
  7. 上条一也, グッドマン・ギルマン薬理書 上 第5版, 121-48,258-9, (1980), (廣川書店)
  8. 有泉基水 ほか, 小児科診療, 42 (10), 1367-75, (1979)
  9. 武部幸侃 ほか, 小児科臨床, 33 (3), 589-97, (1980)
  10. 第十七改正日本薬局方解説書, C-4403-8, (2016), (廣川書店)
  11. 辻本明 ほか, 薬理と治療, 6 (8), 2415-23, (1978)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
久光製薬株式会社 お客様相談室 受付時間/9:00-17:50(土日・祝日・会社休日を除く)
〒135-6008 東京都江東区豊洲三丁目3番3号
電話:0120-381332
FAX:03-5293-1723
製品情報問い合わせ先
久光製薬株式会社 お客様相談室 受付時間/9:00-17:50(土日・祝日・会社休日を除く)
〒135-6008 東京都江東区豊洲三丁目3番3号
電話:0120-381332
FAX:03-5293-1723

25. 保険給付上の注意

厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)にもとづき、投薬量は1回14日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
久光製薬株式会社
〒841-0017 鳥栖市田代大官町408番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版