医療用医薬品 : 大建中湯

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医薬品情報


総称名 大建中湯
一般名 大建中湯
薬効分類名 漢方製剤
薬効分類番号 5200
KEGG DRUG
D07003 大建中湯
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ツムラ大建中湯エキス顆粒(医療用) ツムラ 5200092D1020 13.7円/g

4. 効能または効果

腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの

6. 用法及び用量

通常、成人1日15.0gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
8.2 他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者
肝機能障害が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、蕁麻疹等
消化器胃部不快感、悪心、嘔吐、腹部膨満、腹痛、下痢等

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健常人に本剤5gを空腹時単回経口投与した時の各成分の血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおりである(n=16)1)
 ヒドロキシ-α-サンショール[6]-ショーガオールギンセノシドRb1
AUC(0-last)(ng・h/mL)658±2230.0751±0.05712.27±0.839
Cmax(ng/mL)391±1360.142±0.1090.0744±0.0229
t1/2(h)1.71(1.04-3.26)0.312(0.286-0.793)41.0(21.3-330)
tmax(h)0.258(0.233-0.633)0.242(0.233-0.500)4.02(1.98-12.0)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 消化管運動促進作用
(1)クロルプロマジン誘発マウス小腸輸送能低下の改善作用は、アトロピンとCCKA受容体拮抗薬ロルグルミドの併用により抑制された。また、大腸輸送能低下の改善作用は、アトロピンにより抑制された2)
(2)モルモットにおいて、摘出回腸縦走筋における収縮作用は5-HT4受容体拮抗薬である高濃度ICS205-930で抑制されたが、オンダンセトロン(5-HT3受容体拮抗薬)では抑制されなかった3)in vitro)。また、アセチルコリン遊離を促進し、その収縮作用はアトロピン3)あるいはアトロピンとサブスタンスP受容体拮抗薬スパンタイド4)の併用により抑制された(in vitro)。
(3)イヌにおいて、胃内投与により惹起された結腸運動は、TRPV1阻害薬であるカプサゼピンにより抑制された5)
18.1.2 消化管運動抑制作用
モルモット摘出回腸縦走筋の粘膜剥離標本において、低濃度の処置では、電気刺激収縮を抑制したがアセチルコリン収縮には影響を与えなかった。また、高濃度の処置では、KCl収縮を抑制し、その抑制作用はCaCl2の前処置により減弱した6)in vitro)。
18.1.3 腸管血流増加作用
(1)ラットにおける腸管血流量増加作用は、CGRP受容体拮抗薬CGRP(8-37)により抑制され、VIP受容体拮抗薬[4-Cl-DPhe6,Leu17]-VIP及びアトロピンにより一部抑制され、スパンタイドでは抑制されなかった7)
(2)麻酔下ラット十二指腸内投与によって起こる小腸血流量増加作用は、TRPA1受容体拮抗薬及び抗アドレノメデュリン抗体により抑制された8)
18.1.4 抗炎症作用
(1)ラット小腸上皮由来IEC-6細胞株において濃度依存的にADM産生を増加させた9)in vitro)。
(2)TNBS誘発炎症モデルマウスにおいて、結腸蛋白中炎症性サイトカイン(TNF-α、IFN-γ)の産生が抑制された9)
(3)シクロオキシゲナーゼ(COX-2)活性を抑制した10)(COX酵素活性測定キット、in vitro)。
18.2 消化管運動促進作用
18.2.1 米国健常成人に7.5g経口投与したところ、上行結腸の輸送能が亢進した(シンチグラフィー法)(n=19)11)
18.2.2 イヌに胃内投与したところ、上行結腸、横行結腸及び下行結腸の収縮力及び収縮頻度が増加した(strain gauge transducer法)5)
18.2.3 マウスに経口投与したところ、クロルプロマジン2)あるいはモルヒネ12)による小腸及び遠位大腸輸送能低下が改善された。
18.2.4 モルモット摘出回腸において、縦走筋の収縮を惹起し3)、モルヒネによる輪走筋の収縮を抑制した12)in vitro)。
18.3 消化管過剰運動抑制作用
マウスに経口投与したところ、カルバコールにより誘発された小腸運動輸送能亢進が抑制された6)
18.4 イレウス抑制作用
18.4.1 ラットに経口投与したところ、術後イレウスモデルにおける消化管輸送能低下が抑制された13)
18.4.2 ラットに経口前投与したところ、小腸にタルクを散布して作製した腸管癒着が抑制された10)
18.4.3 マウスに経口前投与したところ、酢酸を腹腔内投与して作製した炎症性腸管通過障害モデルにて、腸管輸送の遅延が抑制された4)
18.5 腸管血流増加作用
健常成人に5.0g経口投与したところ、上腸間膜動脈血流が増加した(n=14)14)
18.6 消化管ホルモン分泌作用
18.6.1 健常成人に7.5g経口投与したところ、投与60、90分後の血漿中モチリン濃度が上昇した(n=24)15)
18.6.2 健常成人に7.5g経口投与したところ、血漿中のVIP及びセロトニン濃度が上昇した(n=6)16)
18.6.3 健常成人に7.5g経口投与したところ、血漿中Calcitonin gene related peptide(CGRP)及びサブスタンスP濃度が上昇した(n=5)17)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 大建中湯

一般的名称 大建中湯
KEGG DRUG D07003

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤の品質を保つため、できるだけ湿気を避け、直射日光の当たらない涼しい所に保管すること。
20.2 開封後は特に湿気を避け、取扱いに注意すること。
20.3 本剤は生薬を原料としているので、色調等が異なることがある。

22. 包装

500g[ボトル]
5kg(500g×10)[パウチ]
2.5g×84包[分包]
2.5g×189包[分包]

23. 主要文献

  1. Munekage,M.et al., Drug Metab.Dispos., 39 (10), 1784-1788, (2011) »PubMed
  2. Satoh,K.et al., J.Ethnopharmacol., 86 (1), 37-44, (2003) »PubMed
  3. Satoh,K.et al., Dig.Dis.Sci., 46 (2), 250-256, (2001) »PubMed
  4. Satoh,K.et al., Jpn.J.Pharmacol., 86 (1), 32-37, (2001) »PubMed
  5. Kikuchi,D.et al., Tohoku.J.Exp.Med., 230 (4), 197-204, (2013) »PubMed
  6. Satoh,K.et al., Biol.Pharm.Bull., 24 (10), 1122-1126, (2001) »PubMed
  7. Murata,P.et al., Life Sci., 70, 2061-2070, (2002) »PubMed
  8. Kono,T.et al., Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol., 304 (4), G428-G436, (2013)
  9. Kono,T.et al., J.Crohns Colitis., 4 (2), 161-170, (2010) »PubMed
  10. Hayakawa,T.et al., J.Smooth Muscle Res., 35 (2), 47-54, (1999) »PubMed
  11. Manabe,N.et al., Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol., 298 (6), G970-G975, (2010)
  12. Nakamura,T.et al., Jpn.J.Pharmacol., 88 (2), 217-221, (2002) »PubMed
  13. Tokita,Y.et al., J.Pharmacol.Sci., 104 (4), 303-310, (2007) »PubMed
  14. Takayama,S.et al., Forsch.Komplementmed., 17 (4), 195-201, (2010) »PubMed
  15. Nagano,T.et al., Biol.Pharm.Bull., 22 (10), 1131-1133, (1999) »PubMed
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  17. Sato,Y.et al., Biol.Pharm.Bull., 27 (11), 1875-1877, (2004) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610
製品情報問い合わせ先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社ツムラ
東京都港区赤坂2-17-11

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版