医療用医薬品 : 補中益気湯

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医薬品情報


総称名 補中益気湯
一般名 補中益気湯
薬効分類名 漢方製剤
薬効分類番号 5200
KEGG DRUG
D06789 補中益気湯エキス
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用) ツムラ 5200131D1065 22.5円/g

4. 効能または効果

消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症

6. 用法及び用量

通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
8.2 本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意すること。[10.211.1.211.1.3参照]
8.3 他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
カンゾウ含有製剤
芍薬甘草湯
抑肝散
六君子湯 等
グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤
グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン
グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠 等
8.211.1.211.1.3参照]
偽アルドステロン症があらわれやすくなる。また、低カリウム血症の結果として、ミオパチーがあらわれやすくなる。グリチルリチン酸は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることが考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、咳嗽、呼吸困難、発熱等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
11.1.2 偽アルドステロン症(頻度不明)
低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.210.2参照]
11.1.3 ミオパチー(頻度不明)
低カリウム血症の結果としてミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.210.2参照]
11.1.4 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、蕁麻疹等
消化器食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢等

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
湿疹、皮膚炎等が悪化することがある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 免疫調整作用
(1)液性免疫に対する作用
マウスに経口投与したところ、SRBC抗原に対する抗体産生が増加した1)
(2)NK活性に対する作用
・マウスに経口投与したところ、脾臓細胞中のNK活性が増強した2)
・マウス結腸癌Colon26-L5細胞を移植した癌転移モデルマウスに経口前投与したところ、NK細胞を除去することにより癌転移抑制が消失した3)
(3)マクロファージに対する作用
・マウスに経口投与したところ、腹腔内細胞、脾臓細胞及び骨髄細胞の貪食活性が亢進した4)
・マウスに経口投与したところ、腹腔浸潤細胞の腫瘍増殖阻止活性が増強した2)
(4)サイトカイン産生に対する作用
・インフルエンザ感染マウスに経口前投与したところ、IFNの産生を早期に誘導する作用が認められた5)
・担癌マウスに飲水投与したところ、拘束ストレスによる血清中インターロイキン(IL)-12濃度の低下を抑制した6)
18.1.2 精巣に対する作用
(1)ハムスター精巣上体管由来細胞において、蛋白合成を促進した7)in vitro)。
(2)ヒト精子において、抗精子抗体による精子運動率の低下を抑制した8)in vitro)。
(3)ヒト精子において、精子運動速度及び精子直進性を改善した9)in vitro)。
18.2 病後の体力低下に対する作用
18.2.1 免疫機能低下の改善作用
慢性疾患あるいは感染症が遷延し体力が低下した患者に投与したところ、血液中のnatural killer(NK)細胞活性が上昇した(n=35)10)
18.2.2 感染時の体力低下に対する作用
(1)プレドニゾロン誘発免疫抑制C.albicans感染マウスに経口投与したところ、生存期間が延長した11)
(2)MMC免疫抑制単純ヘルペスウィルスI型(HSV-1)感染マウスに経口投与したところ、生存期間が延長した12)
18.2.3 担癌状態の生体防御機構の修復
マウスに経口投与したところ、2次Meth Aに対する抗腫瘍免疫が獲得され腫瘍の増殖が抑制された2)
18.2.4 抗癌剤による免疫低下に対する作用
マウスに経口投与したところ、MMCにより低下したNK活性及び骨髄機能が回復した13)
18.2.5 慢性疲労に対する効果
慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome)モデルマウスにおいて、低下した運動量を改善した14)
18.3 高齢者の体力低下に対する作用
老齢マウスに経口投与したところ、低下したT細胞数、NK細胞数及びヒツジ赤血球(SRBC)抗原に対する抗体産生が回復した1)
18.4 食欲不振に対する作用
Colon26-L20腺癌誘発悪液質モデルマウスに混餌投与したところ、体重、摂餌量、飲水量、腓腹筋量および精巣周囲脂肪重量の減少ならびに中性脂肪の低下が抑制された15)
18.5 感冒に対する作用
インフルエンザ感染マウスに経口前投与したところ、生存期間が延長した5)
18.6 精巣に対する作用
18.6.1 マウスにドキソルビシンと同時並びに前後14週間継続混餌投与したところ、精巣重量の低下が抑制された16)
18.6.2 マウスに経口投与したところ、アドリアマイシンによる精巣重量減少が抑制された17)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 補中益気湯

一般的名称 補中益気湯
KEGG DRUG D06789

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤の品質を保つため、できるだけ湿気を避け、直射日光の当たらない涼しい所に保管すること。
20.2 開封後は特に湿気を避け、取扱いに注意すること。
20.3 本剤は生薬を原料としているので、色調等が異なることがある。

22. 包装

500g[ボトル]
5kg(500g×10)[パウチ]
2.5g×42包[分包]
2.5g×189包[分包]

23. 主要文献

  1. Utsuyama,M.et al., Mech.Ageing Dev., 122, 341-352, (2001) »PubMed
  2. Harada,M.et al., Immunopharmacol.Immunotoxicol., 17 (4), 687-703, (1995) »PubMed
  3. Saiki,I, Biol.Pharm.Bull., 23 (6), 677-688, (2000) »PubMed
  4. 丸山博文ほか, 炎症, 8 (1), 65-66, (1988) »DOI
  5. Mori,K.et al., Antiviral Res., 44 (2), 103-111, (1999) »PubMed
  6. Li,T.et al., Immunopharmacology., 43 (1), 11-21, (1999) »PubMed
  7. 野田洋一ほか, 日本不妊学会雑誌, 38 (2), 262-268, (1993)
  8. 山中幹基ほか, 日本泌尿器科学会雑誌, 89 (7), 641-646, (1998) »DOI
  9. 柴原浩章ほか, 日本不妊学会雑誌, 38 (4), 654-660, (1993)
  10. 大野修嗣, アレルギー, 37 (2), 107-114, (1988) »DOI
  11. Abe,S.et al., Immunopharmacol.Immunotoxicol., 21 (2), 331-342, (1999) »PubMed
  12. Kido,T.et al., Anticancer Res., 20 (6A), 4109-4113, (2000) »PubMed
  13. 前村和也ほか, 漢方と免疫・アレルギー, 3, 108-115, (1990), (メディカルトリビューン)
  14. 守屋純二, 金沢医科大学雑誌, 31 (4), 263-268, (2006)
  15. Yae,S.et al., Evid.Based Complement.Alternat.Med., 1-10, (2012)
  16. 渡邊広是ほか, 日本受精着床学会雑誌, 23 (1), 19-23, (2006)
  17. 須藤和彦ほか, 日本薬理学雑誌, 92, 251-261, (1988) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610
製品情報問い合わせ先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社ツムラ
東京都港区赤坂2-17-11

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/11/19 版