2.1 本薬又は臭素化合物に対して過敏症の既往歴のある患者。
2.3 脱水症、全身衰弱のある患者[体液量の少ない患者では血中濃度が上昇し、中毒を起こすおそれがある]。
2.4 器質的脳障害、うつ病の患者[臭素中毒が潜在していることがあり、また、本薬に対する感受性が亢進している場合があるので中毒を起こすおそれがある]。
2.5 緑内障の患者[臭化ナトリウムの体内動態および血圧に対する作用は塩化ナトリウムに類似し、かつ体液中濃度は総ハロゲン量として平衡しているので、眼圧を上昇させて症状を更に悪化させるおそれがある]。
2.6 低塩性食事を摂取している患者[臭化ナトリウムの体内動態は塩化ナトリウムに類似し、かつ体液中濃度は総ハロゲン量として平衡しているので、吸収が促進され、血圧上昇、中毒を起こすおそれがある]。
<効能共通>
臭化ナトリウムとして、通常、成人1回0.5〜1gを1日3回投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
小児には1日量1〜6ヵ月0.2g、7〜12ヵ月0.4g、2歳0.5g、4歳0.6g、6歳0.8g、8歳1.0gを投与する。
8.1 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本薬投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないように注意する。
8.2 連用すると体内に蓄積し、摂取量と排泄量が平衡を保つ臭素平衡の状態となり、慢性中毒を起こすことがあるので、慎重に投与すること。[
9.7参照]
9.2 腎機能障害患者
本薬を投与しないこと。血中濃度の上昇を招き中毒を起こすおそれがある。[
2.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳に移行しやすい。
9.7 小児等
小児の難治性てんかんに使用する場合は少量よりはじめ、毎週増量し、発作がやむとともに次第に減量する。[
8.2参照]
9.8 高齢者
本薬を減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
15.1 臨床使用に基づく情報
海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%,プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人当り1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6〜3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人当り2.4人多いと計算されている。
18.1 作用機序
臭化カリウムと同様に生体内で臭素イオンとして作用し、大脳皮質の知覚及び運動中枢の興奮を抑制する。したがって催眠作用、中枢性の鎮静・抗けいれん作用を持つ薬剤として多用され、特に神経性心悸亢進、てんかんなどの治療に用いられる。本剤はカリウム塩に比べ心臓に対して悪影響が少なく、注射液としても用いられる。
本剤は吸湿性であるので、使用後はすみやかに閉栓するなど取扱いに注意すること。