医療用医薬品 : ヒロポン

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医薬品情報


総称名 ヒロポン
一般名 メタンフェタミン塩酸塩
欧文一般名 Methamphetamine Hydrochloride
製剤名 メタンフェタミン塩酸塩・メタンフェタミン塩酸塩錠
薬効分類名 覚醒剤
薬効分類番号 1151
ATCコード N06BA03
KEGG DRUG
D02242 メタンフェタミン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年11月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒロポン錠 PHILOPON Tablets 住友ファーマ 1151001F1020 300.7円/錠 劇薬, 覚醒剤, 処方箋医薬品注)
ヒロポン PHILOPON Powders 住友ファーマ 115100AA1022 劇薬, 覚醒剤, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中又は投与後2週間以内の患者[10.1参照]
2.2 重篤な高血圧症、動脈硬化症の患者[血圧上昇のおそれがある。]
2.3 心疾患のある患者[本剤は心収縮力を増強し、心拍出量を増加させるため、症状が悪化するおそれがある。]
2.4 甲状腺機能亢進症の患者[心機能亢進状態にあるため、本剤が心機能に対し悪影響を及ぼす可能性がある。]
2.5 本剤の成分又はアドレナリン作動薬に対し過敏症の患者[過敏症が発現するおそれがある。]
2.6 不眠症、激越状態にある患者[症状が悪化するおそれがある。]
2.7 薬物乱用の既往歴のある患者[反復投与により薬物依存を生じるので、乱用のおそれがある。]

4. 効能または効果

○下記疾病・症状の改善
ナルコレプシー、各種の昏睡、嗜眠、もうろう状態、インスリンショック
うつ病・うつ状態、統合失調症の遅鈍症
○手術中・手術後の虚脱状態からの回復促進及び麻酔からの覚醒促進
○麻酔剤、睡眠剤の急性中毒の改善

6. 用法及び用量

通常、成人には、メタンフェタミン塩酸塩として1回2.5〜5mg、1日10〜15mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 反復投与により薬物依存を生じるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し、慎重に投与すること。[11.1.1参照]
8.2 本剤投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.3 治療の目的以外には使用しないこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高血圧症の患者(重篤な高血圧症の患者を除く)
血圧上昇のおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
排泄が遅延し、高い血中濃度が持続するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、家兎)で催奇形作用(脳ヘルニア、口蓋裂等)が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁中への移行が報告されている注)
注)メタンフェタミンの医療目的外での使用(投与量不明、静脈内投与又は吸引)による。
9.8 高齢者
本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。[16.5.1参照]

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
モノアミン酸化酵素阻害剤
セレギリン塩酸塩
エフピー
ラサギリンメシル酸塩
アジレクト
サフィナミドメシル酸塩
エクフィナ
2.1参照]
高血圧クリーゼを起こすおそれがある。これらの薬剤を投与中又は投与後2週間以内の患者には本剤を投与しないこと。神経外モノアミン濃度が増加すると考えられる。
10.2 併用注意
メチルドパ水和物
レセルピン
これらの薬剤の降圧作用を阻害する。機序は不明である。
三環系抗うつ剤
イミプラミン塩酸塩
アミトリプチリン塩酸塩 等
本剤の作用が増強されることがある。機序は不明である。
全身麻酔剤
イソフルラン
セボフルラン 等
不整脈・心室細動を起こすことがある。機序は不明である。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 依存性(頻度不明)
反復投与により薬物依存を生じるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し、慎重に投与すること。[8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
精神神経系興奮、情動不安、めまい、不眠、多幸症、振戦、頭痛
循環器心悸亢進、頻脈、血圧上昇
消化器食欲不振、口渇、不快な味覚、下痢、便秘
過敏症じん麻疹
その他インポテンツ、性欲の変化

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人(外国人)6例、重水素標識d-メタンフェタミン塩酸塩0.125mg/kg(平均約9.2mg)1回経口投与後の血漿中未変化体の薬物速度論的パラメータ1)
Tmax(h)Cmax(ng/mL)t1/2(h)
3.60±0.6319.8±2.78.46±0.71
16.5 排泄
16.5.1 排泄経路
主として尿中2)9.8参照]
16.5.2 排泄率
尿の液性によって変動し、投与後16時間の平均尿中排泄率は、酸性尿の場合には未変化体63%、活性代謝物アンフェタミン6.6%であったが、アルカリ性尿の場合には未変化体1.5%のみが検出された2)(外国人、メタンフェタミン塩酸塩13.7mg1回注)経口投与)。
注)本剤の承認用量は1回2.5〜5mgである。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
大脳皮質や脳幹網様体に作用して、覚醒作用を示す。
18.2 覚醒作用
家兎にペントバルビタールナトリウム25mg/kgを静注すると平均46分間の睡眠が得られるが、約半分の睡眠の経過後にメタンフェタミン塩酸塩2mg/kgを静注すると、睡眠時間は平均32分間に短縮された。一方、家兎にメタンフェタミン塩酸塩2mg/kgを静注し、その5分後にペントバルビタールナトリウム5mg/kgの静注を行った場合には、催眠の発現は阻止された3)
18.3 活動性に及ぼす影響
ラットに0.5、1mg/kgのメタンフェタミン塩酸塩を腹腔内投与後12〜18時間内の活動性の変化をみると、対照群と比較してそれぞれ平均136%、213%の増加が観察された3)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. メタンフェタミン塩酸塩

一般的名称 メタンフェタミン塩酸塩
一般的名称(欧名) Methamphetamine Hydrochloride
化学名 (2S)-N-Methyl-1-phenylpropan-2-amine monohydrochloride
分子式 C10H15N・HCl
分子量 185.69
融点 171〜175℃
物理化学的性状 無色の結晶又は白色の結晶性の粉末で、においはない。水、エタノール(95)又はクロロホルムに溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。1.0gを水10mLに溶かした液のpHは5.0〜6.0である。
KEGG DRUG D02242

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<ヒロポン>
1g[瓶、バラ]
<ヒロポン錠>
20錠[瓶、バラ]

23. 主要文献

  1. Cook C.E.,et al., DrugMetab.Dispos., 20, 856-862, (1992)
  2. Beckett A.H.,et al., J.Pharm.Pharmacol., 17 (Suppl.), 109s-114s, (1965)
  3. Roth L W.,et al., Arch.Int.Pharmacodyn., 98, 362-368, (1954) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
住友ファーマ株式会社 くすり情報センター
〒541-0045 大阪市中央区道修町2-6-8
電話:0120-034-389
製品情報問い合わせ先
住友ファーマ株式会社 くすり情報センター
〒541-0045 大阪市中央区道修町2-6-8
電話:0120-034-389

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
住友ファーマ株式会社
大阪市中央区道修町2-6-8

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版