医療用医薬品 : カルビタール

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医薬品情報


総称名 カルビタール
一般名 水酸化カルシウム
ヨードホルム
スルファチアゾール
パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩
欧文一般名 Calcium Hydroxide
Iodoform
Sulfathiazole
Diethylaminoethyl p-Butylaminobenzoate Hydrochloride
製剤名 歯科用水酸化カルシウム・ヨードホルム・パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩配合剤
薬効分類名 直接歯髄覆罩・生活歯髄切断・根管充填剤
薬効分類番号 2750
KEGG DRUG
D04856 スルファチアゾール・パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩・ヨードホルム・水酸化カルシウム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カルビタール CALVITAL ネオ製薬工業 2750802V1024 劇薬

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
ヨウ素又は安息香酸エステル(コカインを除く)系局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○直接歯髄覆罩
齲蝕症第1度及び第2度又はこれに準ずる歯牙硬組織欠損歯で歯質切削中、偶発的に作られた露髄で直接歯髄覆罩を適当と診断された場合
○生活歯髄切断
急性単純性歯髄炎又は急性及び慢性化膿性歯髄炎で、根部歯髄が正常な場合又は補綴学上、罹患歯髄を除去し健康部分を保存した方がよいと診断された場合
○根管充填
抜髄根管及び感染根管で根管治療終了後、根管充填を適当と診断された場合

6. 用法及び用量

A.用法
<直接歯髄覆罩>
窩洞を清掃・消毒、乾燥後、本剤を歯髄露出面に軽く圧接する。
<生活歯髄切断>
窩洞内を清掃・消毒、乾燥後、本剤を歯髄切断面に軽く圧接する。
<根管充填>
根管治療終了後、根管内を清掃・消毒、乾燥し適当な根管充填器を用いて本剤を充填する。
B.用量
粉末と液を約2:1の割合に練和してパスタ状とし、局所に応用する。
下顎第一臼歯に対する用量の平均値は次のとおりである。
処置
直接歯髄覆罩・歯髄切断0.1g0.05g
根管充填0.17g0.08g

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症過敏症状

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 口腔粘膜等に付着した場合には、直ちに清拭し、必要な場合には洗口させること。
また、手指等に付着した場合には、石けん等を用いて水又は温湯で洗浄すること。
万一眼に入った場合には、直ちに多量の水で洗浄する等の適切な処置を行うこと。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
急性毒性(練和物)1)
ラット(Wistar系♂)経口 LD50=3.9g/kg

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
処置別における臨床成績は次のとおりである2)3)4)5)6)
適用症例数成績
良好概良不良
直接歯髄覆罩454230
生活歯髄切断13512960
根管充填160148120

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤を歯髄創傷面に貼付した場合、壊死層の形成に続き、その直下に初期石灰化が招来され、骨様象牙質が形成される。終局的には象牙細管構造を有する象牙質が形成され、これに接して予成象牙質及び象牙芽細胞が配列することにより、象牙質牆がより完全な形態を呈するに至る7)
末に配合されているスルファチアゾールは抗菌性物質として、ヨードホルムは制腐作用増強及びX線造影性の付与、液のパラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩(テーカイン)は、歯髄の外傷等に由来する不快症状の防止を目的としている4)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 水酸化カルシウム

一般的名称 水酸化カルシウム
一般的名称(欧名) Calcium Hydroxide
化学名 Calcium Hydroxide
分子式 Ca(OH)2
分子量 74.09
物理化学的性状 本品は白色の粉末で、味は僅かに苦い。本品は水に溶けにくく、熱湯に極めて溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は希酢酸、希塩酸又は希硝酸に溶ける。本品は空気中で二酸化炭素を吸収する。
理化学知見その他 19.1 水酸化カルシウム
KEGG DRUG D01083

19.2. ヨードホルム

一般的名称 ヨードホルム
一般的名称(欧名) Iodoform
化学名 Triiodomethane
分子式 CHI3
分子量 393.73
物理化学的性状 本品は光沢のある黄色の結晶又は結晶性の粉末で、特異なにおいがある。本品はジエチルエーテルに溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。本品は常温で僅かに揮散する。
理化学知見その他 19.2 ヨードホルム
KEGG DRUG D01910

19.3. スルファチアゾール

一般的名称 スルファチアゾール
一般的名称(欧名) Sulfathiazole
化学名 4-Amino-N-2-thiazolyl benzenesulfonamide
分子式 C9H9N3O2S2
分子量 255.32
物理化学的性状 本品は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。本品はピリジン又はn-ブチルアミンに溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。本品は希塩酸、水酸化ナトリウム試液又はアンモニア試液に溶ける。
理化学知見その他 19.3 スルファチアゾール
KEGG DRUG D01047

19.4. パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩

一般的名称 パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩
一般的名称(欧名) Diethylaminoethyl p-Butylaminobenzoate Hydrochloride
化学名 2-(Diethylamino)ethyl p-(butylamino)benzoate hydrochloride
分子式 C17H28N2O2・HCl
分子量 328.88
物理化学的性状 本品は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。本品は水、メタノール、氷酢酸又はクロロホルムに溶けやすく、無水エタノールにやや溶けやすく、エーテルにほとんど溶けない。
理化学知見その他 19.4 パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩
KEGG DRUG D01967

22. 包装

<末>
10g(ガラス容器)
<液>
10mL(合成樹脂容器)

23. 主要文献

  1. 前橋 浩, 社内資料:カルビタールのラットに対する急性経口毒性試験, (1985)
  2. 長谷川正康,大御雅文,大泉 栄, 改良“カルビタール”による根管充てんの臨床成績並びにX線成績.歯科学報, 69 (8), 59-68, (1969)
  3. 大曾根正史,古賀康子, 改良“カルビタール”の臨床成績について.歯科学報, 69 (8), 69-72, (1969)
  4. 春山良夫, 水酸化カルシウム製剤による歯髄創傷面の治癒効果の比較に関する臨床病理学的研究.歯科学報, 75 (3), 331-406, (1975)
  5. 今西孝博, 乳歯生活歯髄切断法に関する臨床病理学的研究.歯科学報, 80 (6), 43-73, (1980)
  6. 淺井康宏,伊藤彰人,近藤祥弘,石川達也,成田むつ,松井恭平,町田幸雄,薬師寺仁,衣松勍生, カルビタール(改良処方)による歯髄創傷の治癒効果に関する臨床病理学的検討.日歯保誌, 24 (1), 271-281, (1981)
  7. 小林 香,渡邊宇一,吉田 隆,有泉祐吾,中川寛一,淺井康宏, 水酸化カルシウム製剤カルビタールによるヒト歯髄創傷の治癒に関する微細構造学的研究.日歯保誌, 35 (5), 1207-1218, (1992)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ネオ製薬工業株式会社 学術情報部
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-1-3
電話:フリーダイヤル 0120-07-3768
URL:https://www.neo-dental.com/
製品情報問い合わせ先
ネオ製薬工業株式会社 学術情報部
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-1-3
電話:フリーダイヤル 0120-07-3768
URL:https://www.neo-dental.com/

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ネオ製薬工業株式会社
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3丁目1番3号
電話:03-3400-3768(代)
FAX:03-3499-0613

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版