○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療
○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時等)
○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・神経痛
・筋肉痛、関節痛
・末梢神経炎、末梢神経麻痺
・心筋代謝障害
・便秘等の胃腸運動機能障害
・術後腸管麻痺
ビタミンB
1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB
1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、
ウェルニッケ脳症、
脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
通常、成人には1日量1〜6錠(フルスルチアミンとして5〜30mg)を1回1〜2錠ずつ、1日1〜3回に分けて食後直ちに経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
18.1 作用機序
ビタミンB1に比べ細胞内によく取り込まれ、多量のコカルボキシラーゼを生成して、諸種代謝活性をたかめる。また、腸管内アウエルバッハ神経叢内の腸運動亢進ニューロンへ作用し、腸管の蠕動運動を亢進させる。
18.2 神経機能障害改善作用
ビタミンB
1は神経組織の形態保持上重要であり、また、神経インパルス伝導に際してビタミンB
1が遊離消費され
4)、神経細胞内のコカルボキシラーゼは糖代謝に対する依存性が大きい神経細胞のエネルギー産生に関与していること
5)等が示されている。
本剤は神経組織へ移行するとともに、神経細胞の増殖促進
6)(
in vitro)、神経再生促進
7)8)(ウサギ)、骨格筋活動電位の増加
9)(ラット)等の作用が認められており、ビタミンB
1の欠乏又は代謝障害と関連する神経機能障害を改善する。
18.3 心筋代謝障害改善作用
本剤はビタミンB
1に比べて心筋細胞へのとりこみがよく、心筋内では殆どがコカルボキシラーゼとして存在すること
10)(ラット)、麻酔イヌで心筋代謝障害改善作用が認められていること
11)より、心筋内でコカルボキシラーゼとなって心筋代謝障害を改善すると考えられている。
18.4 腸管蠕動運動亢進作用
本剤は腸管蠕動運動亢進作用を示す
12)(イヌ)が、この作用は腸管内アウエルバッハ神経叢内に存在すると考えられる腸運動亢進ノイロンへの作用によるとされている
13)(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)。なお、ビタミンB
1ではこの亢進作用は殆ど認められていない
12)(イヌ)。