医療用医薬品 : ビタメジン

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医薬品情報


総称名 ビタメジン
一般名 リン酸チアミンジスルフィド
ピリドキシン塩酸塩
ビタミンB6
シアノコバラミン
ビタミンB12
欧文一般名 Thiamine Disulfide Phosphate
Pyridoxine Hydrochloride
Cyanocobalamin
製剤名 リン酸チアミンジスルフィド・ピリドキシン塩酸塩・シアノコバラミン静注用
薬効分類名 複合ビタミンB製剤
薬効分類番号 3179
KEGG DRUG
D04935 リン酸チアミンジスルフィド・ピリドキシン塩酸塩・シアノコバラミン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年5月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ビタメジン静注用 VITAMEDIN For Intravenous Injection アルフレッサファーマ 3179506F1023 156円/瓶 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○本剤に含まれるビタミン類の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦など)
○下記疾患のうち、本剤に含まれるビタミン類の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
神経痛、筋肉痛・関節痛、末梢神経炎・末梢神経麻痺
効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

6. 用法及び用量

通常成人1日1バイアルを日本薬局方ブドウ糖注射液又は生理食塩液若しくは注射用水20mLに溶解し、静脈内あるいは点滴静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
パーキンソン病治療薬
レボドパ
レボドパの作用を減弱させるおそれがある。ピリドキシン塩酸塩は、レボドパの脱炭酸酵素の補酵素であり、併用によりレボドパの末梢での脱炭酸化を促進し、レボドパの脳内作用部位への到達量を減弱させると考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
発赤、そう痒感、血圧低下、胸内苦悶、呼吸困難等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、そう痒感
消化器悪心・嘔吐
その他注)熱感、悪寒、発熱、肛門部・その他にそう痒感、ピリピリ感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
溶解後は速やかに使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 静脈内投与により血管痛を起こすことがあるので、注射速度はできるだけ遅く、3分以上時間をかけて極めて緩徐に投与すること。
14.2.2 ビタミンの光分解を防ぐため、遮光に留意すること。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
国内臨床論文89報について集計した成績の概要は次のとおりである。
17.1.1 食事からの摂取が不十分な際のビタミン類の補給
ビタミン補給を必要とする外科的侵襲後の症例、重篤あるいは長期療養でビタミン補給を必要とする症例等の消耗性疾患並びに妊産婦、授乳婦等の代謝亢進時の症例に本剤を投与した結果、本剤含有ビタミンの不足を補い、臨床症状の改善がみられている。
17.1.2 ビタミン類の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
(1)坐骨神経痛、肋間神経痛、三叉神経痛等各種神経痛93例に対して、すぐれた効果が得られた。
(2)筋肉痛、腰痛、五十肩・肩こり、脊椎症、頸肩腕症候群、関節痛等の有痛性整形外科疾患146例に対して、疼痛の軽減に効果が得られた。
(3)多発神経炎、糖尿病性ノイロパチー、眼精疲労、耳鳴・難聴等の末梢神経障害450例に対して、疼痛、知覚障害並びに運動障害等の改善が得られた。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 リン酸チアミンジスルフィド
ビタミンB1塩酸塩に比べ、高い血中B1及びコカルボキシラーゼ濃度を持続し(ヒト25mg静注)、かつ心筋・肝・腎・骨格筋等各臓器中総B1量が高値を示す(シロネズミ10mg/kg皮下注)ことが認められている。また体内で補酵素型B1への転換率が高い。
ビタミンB1は、神経機能の維持に重要な役割を演じており、B1欠乏時には、神経組織の変化として、ノイロン末梢部神経線維の変化(髄鞘の変性)がおこることが知られている(シロネズミによる実験)1)2)3)
18.1.2 ピリドキシン塩酸塩
アミノ酸代謝に関係しており、アミノ基転移、アミノ酸の脱炭酸などの各種反応の補酵素として作用する。神経伝達物質であり神経活動に欠かすことのできない化合物であるドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンのカテコールアミン類とγ-アミノ酪酸及びセロトニン、ヒスタミン、タウリンなどの代謝に関与している。またホルモンの作用を調節する4)
18.1.3 シアノコバラミン
DNAの構成材料であるデオキシリボヌクレオチドを供給するリボヌクレオチドレダクターゼの補酵素として働くほか、メチル基転移、アミノ基転移に関与する。ビタミンB12欠乏時には神経症状として触覚、疼覚、温覚障害のほか、振動覚の異常、協同運動障害などが下肢に認められる。また、膝蓋腱反射の亢進が現れる4)
18.2 神経機能の円滑化
本薬中の各ビタミンはいずれも神経の代謝に関係の深いもので、その欠乏時には神経細胞、神経線維、軸索等の神経組織に病変がおこり、知覚及び運動機能が障害される。
18.2.1 ネコの脛骨神経を切断、縫合した後、ビタミンB1(リン酸チアミンジスルフィド)、B6、B12の各単独並びに本薬(3種ビタミン配合)を投与し、神経再生に及ぼす影響を調べると、本薬投与群はビタミン単独投与群に比べ、筋肉の強い張力が得られ、神経再生の回復がより早い傾向が得られている5)
18.2.2 ラット後肢坐骨神経を圧挫して誘起させた末梢神経麻痺に、ビタミンB1(リン酸チアミンジスルフィド)、B6、B12の各単独並びに本薬を投与し、神経麻痺の回復に及ぼす影響を比較した実験で、本薬投与群に有意な回復促進が認められている6)
18.2.3 ラットのアロキサン誘発による実験的糖尿病性神経障害の脊髄前根(遠心性)神経線維の活動電位について、不応期を指標として測定し、上記3種ビタミン単独並びに本薬を投与して比較した結果、ビタミン単独投与群では、全体的に不応期の延長が認められ、本薬投与群との間に有意差(P<0.05)が認められている7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. リン酸チアミンジスルフィド

一般的名称 リン酸チアミンジスルフィド
一般的名称(欧名) Thiamine Disulfide Phosphate
化学名 [(Z)-4-[(4-amino-2-methylpyrimidin-5-yl)methyl-formylamino]-3-[[(Z)-2-[(4-amino-2-methylpyrimidin-5-yl)methyl-formylamino]-5-phosphonooxypent-2-en-3-yl]disulfanyl]pent-3-enyl]dihydrogen phosphate
分子式 C24H36N8O10P2S2
分子量 722.67
融点 約175℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶性の粉末で、においはない。
水にやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)、アセトン又はクロロホルムにほとんど溶けない。
水溶液(1→50)のpHは約4である。
理化学知見その他 19.1 リン酸チアミンジスルフィド
KEGG DRUG D04933

19.2. ピリドキシン塩酸塩

一般的名称 ピリドキシン塩酸塩 ビタミンB6
一般的名称(欧名) Pyridoxine Hydrochloride
化学名 4,5-Bis(hydroxymethyl)-2-methylpyridin-3-ol monohydrochloride
分子式 C8H11NO3・HCl
分子量 205.64
融点 約206℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶性の粉末である。
水に溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、無水酢酸、酢酸(100)にほとんど溶けない。
光によって徐々に変化する。
理化学知見その他 19.2 ピリドキシン塩酸塩
KEGG DRUG D02179

19.3. シアノコバラミン

一般的名称 シアノコバラミン ビタミンB12
一般的名称(欧名) Cyanocobalamin
化学名 Coα-[α-(5,6-Dimethyl-1H-benzimidazol-1-yl)]-Coβ-cyanocobamide
分子式 C63H88CoN14O14P
分子量 1355.37
物理化学的性状 暗赤色の結晶又は粉末である。
水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
吸湿性である。
理化学知見その他 19.3 シアノコバラミン
KEGG DRUG D00166

22. 包装

50バイアル

23. 主要文献

  1. 祖父江逸郎 他, 最新医学, 14 (11), 2954-2973, (1959)
  2. 阿部達夫 他, 綜合臨牀, 18 (11), 2609-2613, (1969)
  3. 宮沢 滋 他, ビタミン, 32 (1), 8-14, (1965) »DOI
  4. 日本ビタミン学会, ビタミンの事典, 201-227、324-353, (1996), (朝倉書店)
  5. 長谷川和雄 他, 日本薬理学雑誌, 69 (3), 483-497, (1973) »PubMed
  6. 長谷川和雄 他, 日本薬理学雑誌, 74 (6), 721-734, (1978) »PubMed
  7. 岩田宜芳 他, 日本薬理学雑誌, 75 (1), 9-21, (1979) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アルフレッサファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
電話:06-6941-0306
FAX:06-6943-8212
製品情報問い合わせ先
アルフレッサファーマ株式会社 製品情報部
〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号
電話:06-6941-0306
FAX:06-6943-8212

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
アルフレッサファーマ株式会社
大阪市中央区石町二丁目2番9号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/06/18 版