医療用医薬品 : 抑肝散

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医薬品情報


総称名 抑肝散
一般名 抑肝散
薬効分類名 漢方製剤
薬効分類番号 5200
KEGG DRUG
D07049 抑肝散エキス
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用) ツムラ 5200139D1037 16.1円/g

4. 効能または効果

虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症
神経症不眠症、小児夜なき、小児疳症

6. 用法及び用量

通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
8.2 本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意すること。[10.211.1.211.1.4参照]
8.3 他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 著しく胃腸の虚弱な患者
食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢等があらわれることがある。
9.1.2 食欲不振、悪心、嘔吐のある患者
これらの症状が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
カンゾウ含有製剤
芍薬甘草湯
補中益気湯
六君子湯 等
グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤
グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン
グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠 等
8.211.1.211.1.4参照]
偽アルドステロン症があらわれやすくなる。また、低カリウム血症の結果として、ミオパチーがあらわれやすくなる。グリチルリチン酸は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることが考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.2 偽アルドステロン症(頻度不明)
低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.210.2参照]
11.1.3 心不全(頻度不明)
体液貯留、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、心胸比拡大、胸水等)が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 ミオパチー、横紋筋融解症(いずれも頻度不明)
低カリウム血症の結果として、ミオパチー、横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢痙攣・麻痺、CK上昇、血中及び尿中のミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.210.2参照]
11.1.5 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、発赤、そう痒等
消化器食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢等
精神神経系傾眠
その他倦怠感

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 攻撃性抑制作用
(1)グルタミン酸放出抑制作用
亜鉛欠乏ラットに経口投与したところ、海馬細胞外液グルタミン酸濃度の上昇並びに海馬スライス標本におけるグルタミン酸神経終末開口放出が抑制された1)
(2)グルタミン酸取込是正作用
チアミン欠乏下のラット培養アストロサイトにおいて、グルタミン酸取込能の低下、グルタミン酸トランスポーターのmRNA並びに蛋白の発現低下を改善した2)in vitro)。
(3)セロトニン2A受容体ダウンレギュレーション作用
正常マウスに経口投与したところ、前頭前野セロトニン2A受容体発現量が低下し、セロトニン2A受容体作動薬(ジメトキシヨードアンフェタミン)誘発首振り運動が抑制された3)
(4)セロトニン1A受容体刺激作用
・パラクロロアンフェタミン処置ラット4)及び隔離ストレスマウス5)に経口投与したところ、攻撃性が抑制され、その作用はセロトニン1A受容体拮抗薬(WAY-100635)で消失した。
in vitro受容体結合試験において、セロトニン1A受容体部分刺激作用を示した6)
・電気ショックラットにおける不安抑制作用は、WAY-100635で消失した7)
18.2 抗不安様作用
正常マウスに経口投与したところ、高架式十字迷路実験において抗不安様作用を示した8)。この作用は脳虚血ラット(経口)9)及び老齢ラット(混餌)10)でも認められた。
18.3 攻撃性抑制作用
アミロイド前駆体蛋白過剰発現マウス(混餌)11)、アミロイドβ蛋白脳室内注入マウス(経口)12)及び亜鉛欠乏マウス(飲水)13)に投与したところ、攻撃性が抑制された。
18.4 睡眠障害改善作用
隔離ストレスマウスに経口投与したところ、ペントバルビタール誘発睡眠時間の短縮が抑制された14)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 抑肝散

一般的名称 抑肝散
KEGG DRUG D07049

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤の品質を保つため、できるだけ湿気を避け、直射日光の当たらない涼しい所に保管すること。
20.2 開封後は特に湿気を避け、取扱いに注意すること。
20.3 本剤は生薬を原料としているので、色調等が異なることがある。

22. 包装

500g[ボトル]
5kg(500g×10)[パウチ]
2.5g×42包[分包]
2.5g×189包[分包]

23. 主要文献

  1. Takeda,A.et al., Neurochem.Int., 53 (6-8), 230-235, (2008) »PubMed
  2. Kawakami,Z.et al., Neuroscience., 159 (4), 1397-1407, (2009) »PubMed
  3. Egashira,N.et al., Prog.Neuropsychopharmacol.Biol.Psychiatry., 32 (6), 1516-1520, (2008) »PubMed
  4. Kanno,H.et al., J.Pharm.Pharmacol., 61 (9), 1249-1256, (2009) »PubMed
  5. Nishi,A.et al., J.Neuroscience., 207, 124-136, (2012)
  6. Terawaki,K.et al., J.Ethnopharmacol., 127 (2), 306-312, (2010) »PubMed
  7. Yamaguchi,T.et al., J.Ethnopharmacol., 143 (2), 533-539, (2012) »PubMed
  8. 栗原久ほか, 神経精神薬理, 18 (3), 179-190, (1996)
  9. Nogami,A.et al., J.Nat.Med., 65 (2), 275-281, (2011) »PubMed
  10. Mizoguchi,K.et al., J.Ethnopharmacol., 127 (1), 70-76, (2010) »PubMed
  11. Fujiwara,H.et al., Neuroscience., 180, 305-313, (2011) »PubMed
  12. Sekiguchi,K.et al., Phytother.Res., 23 (8), 1175-1181, (2009) »PubMed
  13. Tamano,H.et al., Brain Res.Bull., 83 (6), 351-355, (2010) »PubMed
  14. Egashira,N.et al., J.Pharmacol.Sci., 116 (3), 316-320, (2011)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610
製品情報問い合わせ先
株式会社ツムラ お客様相談窓口
〒107-8521 東京都港区赤坂2-17-11
電話:0120-329-970
FAX:03-5574-6610

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社ツムラ
東京都港区赤坂2-17-11

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版