医療用医薬品 : ステリハイド

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医薬品情報


総称名 ステリハイド
一般名 グルタラール
欧文一般名 Glutaral
製剤名 グルタラール製剤
薬効分類名 化学的滅菌・殺菌消毒剤(医療用器具・機器・装置専用)
薬効分類番号 7321
KEGG DRUG
D01120 グルタラール
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ステリハイドL2W/V%液 STERIHYDE L 丸石製薬 732170AQ1043 劇薬
ステリハイドL20W/V%液 STERIHYDE L 丸石製薬 732170AQ2040 劇薬

4. 効能または効果

医療器具の化学的滅菌または殺菌消毒

6. 用法及び用量

ステリハイドL2w/v%液
本品は用時調製の製剤で、使用目的に応じて次の用法により製する。
ステリハイドL実用液2w/v%液
<ステリハイドL2w/v%液>
ステリハイドL2w/v%液1Lに対し、緩衝化剤(液体)30mLを加えて混和し、黄緑色〜淡黄色の液として製する。この液を用いる。
ステリハイドL実用液0.5w/v%液
ステリハイドL実用液2w/v%液1Lに精製水3Lを加えて希釈して製する。この液を用いる。
(使用目的)
使用濃度用途対象器具
ステリハイドL実用液2w/v%液微生物若しくは有機物により高度に汚染された器具又は皮下組織、粘膜に直接適用される器具の化学的滅菌、及びHBウイルスの汚染が予想される器具の消毒に使用する。レンズ装着の装置類、内視鏡類、麻酔装置類、人工呼吸装置類、人工透析装置類、メス・カテーテルなどの外科手術用器具、産科・泌尿器科用器具、歯科用器具又はその補助的器具、注射筒、体温計及び加熱滅菌できないゴム・プラスチック器具、リネン等。
ステリハイドL実用液0.5w/v%液上記以外の器具の殺菌消毒に使用する。麻酔装置類、人工透析装置類等。
(使用方法)
○被消毒物を液に完全に浸漬して行う。細孔のある器具類は注意して液と十分接触させること。
○通常、次の時間浸漬する。
・体液等の付着した器具
1時間以上
・体液等の付着しない器具
30分以上
○浸漬後、とり出した器具類は、付着物があれば除き、多量の滅菌水で十分に洗浄すること。なお、使用目的により水を使用することもできる。また、細孔のある器具類は内孔を注意して洗うこと。
ステリハイドL2w/v%液
本品は用時調製の製剤で、使用目的に応じて次の用法により製する。
ステリハイドL実用液2w/v%液
<ステリハイドL20w/v%液>
ステリハイドL20w/v%液100mLを注意してとり、精製水900mLに徐々に加えて2w/v%液1Lとし、この液に緩衝化剤(液体)30mLを加えて混和し、黄緑色〜淡黄色の液として製する。この液を用いる。
ステリハイドL実用液0.5w/v%液
ステリハイドL実用液2w/v%液1Lに精製水3Lを加えて希釈して製する。この液を用いる。
(使用目的)
使用濃度用途対象器具
ステリハイドL実用液2w/v%液微生物若しくは有機物により高度に汚染された器具又は皮下組織、粘膜に直接適用される器具の化学的滅菌、及びHBウイルスの汚染が予想される器具の消毒に使用する。レンズ装着の装置類、内視鏡類、麻酔装置類、人工呼吸装置類、人工透析装置類、メス・カテーテルなどの外科手術用器具、産科・泌尿器科用器具、歯科用器具又はその補助的器具、注射筒、体温計及び加熱滅菌できないゴム・プラスチック器具、リネン等。
ステリハイドL実用液0.5w/v%液上記以外の器具の殺菌消毒に使用する。麻酔装置類、人工透析装置類等。
(使用方法)
○被消毒物を液に完全に浸漬して行う。細孔のある器具類は注意して液と十分接触させること。
○通常、次の時間浸漬する。
・体液等の付着した器具
1時間以上
・体液等の付着しない器具
30分以上
○浸漬後、とり出した器具類は、付着物があれば除き、多量の滅菌水で十分に洗浄すること。なお、使用目的により水を使用することもできる。また、細孔のある器具類は内孔を注意して洗うこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 人体に使用しないこと。
8.2 本剤にて内視鏡消毒を行った後十分なすすぎが行われなかったために薬液が内視鏡に残存し、大腸炎等の消化管の炎症が認められた報告があるので、消毒終了後は多量の水で本剤を十分に洗い流すこと。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症注)発疹、発赤等の過敏症状
皮膚注)接触皮膚炎

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 緩衝化剤(液体)は、成分・分量、特性の関係で過飽和溶液の状態になっているので、ときに結晶が析出することがある。このような場合には加温溶解して使用すること。
14.1.2 本剤を用時調製する時、ピペット等で直接吸引して調製しないこと。
14.1.3 実用液を調製する場合、精製水に代えて硬度の高くない常水を使用することができる。
14.1.4 調製後(緩衝化剤添加後)の液は直ちに使用すること。
14.2 薬剤使用前の注意
グルタラールには一般に、たん白凝固性がみられるので、器具に付着している体液等を除去するため予備洗浄を十分に行ってから薬液に浸漬すること。
14.3 薬剤使用時の注意
14.3.1 手術室等における汚染された部分の清拭や、環境殺菌の目的での手術室等への噴霧などは行わないこと。
14.3.2 本剤の成分またはアルデヒドに対し過敏症の既往歴のある者は、本剤を取り扱わないこと。
14.3.3 グルタラール水溶液との接触により、皮膚が着色することがあるので、液を取り扱う場合には必ずゴーグル、防水エプロン、マスク、ゴム手袋等の保護具を装着すること。また、皮膚に付着したときは直ちに水で洗い流すこと。
14.3.4 眼に入らぬようゴーグル等の保護具をつけるなど、十分注意して取り扱うこと。誤って眼に入った場合には、直ちに多量の水で洗ったのち、専門医の処置を受けること。
14.3.5 グルタラールの蒸気は眼、呼吸器等の粘膜を刺激するので、必ずゴーグル、マスク等の保護具をつけ、吸入または接触しないよう注意すること。換気が不十分な部屋では適正な換気状態の部屋に比べて、空気中のグルタラール濃度が高いとの報告があるので、窓がないところや換気扇のないところでは使用せず、換気状態の良いところでグルタラールを取り扱うこと。
14.3.6 浸漬の際にはグルタラール蒸気の漏出防止のために、ふた付容器を用い、浸漬中はふたをすること。また、局所排気装置を使用することが望ましい。
14.3.7 炭素鋼製器具は24時間以上浸漬しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
グルタラールを取り扱う医療従事者を対象としたアンケート調査では、眼、鼻の刺激、頭痛、皮膚炎等の症状が報告されている。また、グルタラール取り扱い者は非取り扱い者に比べて、眼、鼻、喉の刺激症状、頭痛、皮膚症状等の発現頻度が高いとの報告がある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
グルタラール分子[OHC-(CH23-CHO]の両端に位置するアルデヒド基が菌体構成アミノ酸のスルフヒドリル基(-SH)あるいはアミノ基(-NH2)と反応し、また、微生物のDNA合成・蛋白合成を阻害し、死滅させると考えられている。
18.2 殺菌作用
18.2.1 各種細菌に対する効果
本剤の実用液(2w/v%)は、in vitroの試験において、クロルヘキシジン耐性菌10株を含むグラム陰性菌、グラム陽性菌及び真菌をほぼ15秒以内に殺菌する。また、枯草菌芽胞(108/mL)に対する殺芽胞効果では、25℃、15分間接触後、生存する芽胞を極端に減少させる1)2)3)
18.2.2 ウイルスに対する不活化効果
本剤の実用液(2w/v%)は、in vitroの試験において、インフルエンザウイルスA型、B型、単純ヘルペスウイルス1型、2型、ポリオウイルス2型及びエンテロウイルス70型を10分以内に、その感染価を測定し得る最低値以下にする4)
18.2.3 HBs抗原に対する不活化効果
(1)本剤の実用液(2w/v%)及びその希釈液(0.5w/v%)のHBs抗原陽性血清に対する不活化効果をR-PHA法により測定するとき、15分以内に測定し得る最低値以下にする5)
(2)HBウイルスの感染性粒子Dane particle(8試料)に対するグルタラール2w/v%実用液及びその希釈液(1w/v%)の作用をDNA-Polymeraseの活性を指標として測定した結果、3分後には全試料が失活へ進むことが報告されている6)
18.2.4 グルタラールによるHBウイルスのチンパンジー感染不活性化実験
グルタラール2w/v%実用液を50%チンパンジー感染量10-8以上のHBe抗原陽性血清の希釈液と等容混和して5分間作用させ、チンパンジーに感染実験を行ったところ、HBウイルス感染性は消失した7)8)
18.2.5 有効濃度(改良Kelsey-Sykes法による)
殺菌剤の有効濃度評価方法として英国公衆衛生研究所の採用している改良Kelsey-Sykes法による試験の結果、本剤実用液の有効濃度は、清浄な状態では0.06w/v%、汚染の状態では0.1w/v%である9)
18.2.6 本剤の金属、布、シリコン、ポリ塩化ビニル、天然ゴムの材質に及ぼす影響(金属:外観変化、質量変化等、布:引張強度、引裂強度、その他:外観変化)を検討した結果、ほとんど影響を認めなかった10)11)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. グルタラール

一般的名称 グルタラール
一般的名称(欧名) Glutaral
化学名 グルタルアルデヒド(Glutaraldehyde)
分子式 C5H8O2
分子量 100.12
物理化学的性状 無色〜淡黄色澄明の液で、そのガスは粘膜を刺激する。水、エタノールまたはアセトンと混和する。
KEGG DRUG D01120

20. 取扱い上の注意

20.1 誤飲を避けるため、保管及び取り扱いに十分注意すること。
20.2 開栓後の残余の液は密栓して保管すること。
20.3 寒冷地では氷結することがある。このような場合、常温で放置して自然に溶かすこと。

22. 包装

<ステリハイドL2w/v%液>
1L[プラスチックボトル](緩衝化剤30mL添付)
5L[プラスチックボトル](緩衝化剤150mL添付)
<ステリハイドL20w/v%液>
500mL[プラスチックボトル](緩衝化剤150mL添付)

23. 主要文献

  1. 社内資料:各種細菌に対する殺菌効果-1
  2. 社内資料:各種細菌に対する殺菌効果-2
  3. 社内資料:各種細菌に対する殺菌効果-3
  4. 社内資料:ウイルスに対する不活化効果
  5. 社内資料:HBs抗原に対する不活化効果
  6. 倉堀知弘, 防菌防黴, 5 (9), T388-T392, (1977)
  7. 小林寛伊 他, 医科器械学, 50 (10), 524-525, (1980) »DOI
  8. 小林寛伊 他, 外科, 42 (13), 1526, (1980)
  9. 水野隆廣 他, 日本手術部医学会誌, 5 (2), 158-160, (1984)
  10. 社内資料:各種材質に及ぼす影響
  11. 桑野寛行 他, 医学と薬学, 14 (2), 547-553, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
丸石製薬株式会社 学術情報部
〒538-0042 大阪市鶴見区今津中2-4-2
電話:0120-014-561
製品情報問い合わせ先
丸石製薬株式会社 学術情報部
〒538-0042 大阪市鶴見区今津中2-4-2
電話:0120-014-561

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
丸石製薬株式会社
大阪市鶴見区今津中2-4-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版