医療用医薬品 : ヒビスコール

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医薬品情報


総称名 ヒビスコール
一般名 クロルヘキシジングルコン酸塩
欧文一般名 Chlorhexidine Gluconate
薬効分類名 速乾性手指消毒剤
薬効分類番号 2619
ATCコード A01AB03 B05CA02 D08AC02 D09AA12 R02AA05
KEGG DRUG
D00858 クロルヘキシジングルコン酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒビスコール液A Hibiscohol A サラヤ 261970BQ1078

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 クロルヘキシジン製剤に対し過敏症の既往歴のある者[8.参照]
2.2 腟、膀胱、口腔等の粘膜面には使用しないこと[クロルヘキシジン製剤の左記部位への使用により、ショック、アナフィラキシーの症状の発現が報告されている。]
2.3 損傷皮膚及び粘膜には使用しないこと[刺激作用を有する。]

4. 効能または効果

手指の消毒

6. 用法及び用量

そのまま使用する。

8. 重要な基本的注意

ショック、アナフィラキシー等の反応を予測するため、使用に際してはクロルヘキシジン製剤に対する過敏症の既往歴、薬物過敏体質の有無について十分な問診を行うこと。[2.19.1.111.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある者(クロルヘキシジン製剤に対し過敏症の既往歴のある者を除く)[8.参照]
9.1.2 喘息等のアレルギー疾患の既往歴、家族歴のある者

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(頻度不明)
血圧低下、じん麻疹、呼吸困難等があらわれた場合は、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと。[8.参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満頻度不明
過敏症発疹、じん麻疹 
皮膚 刺激症状

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用前の注意
14.1.1 血清・膿汁等の有機性物質は殺菌作用を減弱させるので、これらが付着している場合は十分に洗い落としてから使用すること。
14.1.2 石鹸類は本剤の殺菌作用を弱めるので、予備洗浄に用いた石鹸分を十分に洗い落としてから使用すること。
14.2 薬剤使用時の注意
14.2.1 手指消毒以外の目的には使用しないこと。
14.2.2 本剤は希釈せず、原液のまま使用すること。
14.2.3 眼に入らないように注意すること。眼に入った場合は直ちによく水洗すること。
14.2.4 溶液の状態で長時間皮膚と接触させた場合に皮膚化学熱傷を起こしたとの報告があるので、注意すること。
14.2.5 反復使用した場合には、脱脂等による皮膚荒れを起こすことがあるので注意すること。
14.2.6 引火性があり、爆発の危険性もあるため、火気には十分注意すること。
14.3 薬剤使用後の注意
本剤の付着した白布を次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系漂白剤で漂白すると、褐色のシミができることがある。漂白には過炭酸ナトリウム等の酸素系漂白剤が適当である。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
クロルヘキシジングルコン酸塩製剤の使用によりショック症状を起こした患者のうち数例について、血清中にクロルヘキシジンに特異的なIgE抗体が検出されたとの報告がある1)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
低濃度では細菌の細胞膜に障害を与え、細胞質成分の不可逆的漏出や酵素阻害を起こし、抗菌作用(殺菌作用)を示す。高濃度では細胞内のタンパク質や核酸の沈着を起こすことにより、抗菌作用を示す2)
18.2 殺菌作用
18.2.1 広範囲の微生物に作用するが、特にグラム陽性菌には低濃度でも有効である。グラム陰性菌にも比較的低濃度で殺菌作用を示すが、グラム陽性菌に比べて抗菌力に幅がある。グラム陰性菌のうち、AlcaligenesPseudomonasAchromobacterFlavobacterium属などにはまれに抵抗菌株もある。芽胞形成菌の芽胞には無効である。結核菌に対し水溶液では静菌作用、アルコール溶液では迅速な殺菌作用がある。真菌類の多くに対し抗菌力を示すが細菌類より弱い。ウイルスに対する効力は確定していない2)
18.2.2 ヒビスコール液Aの殺菌力試験
ヒビスコール液Aにつき、石炭酸係数測定法に準拠する方法で各2回試験した3)
供試菌10分で死滅を示す最大希釈率
Pseudomonas aeruginosa ATCC 278532020
Proteus vulgaris ATCC 133153020
Escherichia coli ATCC 259225040
Enterobacter cloacae ATCC 233556060
Salmonella typhimurium ATCC 140284040
Serratia marcescens ATCC 81002010
Staphylococcus aureus ATCC 25923105
Staphylococcus epidermidis ATCC 12228120145
Streptococcus pyogenes ATCC 196159070
Streptococcus faecalis ATCC 331863030
18.2.3 グローブジュース準拠法による有効性
2医療施設において、健康な成人男女を対象として、ヒビスコール液Aを約3〜4mL手にとり試験した結果、その有効性が認められた4)5)
18.2.4 改良Kelsey-Sykes法による有効性
ヒビスコール液Aにつき、対照薬剤として市販の0.2%クロルヘキシジングルコン酸塩エタノール製剤を用い比較した結果、両薬剤の殺菌効果は同等であった6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クロルヘキシジングルコン酸塩

一般的名称 クロルヘキシジングルコン酸塩
一般的名称(欧名) Chlorhexidine Gluconate
化学名 1,1'-Hexamethylenebis[5-(4-chlorophenyl)biguanide],di-D-gluconate
分子式 C22H30Cl2N10・2C6H12O7
分子量 897.76
物理化学的性状 通常、水溶液として存在し、その20W/V%液は、無色〜微黄色の澄明な液体で、においはなく、味は苦い。水又は酢酸(100)と混和する。20W/V%液1mLはエタノール(99.5)5mL以下又はアセトン3mL以下と混和するが、溶媒の量を増加するとき白濁する。光によって徐々に着色する。
比重 d2020:1.06〜1.07
KEGG DRUG D00858

20. 取扱い上の注意

火気を避けて保存すること。

22. 包装

500mL、600mL(ディスポーザブル)、1L、5L(全てポリエチレン容器)

23. 主要文献

  1. 大利隆行 他, アレルギー, 33 (9), 707, (1984)
  2. 第十八改正日本薬局方解説書, C-1877-C-1881, (2021), (廣川書店)
  3. サラヤ株式会社バイオケミカル研究所 資料
  4. エモリエント剤を配合したアルコール性ローション型手指消毒剤による手指消毒効果 サラヤ株式会社バイオケミカル研究所 資料
  5. アルコール性ローション型手指消毒剤の自動噴霧による手指消毒効果の検討−ベースン手洗い法との比較− サラヤ株式会社バイオケミカル研究所 資料
  6. サラヤ株式会社バイオケミカル研究所 資料

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
サラヤ株式会社 学術部
〒541-0051 大阪市中央区備後町4-2-5
電話:06-4706-3938
製品情報問い合わせ先
サラヤ株式会社 学術部
〒541-0051 大阪市中央区備後町4-2-5
電話:06-4706-3938

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
サラヤ株式会社
大阪市東住吉区湯里2-2-8

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版