2.1 肥大型閉塞性心筋症の患者[左室流出路狭窄を増悪させるおそれがある。]
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[
9.5参照]
下記の状態で他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合
通常、成人には、本剤を注射液そのまま、又は生理食塩液、ブドウ糖液等で希釈し、オルプリノン塩酸塩水和物として体重1kgあたり10μgを5分間かけて緩徐に静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.1〜0.3μg/kgを点滴静注する。
なお、点滴投与量は患者の病態に応じて適宜増減し、必要ある場合には1分間あたり0.4μg/kgまで増量できる。
下記の患者では、点滴静注の際には1分間あたり0.1μg/kgから開始し、過量投与にならないよう投与量に注意すること。
8.1 本剤は他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合に適用を考慮すること。
8.2 本剤の投与前に体液減少及び電解質の是正、呼吸管理等の必要な処置を行うこと。
8.3 本剤の投与は、血圧、心拍数、心電図、尿量、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等、患者の状態を観察しながら行うこと。
8.4 本剤の投与開始後、120分間で臨床症状の改善がみられない場合、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.5 長時間投与の使用経験は少ないが、3時間を超える投与では副作用の発現頻度が高い傾向にあるので、3時間を超えて投与する場合には、注意して使用すること。[
17.1.1参照]
8.6 本剤の投与により臨床症状が改善し、患者の状態が安定した場合(急性期を脱した場合)には、他の治療法に変更すること。なお、1日の総投与量は0.6mg/kg(1分間あたり0.4μg/kgで24時間投与した場合に相当)を超えないこと。
8.7 本剤の投与中に、過度の心拍数増加、血圧低下があらわれた場合には、過量投与の可能性があるので、減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。
8.8 不整脈があらわれることがあり、本剤の投与によりその可能性を高めるおそれがあるので、注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重篤な頻脈性不整脈のある患者
本剤は陽性変時作用と血管拡張作用による圧受容体反射があるため、不整脈を増悪させることがある。
9.1.2 重篤な冠動脈疾患のある患者
本剤は陽性変力作用を有し、冠動脈疾患を増悪させるおそれがある。
9.1.3 著しく血圧の低い患者
本剤は血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。
9.1.4 高度の大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄等がある患者
9.1.5 利尿剤を大量に投与されている患者
9.1.6 ジギタリス療法を受けている患者
本剤の投与により過度の利尿及び低カリウム血症を起こす可能性がある。
9.1.7 遺伝性果糖不耐症の患者
本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
腎機能の低下に伴い、本剤の消失半減期が長くなるおそれがある。また、腎機能障害を悪化させるおそれがある。[7.、
11.1.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット:静脈内)で胎児体重の増加抑制、化骨遅延が認められている。[
2.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット:静脈内)で乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
肝・腎機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいと推定される。[7.参照]
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心室細動、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、血圧低下(いずれも0.1〜5%未満)
11.1.2 腎機能障害(0.1〜5%未満)[
9.2参照]
発現頻度は製造販売後調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 |
循環器 | 頻脈、上室性又は心室性期外収縮等の不整脈 | |
消化器 | 嘔吐 | |
精神神経系 | | 頭痛、頭重 |
血液 | 血小板減少、貧血、白血球減少、白血球増多 | |
泌尿器 | 尿量減少 | |
過敏症 | | 発疹 |
呼吸器 | | 低酸素血症注) |
その他 | | 熱感 |
14.1 薬剤調製時の注意
本剤は患者の病態に応じ、点滴静注速度を調節する必要があるので、他の注射剤と混合せずに用いることが望ましい。