医療用医薬品 : ホルムクレゾール

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医薬品情報


総称名 ホルムクレゾール
一般名 ホルマリン
クレゾール
欧文一般名 Formalin
Cresol
製剤名 ホルマリン・クレゾール製剤
薬効分類名 根管消毒剤
薬効分類番号 2730
KEGG DRUG
D04842 ホルマリン・クレゾール
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
歯科用ホルムクレゾール「村上」 アグサジャパン 2730809Q1070 劇薬

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

根管の消毒1)

6. 用法及び用量

適量を根管内へ挿入し、仮封する。1)

8. 重要な基本的注意

本剤は、組織刺激性が強く2)、歯根膜炎を起こすことがあるので、注意して使用すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 患歯根端(尖)部に炎症性病巣のある患者
症状が悪化するおそれがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
本剤を塩化鉄(III)液、酸化クロム(VI)液、硝酸銀液等と併用する場合には、変色又は沈殿を生じ、薬効が減じるので注意すること。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
蕁麻疹、そう痒、呼吸困難、血圧低下等の異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症過敏症状

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 腐食力が強いので注意して使用すること。
14.1.2 軟組織に対し局所作用をあらわすので、口腔粘膜等に付着させないよう配慮すること。
したがって、使用に際してはラバーダム防湿等を行うこと。
14.1.3 本剤が口腔粘膜等に付着した場合は、直ちに拭き取り、微温湯で洗口させること。
また、手指等に付着した場合は、石けん等を用いて水洗し、適切な処置を行うこと。
14.1.4 軟組織に付着した場合、直ちに拭き取り、エタノール、グリセリン、植物油で清拭するかまたは多量の水で洗う等適切な処置を行うこと。[14.1.5参照]
14.1.5 本剤は顔、皮膚等に付着すると数秒で付着部が白変する。皮膚等に付着したまま放置すると炎症を起こし、化学的損傷を生じるので、直ちに処置すること。
その場合は火傷の治療に準じて処置するか、直ちに皮膚科医に相談すること。[14.1.4参照]
14.1.6 容器から使用適量をダッペングラスにとり、小綿球または綿繊維に浸潤させて窩内あるいは根管に挿入すること。
14.1.7 眼に入らないように注意すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 急性毒性
本剤の経口毒性は、調製直後はLD50 1.60g/kg(マウス)で、密栓瓶入りで室温3年間経過品は1.4倍(1.15g/kg)で、ホルマリン及びエタノールの蒸散で濃縮等されクレゾールの毒性が相対的に強くあらわれる。3)
15.2.2 腐食性
本剤の腐食性は液状フェノール(90%濃度)とほぼ同じであり腐食性が強く皮膚を侵して白くする。3)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は血液等の存在下で深達性が優れていて4)、ホルマリン、クレゾール及びエタノールともにたん白質の変性により微生物を死滅させる。
18.2 殺菌消毒作用
ホルマリンにクレゾール及びエタノールを配合することにより、界面張力が低下して、歯細管等まで浸透しやすくなり、その結果、感染根管中の歯髄腐敗分解物に含まれる脂肪滴の細菌まで消毒するといわれている。4)5)6)
18.3 抗菌作用
口腔内化膿菌(S.aureus)、むし歯菌(S.mutans)、大腸菌(E.coli)及び糸状菌(C.albicans)に対して強力な消毒作用を示した。また、本剤の揮発成分も強力な消毒作用を示すことがわかった。7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ホルマリン

一般的名称 ホルマリン
一般的名称(欧名) Formalin
物理化学的性状 本品は無色澄明の液で、そのガスは粘膜を刺激する。
本品は水又はエタノール(95)と混和する。
本品は長く保存するとき、特に寒冷時に混濁することがある。
理化学知見その他 19.1 ホルマリン
KEGG DRUG D00017

19.2. クレゾール

一般的名称 クレゾール
一般的名称(欧名) Cresol
化学名 Cresol
分子式 C7H8O
分子量 108.14
物理化学的性状 本品は無色又は黄色〜黄褐色澄明の液で、フェノールのようなにおいがある。
本品はエタノール(95)又はジエチルエーテルと混和する。
本品は水にやや溶けにくい。
本品は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
本品の飽和水溶液はブロモクレゾールパープル試液に対して中性である。
本品は光を強く屈折させる。
本品は光により、また、長く放置するとき、暗褐色となる。
理化学知見その他 19.2 クレゾール
KEGG DRUG D01960

20. 取扱い上の注意

使用後は密栓し、直射日光を避けて保管すること。

22. 包装

25mL[褐色ガラス瓶]

23. 主要文献

  1. 第24次医療用医薬品再評価結果(昭和60年7月30日薬発第758号厚生省薬務局長通知)
  2. 竹中栄子、黒木賀代子ほか, Formocresol(FC)の経日変化に関する研究 11.起炎性の変化,九州歯科学会雑誌, 35 (1), 39-45, (1981) »DOI
  3. 吉岡伴子、村上雄次ほか, Formocresol(FC)の経日変化に関する研究 10.急性毒性の変化,九州歯科学会雑誌, 34 (4), 329-335, (1980) »DOI
  4. 真泉平治, 歯科用消毒薬の研究第1報、基礎的根管消毒薬の深達性並びに消毒作用の比較研究,歯科学雑誌, 9 (1), 7-11, (1953)
  5. 永澤 恒、河野義明, 根管消毒剤ホルモクレゾールについて,デンタルダイヤモンド, (8月), 36-37, (1985)
  6. 佐藤精一, 簡明歯科薬理学, 216, (1971), (永末書店 京都)
  7. 村上雄次, 歯科用消毒剤の微生物発育阻止作用に関する比較研究,日本歯科保存学雑誌, 26 (1), 284-314, (1983)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
アグサジャパン株式会社
〒540-0004 大阪市中央区玉造1丁目2-34
電話:06-6768-6344(代)
製品情報問い合わせ先
アグサジャパン株式会社
〒540-0004 大阪市中央区玉造1丁目2-34
電話:06-6768-6344(代)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
アグサジャパン株式会社
〒540-0004 大阪市中央区玉造1丁目2-34

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版