医療用医薬品 : ハイドリット

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医薬品情報


総称名 ハイドリット
一般名 グルタラール
欧文一般名 Glutaral
製剤名 グルタラール製剤
薬効分類名 化学的滅菌・殺菌消毒剤(医療用器具・機器・装置専用)
薬効分類番号 7321
KEGG DRUG
D01120 グルタラール
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ハイドリット20W/V%液 HYDOLIT 20W/V% solution 日興製薬 732170AQ2104 劇薬

4. 効能または効果

医療器具の化学的滅菌又は殺菌消毒

6. 用法及び用量

本品は用時調製の製剤で、使用目的に応じて次の用法により製する。
○ハイドリット実用液2W/V%液
ハイドリット20W/V%液100mLを注意してとり、精製水900mLに徐々に加えて2W/V%液1Lとし、この液に緩衝化剤(液体)30mLを加えて混和し、淡黄緑色〜淡緑色の液として製する。この液を用いる。
○ハイドリット実用液0.5W/V%液
ハイドリット実用液2W/V%液1Lに精製水3Lを加えて希釈して製する。この液を用いる。(但し、精製水に代えて硬度の高くない常水を使用することができる。)
(使用目的)
使用濃度用途対象器具
ハイドリット実用液2W/V%液微生物若しくは有機物により高度に汚染された器具又は皮下組織、粘膜に直接適用される器具の化学的滅菌、及びHBウイルスの汚染が予想される器具の消毒に使用する。レンズ装着の装置類、内視鏡類、麻酔装置類、人工呼吸装置類、人工透析装置類、メス・カテーテルなどの外科手術用器具、産科・泌尿器科用器具、歯科用器具又はその補助的器具、注射筒、体温計及び加熱滅菌できないゴム・プラスチック器具、リネン等。
ハイドリット実用液0.5W/V%液上記以外の器具の殺菌消毒に使用する。麻酔装置類、人工透析装置類等。
(使用方法)
○被消毒物を液に完全に浸漬して行う。細孔のある器具類は注意して液と十分に接触させること。
○通常、次の時間浸漬する。
・体液等の付着した器具 1時間以上
・体液等の付着しない器具 30分以上
○浸漬後、とり出した器具類は付着物があれば除き、多量の滅菌水で十分に洗浄すること。なお、使用目的により水を使用することもできる。また、細孔のある器具類は内孔を注意して洗うこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 人体に使用しないこと。
8.2 本剤にて内視鏡消毒を行った後十分なすすぎが行われなかったために薬液が内視鏡に残存し、大腸炎等の消化管の炎症が認められた報告があるので、消毒終了後は多量の水で本剤を十分に洗い流すこと。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症注)発疹、発赤等の過敏症状
皮膚注)接触皮膚炎

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 緩衝化剤(液体)は、成分・分量、特性の関係で過飽和溶液の状態になっているので、ときに結晶が析出することがある。このような場合には加温溶解して使用すること。
14.1.2 本剤を用時調製する時、ピペット等で直接吸引して調製しないこと。
14.1.3 実用液を調製する場合、精製水に代えて硬度の高くない常水を使用することができる。
14.1.4 調製後(緩衝化剤添加後)の液は直ちに使用すること。
14.2 薬剤使用前の注意
グルタラールには一般に、たん白凝固性がみられるので、器具に付着している体液等を除去するため予備洗浄を十分に行ってから薬液に浸漬すること。
14.3 薬剤使用時の注意
14.3.1 手術室等における汚染された部分の清拭や、環境殺菌の目的での手術室等への噴霧などは行わないこと。
14.3.2 本剤の成分またはアルデヒドに対し過敏症の既往歴のある者は、本剤を取り扱わないこと。
14.3.3 グルタラール水溶液との接触により、皮膚が着色することがあるので、液を取り扱う場合には必ずゴーグル、防水エプロン、マスク、ゴム手袋等の保護具を装着すること。また、皮膚に付着したときは直ちに水で洗い流すこと。
14.3.4 眼に入らぬようゴーグル等の保護具をつけるなど、十分注意して取り扱うこと。誤って眼に入った場合には、直ちに多量の水で洗ったのち、専門医の処置を受けること。
14.3.5 グルタラールの蒸気は眼、呼吸器等の粘膜を刺激するので、必ずゴーグル、マスク等の保護具をつけ、吸入または接触しないよう注意すること。換気が不十分な部屋では適正な換気状態の部屋に比べて、空気中のグルタラール濃度が高いとの報告があるので、窓がないところや換気扇のないところでは使用せず、換気状態の良いところでグルタラールを取り扱うこと。
14.3.6 浸漬の際にはグルタラール蒸気の漏出防止のために、ふた付容器を用い、浸漬中はふたをすること。また、局所排気装置を使用することが望ましい。
14.3.7 炭素鋼製器具は24時間以上浸漬しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
グルタラールを取り扱う医療従事者を対象としたアンケート調査では、眼、鼻の刺激、頭痛、皮膚炎等の症状が報告されている。また、グルタラール取り扱い者は非取り扱い者に比べて、眼、鼻、喉の刺激症状、頭痛、皮膚症状等の発現頻度が高いとの報告がある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
グルタラール分子[OHC-(CH23-CHO]の両端に位置するアルデヒド基が菌体構成アミノ酸のスルフヒドリル基(-SH)あるいはアミノ基(-NH2)と反応し、また、微生物のDNA合成・タンパク合成を阻害し、死滅させると考えられている。
18.2 殺菌作用
18.2.1 各種細菌に対する効果
本剤の実用液(2W/V%)はグラム陰性菌、グラム陽性菌をほぼ15秒以内に殺菌する1)
菌種殺菌時間
Staphylococcus aureus IFO 13276
(黄色ブドウ球菌)
15秒以内
Staphylococcus aureus NCTC 4163
(黄色ブドウ球菌)
15秒以内
Staphylococcus epidermidis IFO 12993
(表皮ブドウ球菌)
15秒以内
Streptococcus pneumoniae IID 554
(肺炎球菌)
15秒以内
Escherichia coli NCTC 8196
(大腸菌)
15秒以内
Pseudomonas aeruginosa NCTC 6749
(緑膿菌)
15秒以内
Pseudomonas cepacia IID 1340
(シュードモナス・セパシア)
15秒以内
Alcaligenes faecalis RIMD 0114002
(アルカリゲネス・フェーカリス)
15秒以内
Proteus vulgaris IFO 3045
(プロテウス・ブルガリス)
15秒以内
Flavobacterium meningosepticum RIMD 0614002
(フラボバクテリウム・メニンゴセプティカム)
15秒以内
Achromobacter xylosoxidans RIMD 0101001
(アクロモバクター・キシロースオキシダンス)
15秒以内
Serratia marcescens IFO 12648
(セラチア・マルセッセンス)
15秒以内
18.2.2 ウイルスに対する不活化効果
本剤の実用液(2W/V%)は、アデノウイルス3型を作用時間1分で、又インフルエンザウイルスA香港型を作用時間2分でともにその感染価を検出限界以下とし、不活化率は≧99.99%である2)
18.2.3 HBs抗原に対する不活化効果
(1)本剤の実用液(2W/V%)及び実用液(0.5W/V%)はともに、B型肝炎患者のHBs抗原陽性血清に対する不活化効果を測定するとき30分以内にHBs抗原価を測定限界値未満とした。又、HBs抗原陽性血清IIを用いた不活化試験では、実用液(0.5W/V%)において10分以内、実用液(2W/V%)では1分以内にHBs抗原価を測定限界値未満とした3)
(2)HBウイルスの感染性粒子Dane particle(8試料)に対するグルタラール2W/V%実用液及びその希釈液(1W/V%)の作用をDNA-Polymeraseの活性を指標として測定した結果、3分後には全試料が失活へ進むことが報告されている4)
18.2.4 グルタラールによるHBウイルスのチンパンジー感染不活性化実験
グルタラール2W/V%実用液を50%チンパンジー感染量10-8以上のHBe抗原陽性血清の希釈液と等容混和して5分間作用させ、チンパンジーに感染実験を行ったところ、HBウイルス感染性は消失した5)6)
18.2.5 有効濃度(改良Kelsey-Sykes法による)
殺菌剤の有効濃度評価方法として英国公衆衛生研究所の採用している改良Kelsey-Sykes法による試験の結果、本剤実用液の有効濃度は、清浄な状態では0.06W/V%、汚染の状態では0.1W/V%である7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. グルタラール

一般的名称 グルタラール
一般的名称(欧名) Glutaral
化学名 グルタルアルデヒド(Glutaraldehyde)
分子式 C5H8O2
分子量 100.12
物理化学的性状 本品は無色〜淡黄色澄明の液で、そのガスは粘膜を刺激する。
本品は水、エタノール又はアセトンと混和する。
KEGG DRUG D01120

20. 取扱い上の注意

20.1 誤飲を避けるため、保管及び取り扱いに十分注意すること。
20.2 開栓後の残余の液は密栓して保管すること。
20.3 寒冷地では氷結することがある。このような場合、常温で放置して自然に溶かすこと。

22. 包装

1L(ポリエチレン容器)、緩衝化剤300mL(ポリエチレン容器)添付

23. 主要文献

  1. 社内資料:日興製薬株式会社、各種細菌に対する殺菌効果
  2. 社内資料:日興製薬株式会社、ウイルスに対する不活化効果
  3. 社内資料:日興製薬株式会社、HBs抗原に対する不活化効果
  4. 倉堀知弘, 防菌防黴, 5 (9), T388-T392, (1977)
  5. 小林寛伊 他, 医科器械学, 50 (10), 524-525, (1980) »DOI
  6. 小林寛伊 他, 外科, 42 (13), 1526, (1980)
  7. 水野隆廣 他, 日本手術部医学会誌, 5 (2), 158-160, (1984)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社ジーシー カスタマーサービスセンター
電話:(お客様窓口)0120-416480
製品情報問い合わせ先
株式会社ジーシー カスタマーサービスセンター
電話:(お客様窓口)0120-416480

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日興製薬株式会社
岐阜県羽島市江吉良町1593
26.2 発売元
株式会社ジーシー
東京都文京区本郷3丁目2番14号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版