医療用医薬品 : エスタゾラム

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医薬品情報


総称名 エスタゾラム
一般名 エスタゾラム
欧文一般名 Estazolam
製剤名 エスタゾラム錠
薬効分類名 睡眠剤
薬効分類番号 1124
ATCコード N05CD04
KEGG DRUG
D00311 エスタゾラム
KEGG DGROUP
DG03202 睡眠薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年1月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
エスタゾラム錠1mg「アメル」 Estazolam Tablets「AMEL」 共和薬品工業 1124001F1030 6.1円/錠 向精神薬(第三種), 習慣性医薬品, 処方箋医薬品
エスタゾラム錠2mg「アメル」 (後発品) Estazolam Tablets「AMEL」 共和薬品工業 1124001F2037 6.6円/錠 向精神薬(第三種), 習慣性医薬品, 処方箋医薬品

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 重症筋無力症の患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。]
2.2 リトナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)、ニルマトレルビル・リトナビルを投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

不眠症、麻酔前投薬

6. 用法及び用量

本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減するが、一般に成人には次のように投与する。
<不眠症>
1回エスタゾラムとして1〜4mgを就寝前に経口投与する。
<麻酔前投薬>
麻酔前
1回エスタゾラムとして2〜4mgを経口投与する。
手術前夜
1回エスタゾラムとして1〜2mgを就寝前に経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

<不眠症>
就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与により、その影響が翌朝以後に及ぶことがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.2 連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。[11.1.1参照]
8.3 長期投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。炭酸ガスナルコーシスを起こしやすい。[11.1.2参照]
9.1.2 衰弱患者
できるだけ少量から投与を開始すること。作用が強くあらわれる。
9.1.3 心障害のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれる。
9.2 腎機能障害患者
排泄が遅延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
排泄が遅延するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群に比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.2 ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
9.5.3 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが、他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で報告されており、また、黄疸を増強する可能性がある。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 小児等では作用が強くあらわれる。
9.8 高齢者
副作用が発現しやすいので少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
リトナビル
ノービア
ニルマトレルビル・リトナビル
パキロビッド
2.2参照]
過度の鎮静や呼吸抑制等が起こる可能性がある。チトクロームP450に対する競合的阻害により、本剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測されている。
10.2 併用注意
中枢神経抑制剤
他の催眠・鎮静剤
フェノチアジン誘導体等
抗うつ剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。相互に中枢神経抑制作用を増強することが考えられている。
アルコール(飲酒)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。相互に中枢神経抑制作用を増強することが考えられている。
マプロチリン塩酸塩1)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。
2)併用中の本剤を急速に減量又は中止すると痙攣発作がおこる可能性がある。
1)相互に中枢神経抑制作用を増強することが考えられている。
2)本剤の抗痙攣作用により抑制されていたマプロチリン塩酸塩の痙攣誘発作用が本剤の減量・中止によりあらわれることが考えられている。
ダントロレンナトリウム水和物筋弛緩作用が増強する可能性がある。相互に筋弛緩作用を増強することが考えられている。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 依存性、離脱症状(いずれも頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、せん妄、痙攣等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと。[8.2参照]
11.1.2 呼吸抑制(頻度不明)
呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合、炭酸ガスナルコーシスを起こすことがあるので、このような場合には気道を確保し、換気をはかるなど適切な処置を講ずること。[9.1.1参照]
11.1.3 刺激興奮、錯乱(いずれも頻度不明)
奇異反応があらわれることがある。
11.1.4 無顆粒球症(頻度不明)
11.1.5 一過性前向性健忘、もうろう状態(いずれも頻度不明)
投与する場合には少量から開始するなど、慎重に行うこと。十分に覚醒しないまま、車の運転、食事等を行い、その出来事を記憶していないとの報告がある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系眠気、ふらつきめまい感、歩行失調、頭痛、頭重、不快感、構音障害 発揚状態
肝臓 AST、ALTの上昇  
腎臓   BUNの上昇
血液   貧血、白血球減少
循環器  動悸血圧低下
消化器 悪心、口渇 口内苦味感
過敏症  そう痒感発疹
骨格筋 倦怠感、脱力感等の筋緊張低下症状  
その他  浮腫覚醒遅延傾向(麻酔前投薬として用いた場合)

13. 過量投与

13.1 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人(5例)に1回4mgを経口投与した場合の血中濃度は、投与約5時間後に最高値約107ng/mLに達し、半減期は約24時間である1)
16.1.2 生物学的同等性試験
エスタゾラム錠1mg「アメル」及びエスタゾラム錠2mg「アメル」と各標準製剤について、下記の通りクロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)
 標準製剤試験投与量
エスタゾラム錠1mg「アメル」ユーロジン1mg錠それぞれ1錠(エスタゾラムとして1mg)
エスタゾラム錠2mg「アメル」ユーロジン2mg錠それぞれ1錠(エスタゾラムとして2mg)
薬物動態パラメータ(生物学的同等性)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC(0→72)(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
エスタゾラム錠1mg「アメル」1624.9±251.860.3±9.92.19±1.7021.16±4.42
ユーロジン1mg錠1585.6±240.159.7±6.72.08±1.5220.74±4.08
血漿中未変化体濃度(生物学的同等性)
薬物動態パラメータ(生物学的同等性)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC(0→72)(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
エスタゾラム錠2mg「アメル」3405.0±1023.3109.4±18.62.33±2.1122.77±6.85
ユーロジン2mg錠3481.4±1085.1112.4±18.42.58±1.3921.59±4.93
血漿中未変化体濃度(生物学的同等性)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
不眠症を対象とし、ニトラゼパム、フルラゼパムを対照薬とした二重盲検比較対照試験3)4)及び手術前夜の睡眠障害を対象とし、ニトラゼパムを対照薬とした二重盲検比較対照試験5)において本剤の有用性が認められている。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
エスタゾラムの睡眠発現機序は、既存のベンゾジアゼピン系化合物と同様、大脳辺縁系及び視床下部における情動機構並びに視床下部−脳幹覚醒維持機構の抑制によると考えられている。
なお、覚醒機構そのものには直接作用せず、麻酔状態にはいたらない6)(ネコ)。
18.2 睡眠作用
ジアゼパム、ニトラゼパム等既存のベンゾジアゼピン系化合物と同様の薬理学的スペクトラム(静穏、馴化、睡眠誘起、睡眠増強、抗痙攣及び筋弛緩作用等)をもつが、とくに睡眠作用は速やかに発現し、強く、かつ安定している7)(マウス、ラット、ネコ、サル)。
18.3 睡眠脳波におよぼす影響
18.3.1 日中睡眠−覚醒周期に及ぼす影響
睡眠誘起作用は速やかに発現し、途中覚醒の際にもその持続時間は短く、その回数も少ない安定した睡眠が認められ、睡眠状態も8時間で消失している8)(サル)。
18.3.2 終夜睡眠脳波に及ぼす影響
睡眠stage2〜4に対してはニトラゼパム等他のベンゾジアゼピン系化合物と同傾向の変化を認めるが、REM睡眠期に対する影響は比較的少ないと考えられる9)10)(健康成人)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. エスタゾラム

一般的名称 エスタゾラム
一般的名称(欧名) Estazolam
化学名 8-Chloro-6-phenyl-4H-[1,2,4]triazolo[4,3-α][1,4]benzodiazepine
分子式 C16H11ClN4
分子量 294.74
融点 229〜233℃
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。
メタノール又は無水酢酸にやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00311

22. 包装

<エスタゾラム錠1mg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]
1,000錠[10錠(PTP)×100]
1,000錠[瓶、バラ]
<エスタゾラム錠2mg「アメル」>
100錠[10錠(PTP)×10]
1,000錠[瓶、バラ]

23. 主要文献

  1. 関隆, 臨床薬理, 4, 76-86, (1973) »DOI
  2. 社内資料:生物学的同等性試験[錠1mg、錠2mg]
  3. 五島雄一郎,他, 医学のあゆみ, 97, 370-385, (1976)
  4. 村田忠良,他, 医学のあゆみ, 113, 202-218, (1980)
  5. 謝直道,他, 診療と保険, 15, 1147-1152, (1973)
  6. Fukuda N.et al., Jpn.J.Pharmacol., 24, 75-88, (1974) »DOI
  7. Nakajima R.et al., Jpn.J.Pharmacol., 21, 497-516, (1971) »DOI
  8. Take Y.et al., J.Takeda Res.Lab., 32, 289-298, (1973)
  9. Isozaki H.et al., Curr.Ther.Res., 20, 493-509, (1976)
  10. 佐藤泰三,他, 臨床精神医学, 7, 743-750, (1978)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口
〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858
製品情報問い合わせ先
共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口
〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4
電話:0120-041-189
FAX:06-6121-2858

25. 保険給付上の注意

本剤は厚生労働省告示第75号(平成24年3月5日付)に基づき、投薬量は1回30日分を限度とされている。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
共和薬品工業株式会社
大阪市北区中之島3-2-4

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版