医療用医薬品 : サレックス

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医薬品情報


総称名 サレックス
一般名 ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
欧文一般名 Betamethasone Butyrate Propionate
製剤名 ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル製剤
薬効分類名 副腎皮質ホルモン外用剤
薬効分類番号 2646
ATCコード D07AC01 D07XC01
KEGG DRUG
D02032 ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
KEGG DGROUP
DG00095 ベタメタゾン
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年6月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
サレックス軟膏0.05% Salex Ointment 0.05% 岩城製薬 2646730M1032 18.9円/g 劇薬
サレックスクリーム0.05% Salex Cream 0.05% 岩城製薬 2646730N1038 18.9円/g 劇薬

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[感染症及び動物性皮膚疾患症状を悪化させることがある。]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.3 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒が遅れるおそれがある。また、感染のおそれがある。]
2.4 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が著しく遅れるおそれがある。また、感染のおそれがある。]

4. 効能または効果

湿疹・皮膚炎群(手湿疹、進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎を含む)、乾癬、虫さされ、薬疹・中毒疹、痒疹群(ストロフルス、じん麻疹様苔癬、結節性痒疹を含む)、紅皮症、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)、ジベル薔薇色粃糠疹掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬、慢性円板状エリテマトーデス、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病)、円形脱毛症、肥厚性瘢痕・ケロイド、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、アミロイド苔癬、水疱症(天疱瘡群ジューリング疱疹状皮膚炎水疱性類天疱瘡

5. 効能または効果に関連する注意

皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常、1日1〜数回、適量を患部に塗布する。

8. 重要な基本的注意

8.1 大量又は長期にわたる広範囲の使用[とくに密封法(ODT)]により、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。[9.59.79.811.1.1参照]
8.2 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること。
8.3 症状改善後は、できるだけ速やかに使用を中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。ラット・ウサギに皮下投与した動物実験で催奇形作用が報告されている1)2)3)4)。[8.1参照]
9.7 小児等
長期・大量使用又は密封法(ODT)により発育障害をきたすおそれがある。また、おむつは密封法と同様の作用があるので注意すること。[8.1参照]
9.8 高齢者
大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては特に注意すること。一般に高齢者では副作用があらわれやすい。[8.1参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障、白内障(頻度不明)
眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進、緑内障、白内障を起こすおそれがある。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、緑内障、後嚢下白内障等の症状があらわれるおそれがある。[8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明 
皮膚の感染症皮膚の真菌症(カンジダ症、白癬等)、細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎・せつ等) ウイルス感染症注意・処置
密封法(ODT)の場合に起こり易い。このような症状があらわれた場合には、適切な抗真菌剤、抗菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合には本剤の使用を中止すること。
その他の皮膚症状ざ瘡(瘡様発疹、ステロイド瘡等)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、ステロイド潮紅等)ステロイド酒さ・口囲皮膚炎(口囲、顔面全体に紅斑、丘疹、毛細血管拡張、痂皮、鱗屑を生じる)、紅斑、紫斑、多毛、色素脱失、色素沈着魚鱗癬様皮膚変化注意・処置
特に長期連用に際しては注意すること。このような症状があらわれた場合には徐々にその使用を差し控え、副腎皮質ステロイドを含有しない薬剤に切り換えること。
その他の皮膚症状刺激感、湿疹(発赤、苔癬化、腫脹、糜爛等)接触皮膚炎、皮膚乾燥、掻痒  
過敏症  皮膚の刺激感、発疹等 
下垂体・副腎皮質系機能  下垂体・副腎皮質系機能の抑制注意・処置
大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、きたすことがあるので注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に化粧下、ひげそり後などに使用することのないよう注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
眼科用として角膜、結膜には使用しないこと。

16. 薬物動態

16.3 分布
ラットに3H-標識ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏を経皮投与したところ、塗布部の表皮及び真皮中に未変化体が高い割合で存在した(24時間後73%及び79%)。
また、組織内放射能濃度は投与後8時間から24時間に最高値を示し、肝、腎、副腎及び膀胱に高濃度認められた5)6)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルクリームの全国延べ110施設にて実施された比較試験を含む臨床試験において、効果が判定された1,301例(軟膏650例、クリーム651例)の疾患別有効率は、下表のとおりであり軟膏85.4%(555/650)、クリーム83.7%(545/651)であった。
なお1,301例のうち、1,285例(98.8%)が単純塗布であった7)8)9)10)
疾患名有効率(%)(かなり軽快以上/評価症例)
軟膏クリーム
湿疹・皮膚炎群91.9(171/186)88.7(165/186)
乾癬86.8(92/106)81.3(87/107)
虫さされ96.4(27/28)100(31/31)
薬疹・中毒疹96.8(30/31)100(28/28)
痒疹群93.5(29/31)83.9(26/31)
紅皮症93.3(14/15)81.3(13/16)
紅斑症100(23/23)95.5(21/22)
ジベル薔薇色粃糠疹100(23/23)92.0(23/25)
掌蹠膿疱症74.2(23/31)69.0(20/29)
扁平紅色苔癬93.8(15/16)92.3(12/13)
慢性円板状エリテマトーデス85.7(12/14)71.4(10/14)
肉芽腫症78.6(11/14)72.7(8/11)
特発性色素性紫斑88.5(23/26)90.9(20/22)
円形脱毛症44.4(12/27)44.8(13/29)
肥厚性瘢痕・ケロイド35.7(10/28)64.3(18/28)
悪性リンパ腫60.0(9/15)70.6(12/17)
アミロイド苔癬85.7(12/14)78.9(15/19)
水疱症86.4(19/22)100(23/23)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルは合成副腎皮質ステロイドであり、グルココルチコイド受容体を刺激することにより抗炎症作用を示す。
18.2 血管収縮作用
18.2.1 血管収縮試験
健常成人男子を対象とした皮膚血管収縮試験において、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏、クリームの血管収縮作用は、ベタメタゾン吉草酸エステルより強く、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルと同等またはそれ以上であった11)
18.2.2 生物学的同等性試験
サレックス軟膏0.05%とアンテベート軟膏0.05%を、それぞれ健康成人男子28名に単回経皮投与し、皮膚毛細血管収縮試験を行い、皮膚毛細血管収縮反応により生じた皮膚蒼白化の程度を判定し、統計解析をした結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
また、サレックスクリーム0.05%とアンテベートクリーム0.05%について同様の試験を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された12)
4時間塗布後の血管収縮反応の陽性率(%)
製剤\製剤除去後経過時間(hr)24624
サレックス軟膏0.05%3.610.728.60
アンテベート軟膏0.05%3.63.621.40
サレックスクリーム0.05%3.67.17.10
アンテベートクリーム0.05%07.117.90
皮膚毛細血管収縮反応の陽性率等は、被験者の選択、血管収縮反応の測定回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
18.3 抗炎症作用
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏、クリームは、ラットカラゲニン足浮腫、ラットクロトン油耳浮腫、ラット48時間受動性皮膚アナフィラキシー(PCA)反応等の各種実験炎症モデルに対して明らかな抗炎症作用を示し、その作用は、クロベタゾールプロピオン酸エステルに劣るものの、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル及びベクロメタゾンプロピオン酸エステルとほぼ同等であった13)14)
18.4 抗炎症作用と全身作用の分離
ラットろ紙及びクロトン油肉芽腫形成試験において、30%肉芽腫形成抑制用量と30%胸腺萎縮用量から求めたベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルの抗炎症作用と全身作用の分離度は、クロベタゾールプロピオン酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル及びベクロメタゾンプロピオン酸エステルのいずれよりも大きかった13)15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル

一般的名称 ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
一般的名称(欧名) Betamethasone Butyrate Propionate
化学名 (+)-9-Fuloro-11β,17,21-trihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 17-butyrate 21-propionate
分子式 C29H39FO7
物理化学的性状 本品は白色の結晶性の粉末で、においはない。
クロロホルム又は1,4-ジオキサンに極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、ジエチルエーテルにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D02032

22. 包装

<サレックス軟膏0.05%>
10本[5g(チューブ)×10]
50本[5g(チューブ)×50]
50本[10g(チューブ)×50]
500g[ボトル]
<サレックスクリーム0.05%>
10本[5g(チューブ)×10]
50本[5g(チューブ)×50]
50本[10g(チューブ)×50]
600g[ボトル]

23. 主要文献

  1. 竹島 勉ほか, 基礎と臨床, 24 (11), 5735-5746, (1990)
  2. 竹島 勉ほか, 基礎と臨床, 24 (11), 5747-5763, (1990)
  3. 今井節夫ほか, 基礎と臨床, 24 (11), 5765-5778, (1990)
  4. 西条 敬ほか, 基礎と臨床, 24 (11), 5779-5787, (1990)
  5. 江角凱夫ほか, 薬物動態, 5 (6), 883-902, (1990) »DOI
  6. 江角凱夫ほか, 薬物動態, 5 (6), 903-923, (1990) »DOI
  7. 久木田淳ほか, 臨床医薬, 6 (7), 1393-1405, (1990)
  8. 久木田淳ほか, 臨床医薬, 6 (8), 1693-1713, (1990)
  9. 久木田淳ほか, 臨床医薬, 6 (9), 1901-1918, (1990)
  10. 久木田淳ほか, 臨床医薬, 6 (9), 1919-1930, (1990)
  11. 川島眞, 臨床医薬, 6 (8), 1671-1681, (1990)
  12. 岩城製薬株式会社 社内資料(生物学的同等性試験)
  13. 大森健守ほか, 基礎と臨床, 24 (11), 5847-5861, (1990)
  14. 大森健守ほか, 基礎と臨床, 24 (11), 5863-5868, (1990)
  15. 越山良子ほか, 薬理と臨床, 3 (9), 1493-1500, (1993)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261
製品情報問い合わせ先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
岩城製薬株式会社
東京都中央区日本橋本町4-8-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版