2.1 フェノチアジン系化合物又はその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
2.3 バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
2.4 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.5 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者[抗コリン作用により排尿困難を悪化させることがある。]
○麻酔前投薬
○人工(薬物)冬眠
○感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽
○皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、薬疹、中毒疹)
○枯草熱
○じん麻疹
○血管運動性浮腫
○振せん麻痺
○動揺病
抗パーキンソン剤はフェノチアジン系化合物、ブチロフェノン系化合物等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しない。場合によっては、このような症状を増悪、顕性化させることがある。
プロメタジン塩酸塩として通常成人1回5〜25mgを、1日1〜3回経口投与する。振せん麻痺、パーキンソニスムには1日25〜200mgを適宜分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
8.1 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。
8.2 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。[
11.1.1参照]
9.1.2 開放隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.3 肝機能障害患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 2歳未満の乳幼児
投与しないこと。小児(特に2歳未満)に投与した場合、乳児突然死症候群(SIDS)及び乳児睡眠時無呼吸発作があらわれたとの報告がある。また、外国で、2歳未満の乳幼児への投与により致死的な呼吸抑制が起こったとの報告がある。[
2.6、
11.1.2参照]
9.7.2 2歳以上の幼児、小児
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。2歳以上の幼児、小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
抗精神病薬及び抗うつ剤との併用において、本剤及び併用薬の減量又は中止により、発熱、無動緘黙、意識障害、強度の筋強剛、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、体冷却、水分補給などの全身管理等の適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇があらわれることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下があらわれることがある。[
9.1.1参照]
11.1.2 乳児突然死症候群(SIDS)、乳児睡眠時無呼吸発作(いずれも頻度不明)[
2.6、
9.7.1参照]
注)発現頻度は、再評価の結果を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | | 発疹、光線過敏症 |
肝臓 | | 肝障害 |
血液 | | 白血球減少、顆粒球減少 |
精神神経系 | 眠気、めまい、倦怠感、頭痛、耳鳴、視覚障害、不安感、興奮、神経過敏、不眠、痙攣 | |
消化器 | 悪心・嘔吐、口渇、食欲不振、下痢、腹痛 | |
循環器 | 血圧上昇、低血圧、頻脈、起立性低血圧 | |
その他 | 発汗、咳嗽、振戦 | |
13.1 症状
傾眠、意識消失等の中枢神経抑制、低血圧、口渇、瞳孔散大、呼吸障害、錐体外路症状等である。その他、幻覚、痙攣等の中枢神経興奮作用があらわれることがある。
13.2 処置
アドレナリンは更に血圧低下を引き起こすおそれがあるので使用しないこと。
16.1 血中濃度
健康成人12例にプロメタジン塩酸塩75mgを単回経口投与したときの最高血中濃度(Cmax)は30.7ng/mLであった
1)(外国人のデータ)。
Cmax(ng/mL) | tmax(h) |
30.7±18.0 | 3.4±1.8 |
16.2 吸収
健康成人にプロメタジン塩酸塩75mgを単回経口投与したときのバイオアベイラビリティー(90%信頼区間)は12.3〜40.0%(中央値20.1%)であった
1)(外国人のデータ)。
16.4 代謝
16.4.1 ヒト肝ミクロゾームを用いた試験でプロメタジンは
N-脱メチル化体、フェノチアジン骨格の水酸化体及び
S-酸化体に代謝された
2)(in vitro)。
16.4.2 代謝に関与するチトクロームP450の分子種