2.1 消化管の穿孔又はその疑いのある患者[消化管外(腹腔内等)に漏れることにより、バリウム腹膜炎等の重篤な症状を引き起こすおそれがある。][
11.1.2参照]
2.2 消化管に急性出血のある患者[出血部位に穿孔を生ずるおそれがある。また、粘膜損傷部等より硫酸バリウムが血管内に侵入するおそれがある。]
2.3 消化管の閉塞又はその疑いのある患者[穿孔を生ずるおそれがある。][
11.1.2参照]
2.4 全身衰弱の強い患者[全身状態がさらに悪化するおそれがある。]
2.5 硫酸バリウム製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者
検査部位及び検査方法に応じ、本剤の適量に適量の水を加えて適当な濃度とし、その適量を注腸する。
(但し、本剤は経口投与してはならない。)
通常、成人は下記量を標準とする。
検査部位 | 検査方法 | 硫酸バリウム濃度(w/v%) | 用量(mL) |
大腸 | (注腸) | 20〜130 | 200〜2000 |
8.1 消化管内に硫酸バリウムが停留することにより、まれに消化管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍、大腸炎、憩室炎、バリウム虫垂炎等を引き起こすことが報告されているので、次の点に留意すること。[
9.8.1、
11.1.2参照]
8.1.1 患者の日常の排便状況に応じた下剤投与を行うこと。
8.1.2 迅速に硫酸バリウムを排出する必要があるため、十分な水分の摂取を患者に指導すること。
8.1.3 患者に排便状況を確認させ、持続する排便困難、腹痛等の消化器症状があらわれた場合には、直ちに医療機関を受診するよう指導すること。
8.1.4 腹痛等の消化器症状があらわれた場合には、腹部の診察や画像検査(単純X線、超音波、CT等)を実施し、適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化管に瘻孔又はその疑いのある患者
穿孔を生じ、消化管外に漏れるおそれがある。[
11.1.2参照]
9.1.2 穿孔を生ずるおそれのある患者(胃・十二指腸潰瘍、虫垂炎、憩室炎、潰瘍性大腸炎、腸重積症、腫瘍、寄生虫感染、生体組織検査後間もない患者等)
9.1.3 消化管の狭窄又はその疑いのある患者
9.1.4 腸管憩室のある患者
9.1.5 他の医薬品に対し過敏症の既往歴のある患者、喘息、アトピー性皮膚炎等過敏症反応を起こしやすい体質を有する患者
投与に際しては問診を行い、観察を十分に行うこと。ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがある。[
11.1.1参照]
9.1.6 心臓に基礎疾患を有する患者
観察に留意すること。不整脈・心電図異常があらわれることが報告されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤投与の際にはX線照射を伴う。
9.7 小児等
小児等には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤投与の際にはX線照射を伴う。小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
9.8.1 検査後の硫酸バリウムの排泄については十分に留意すること。消化管運動機能が低下していることが多いため、硫酸バリウムの停留により、消化管穿孔が起こりやすく、また、起こした場合には、より重篤な転帰をたどることがある。[
8.1参照]
9.8.2 観察に留意すること。不整脈・心電図異常があらわれることが報告されている。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
顔面蒼白、四肢冷感、血圧低下、チアノーゼ、意識消失、潮紅、蕁麻疹、顔面浮腫、喉頭浮腫、呼吸困難等があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。[
9.1.5参照]
11.1.2 消化管穿孔、腸閉塞、腹膜炎(いずれも頻度不明)
大腸潰瘍、大腸炎、憩室炎、バリウム虫垂炎等から消化管穿孔に至るおそれもあるので、観察を十分に行い、検査後、腹痛等の異常が認められた場合には、腹部の診察や画像検査(単純X線、超音波、CT等)を実施し、適切な処置を行うこと。[
2.1、
2.3、
8.1、
9.1.1-
9.1.4参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
消化器 | 排便困難、便秘、一過性の下痢・腹痛、肛門部痛・出血、悪心、嘔吐 |
過敏症 | 発疹、そう痒感、蕁麻疹 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.2 薬剤投与時の注意
14.3 薬剤投与後の注意
排便困難や便秘を防ぐため検査後、水分の摂取・下剤投与等の処置をすること。