医療用医薬品 : ATP

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医薬品情報


総称名 ATP
一般名 アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物
欧文一般名 Adenosine Triphosphate Disodium Hydrate
製剤名 アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物注射液
薬効分類名 代謝賦活剤
薬効分類番号 3992
ATCコード C01EB10
KEGG DRUG
D02300 アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物
KEGG DGROUP
DG00243 アデノシン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ATP注20mg「イセイ」 (後発品) ATP Injection 20mg"ISEI" コーアイセイ 3992400A2090 61円/管 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
脳出血直後の患者[脳血管拡張により、再出血するおそれがある。]

4. 効能または効果

○下記疾患に伴う諸症状の改善
頭部外傷後遺症
○心不全
○筋ジストロフィー症及びその類縁疾患
急性灰白髄炎
○脳性小児麻痺(弛緩型)
進行性脊髄性筋萎縮症及びその類似疾患
○調節性眼精疲労における調節機能の安定化
○耳鳴・難聴
○消化管機能低下のみられる慢性胃炎
○慢性肝疾患における肝機能の改善

6. 用法及び用量

<静脈内注射>
アデノシン三リン酸二ナトリウムとして、通常1回5〜40mgを1日1〜2回、等張ないし高張ブドウ糖注射液に溶解して、徐々に静脈内注射する。
<点滴静脈内注射>
アデノシン三リン酸二ナトリウムとして、通常1回40〜80mgを1日1回、5%ブドウ糖注射液200〜500mLに溶解し、30〜60分かけて点滴静脈内注射する。
<筋肉内又は皮下注射>
アデノシン三リン酸二ナトリウムとして、通常1回5〜40mgを1日1〜2回筋肉内又は皮下注射する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ジピリダモールジピリダモールはアデノシン三リン酸(ATP)分解物であるアデノシンの血中濃度を上昇させ、心臓血管に対する作用を増強するとの報告があるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。ジピリダモールのアデノシン取り込み抑制作用により、ATP分解物であるアデノシンの血中濃度が上昇する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック様症状(0.1%未満)
胸内苦悶、悪心、顔面潮紅、咳、吃逆、熱感等があらわれた場合には投与を中止すること。[14.1参照]
注)発現頻度は第1次再評価時の文献調査による集計に基づく。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
消化器悪心・嘔吐、食欲不振
循環器一過性の心悸亢進
精神神経系頭痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
<静脈内注射>
ゆっくり(10mgを1〜2分で)静脈内に投与すること。急速に投与すると、一過性の胸内苦悶、悪心、頭痛、顔面潮紅、咳、吃逆、発熱等があらわれることがある。[11.1.1参照]

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
本剤を急速静脈内注射した場合に気管支痙攣を誘発したとの報告がある。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 慢性肝炎患者に対する国内二重盲検比較試験
慢性肝炎患者にアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物40mg(n=117)又はプラセボ(5%ブドウ糖液)(n=116)を1日1回2週間点滴静脈内注射した二重盲検比較試験の結果、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物の有用性が認められた。副作用は、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物40mg群で4/117例(3.4%)認められ、悪心2例(1.7%)、めまい1例(0.9%)、動悸1例(0.9%)であった1)2)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ATPはその血行力学的並びに生化学的作用により各組織の代謝を賦活する。
18.2 血管拡張・血流増加作用
脳(イヌ3)、ネコ4))、心臓(イヌ5)6))、肝臓(イヌ7))、胃(イヌ8))、内耳(モルモット9)10))の血流量を増加する。
18.3 代謝賦活作用
脳(モルモットin vitro11)12))、心臓(イヌ13)、ウサギ14))、肝臓(ラット15))、内耳(モルモットin vitro16))等の代謝活性を増加する。
18.4 筋収縮力増強作用
心筋(カエルin vitro17))、骨格筋(カエルin vitro18))、胃腸管平滑筋(ラットin vitro19)、健康人20))の収縮力を増強する。
18.5 神経伝達効率化作用
神経伝達の効率化をはかる(ウシガエルin vitro21))。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物

一般的名称 アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物
一般的名称(欧名) Adenosine Triphosphate Disodium Hydrate
化学名 Disodium adenosine-5'-triphosphate trihydrate
分子式 C10H14N5Na2O13P3・3H2O
分子量 605.19
物理化学的性状 本品は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、わずかに酸味がある。水に溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D02300

22. 包装

2mL 50管(ガラスアンプル)

23. 主要文献

  1. 原田尚ほか, 薬理と治療, 5, 2915-2929, (1977)
  2. 原田尚ほか, 薬理と治療, 7, 1837-1843, (1979)
  3. 松本皓ほか, 臨床と研究, 50, 1510-1515, (1973)
  4. 寺田秀興ほか, 脳と神経, 28, 151-156, (1976)
  5. 小金沢清美, 日大医学雑誌, 19, 3513-3541, (1960)
  6. 大島研三ほか, 呼吸と循環, 7, 115-120, (1959)
  7. 今井深, 東京慈恵会医科大学雑誌, 88, 859-883, (1973)
  8. 岡田益雄ほか, 薬理と治療, 6, 3553-3557, (1978)
  9. 吉田萬子ほか, 耳鼻と臨床, 29, 63-69, (1983) »DOI
  10. 秋吉正豊ほか, Audiology Japan., 21, 660-667, (1978) »DOI
  11. 村松文雄, 精神神経学雑誌, 61, 764-772, (1959)
  12. 相沢豊三ほか, 内科, 1, 1133-1147, (1958)
  13. 伊藤友衛, ビタミン, 17, 331-339, (1959) »DOI
  14. 小林宏行ほか, 薬理と治療, 3, 900-909, (1975)
  15. 水田實ほか, 日本消化器病学会雑誌, 75, 1340-1350, (1978) »DOI
  16. 中野雄一ほか, 耳鼻咽喉科臨床, 54, 860-866, (1961) »DOI
  17. 草場正, 久留米医学会雑誌, 33, 1652-1664, (1970)
  18. 永井寅男ほか, ATPの基礎と臨床, 3, 107-110, (1962)
  19. 中山修ほか, 薬理と治療, 6, 3559-3565, (1978)
  20. 山形敞一ほか, ATPの基礎と臨床, 4, 88-89, (1963)
  21. 平井恵二ほか, 医学のあゆみ, 122, 635-638, (1982)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
コーアイセイ株式会社 くすり相談窓口
〒990-2495 山形市若葉町13番45号
電話:023-666-5797
FAX:023-624-4717
製品情報問い合わせ先
コーアイセイ株式会社 くすり相談窓口
〒990-2495 山形市若葉町13番45号
電話:023-666-5797
FAX:023-624-4717

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
コーアイセイ株式会社
山形市若葉町13番45号
26.2 販売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版