○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療
○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時等)
○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・神経痛
・筋肉痛、関節痛
・末梢神経炎、末梢神経麻痺
・心筋代謝障害
・便秘等の胃腸運動機能障害
・術後腸管麻痺
ビタミンB
1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB
1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、
ウェルニッケ脳症、
脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
通常、成人には1日量1管(プロスルチアミンとして10mg)を静脈内に注射する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 低出生体重児、新生児
外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
血圧低下、胸内苦悶、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
過敏症 | 発疹、そう痒感 |
消化器 | 悪心、嘔吐 |
14.1 薬剤投与時の注意
静脈内注射により、血管痛を起こすことがあるので、注射速度はできるだけ遅くすること。
18.1 作用機序
ビタミンB1に比べ細胞内によく取り込まれ、多量のコカルボキシラーゼを生成して、諸種代謝活性をたかめる。また、腸管内アウエルバッハ神経叢内の腸運動亢進ニューロンへ作用し、腸管の蠕動運動を亢進させる。
18.2 神経機能の円滑化作用
ビタミンB
1は神経組織の形態保持上重要であり、また、神経インパルス伝導に際してビタミンB
1が遊離消費され
5)、神経細胞内のコカルボキシラーゼは糖代謝に対する依存性が大きい神経細胞のエネルギー産生に関与していること
6)等が示されている。
本剤は神経組織への移行が優れる
7)(ウサギ)とともに、神経線維の成長促進作用も認められており
8)(
in vitro)、ビタミンB
1の欠乏又は代謝障害と関連する神経機能障害を改善する。
18.3 心筋代謝障害改善作用
本剤はビタミンB
1に比べ心筋細胞とくにミトコンドリア画分へのとりこみがよく、心筋内ではほとんどがコカルボキシラーゼとして存在すること
9)(ラット)、麻酔イヌで心筋の酸素消費を増加させることなく好気的代謝を亢進させることが認められており
10)、心筋内でコカルボキシラーゼとなって心筋代謝障害を改善すると考えられている。
18.4 腸管蠕動運動亢進作用
本剤は腸管蠕動運動亢進作用を示す
11)(イヌ)が、この作用は本剤と構造類似のフルスルチアミンを用いた試験
12)(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)から、腸管内アウエルバッハ神経叢内に存在すると考えられる腸運動亢進ノイロンへの作用によるとされている。なお、ビタミンB
1ではこの亢進作用はほとんど認められていない
11)(イヌ)。