医療用医薬品 : アリナミン

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医薬品情報


総称名 アリナミン
一般名 プロスルチアミン
欧文一般名 Prosultiamine
製剤名 プロスルチアミン注射液
薬効分類番号 3122
KEGG DRUG
D03286 プロスルチアミン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アリナミン注射液10mg ALINAMIN INJECTION 武田テバ薬品 3122404A1034 95円/管 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療
○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時等)
ウェルニッケ脳症
脚気衝心
○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・神経痛
・筋肉痛、関節痛
・末梢神経炎、末梢神経麻痺
・心筋代謝障害
・便秘等の胃腸運動機能障害
・術後腸管麻痺
ビタミンB1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、ウェルニッケ脳症脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

6. 用法及び用量

通常、成人には1日量1管(プロスルチアミンとして10mg)を静脈内に注射する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 低出生体重児、新生児
外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
血圧低下、胸内苦悶、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、そう痒感
消化器悪心、嘔吐

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
静脈内注射により、血管痛を起こすことがあるので、注射速度はできるだけ遅くすること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
本剤は投与量に比例して高い血中ビタミンB1濃度を持続する1)2)(健康人)。
16.3 分布
本剤はリポイド易溶性で組織に対する親和性が強く、血球、髄液等に移行して高いビタミンB1濃度を示す。また、体内貯留性がよい3)(視神経疾患患者)。
16.5 排泄
本剤投与による尿中ビタミンB1排泄量は、ビタミンB1投与の場合より少なく、体内貯留性がよいことを示している4)(健康人)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ビタミンB1に比べ細胞内によく取り込まれ、多量のコカルボキシラーゼを生成して、諸種代謝活性をたかめる。また、腸管内アウエルバッハ神経叢内の腸運動亢進ニューロンへ作用し、腸管の蠕動運動を亢進させる。
18.2 神経機能の円滑化作用
ビタミンB1は神経組織の形態保持上重要であり、また、神経インパルス伝導に際してビタミンB1が遊離消費され5)、神経細胞内のコカルボキシラーゼは糖代謝に対する依存性が大きい神経細胞のエネルギー産生に関与していること6)等が示されている。
本剤は神経組織への移行が優れる7)(ウサギ)とともに、神経線維の成長促進作用も認められており8)in vitro)、ビタミンB1の欠乏又は代謝障害と関連する神経機能障害を改善する。
18.3 心筋代謝障害改善作用
本剤はビタミンB1に比べ心筋細胞とくにミトコンドリア画分へのとりこみがよく、心筋内ではほとんどがコカルボキシラーゼとして存在すること9)(ラット)、麻酔イヌで心筋の酸素消費を増加させることなく好気的代謝を亢進させることが認められており10)、心筋内でコカルボキシラーゼとなって心筋代謝障害を改善すると考えられている。
18.4 腸管蠕動運動亢進作用
本剤は腸管蠕動運動亢進作用を示す11)(イヌ)が、この作用は本剤と構造類似のフルスルチアミンを用いた試験12)(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)から、腸管内アウエルバッハ神経叢内に存在すると考えられる腸運動亢進ノイロンへの作用によるとされている。なお、ビタミンB1ではこの亢進作用はほとんど認められていない11)(イヌ)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. プロスルチアミン

一般的名称 プロスルチアミン
一般的名称(欧名) Prosultiamine
略号 TPD
化学名 N-(4-Amino-2-methylpyrimidin-5-ylmethyl)-N-[4-hydroxy-1-methyl-2-(propyldithio)-1-butenyl]formamide:Thiamine propyl disulfide
分子式 C15H24N4O2S2
分子量 356.51
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末で、特異なにおいがあり、味は苦い。メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)又はクロロホルムにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
KEGG DRUG D03286

20. 取扱い上の注意

20.1 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2 寒冷時には混濁を生じることがある。

22. 包装

2mL×10アンプル

23. 主要文献

  1. 松川泰三 他, 武田研究所年報, 12, 1-61, (1953)
  2. 矢野正夫, ビタミン, 15, 617-621, (1958) »DOI
  3. 浅山亮二 他, ビタミン, 7, 1038-1042, (1954)
  4. 矢野正夫, ビタミン, 15, 613-616, (1958) »DOI
  5. 糸川嘉則, ビタミン, 49, 415-427, (1975) »DOI
  6. Muralt A., Ann.N.Y.Acad.Sci., 98, 499-507, (1962)
  7. 大塚裕康, ビタミン, 32, 211-221, (1965) »DOI
  8. 中沢恒幸 他, ビタミン, 32, 434-447, (1965) »DOI
  9. Iida S., Biochem.Pharmacol., 15, 1139-1145, (1966) »PubMed
  10. 戸嶋裕徳 他, アリナミン基礎文献集(心臓), 1, 68-76, (1964)
  11. 難波良司 他, ビタミン, 22, 142-146, (1961) »DOI
  12. 福原 武 他, ビタミン, 31, 494-499, (1965) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター
〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
製品情報問い合わせ先
武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター
〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号
電話:0120-923-093 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
武田テバ薬品株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号
26.2 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版